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夫婦善哉 (決定版)(新潮文庫) 織田作之助
¥326
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/9/1 発行 しっかり者の新地の芸者蝶子は若旦那柳吉と駆落して所帯を持ち、甲斐性なしの夫を支えて奮闘する。 大阪の庶民の人情を自在な語り口で描いて新進作家の地位を確立した作品です。 柳吉と蝶子の夫婦がドタバタをくり広げる物語。 柳吉のクズ男ぷりが憎たらしいのですが、現代にもこんな男性は山ほどいるんじゃないかと思います。 面白のにほろっとしたり、泣きそうなくらい悲しいのに笑いに変えてしまう。 「好いた同士は形式はどうあれ一緒にいたい、うまいもんも食いたいし、うまいもんに格式も何もないやないか」まさに大阪男児の心意気です。 たっぷりと大阪情緒、人、地域性、喜怒哀楽を感じていただけるのではないでしょうか。
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欲しいのは、あなただけ(新潮文庫) 小手鞠るい
¥337
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2007/3/1 発行 島清恋愛文学賞受賞作品 主人公・かもめが好きになった対照的な二人の男性が出てきます。 19歳の女子大生かもめが好きになったのは「男らしい人」だった。 酷い言葉を投げつけられ、酷い扱いを受け、恥辱にまみれた交際が続いた果てに、男らしい人はかもめが望んでいるであろう”結婚”を決断する。 しかし、かもめが本当に欲しいものは結婚ではない。 (以下、本文より) 「責任とか、結婚とか、家庭とか。わたしが欲しいのはそんな、得体の知れないものではないのだ。わたしが欲しいのは、あなただ。あなたとの生活でもなく、あなたの子どもでもなく、あなた自身。あなたの欲望。その愛人で、わたしはあり続けたいだけ。 あなたの一部でありたい。同時に、全部でありたい。あなたの座っている車の座席、握っているハンドル、吸い込んでいる空気、吐き捨てるタバコの煙でも構わない。あなたの触るすべてのものに、わたしはなりたい。たとえばあなたの血管を、私の血液になって、流れたい。あなたに溶けて、重なっていたい。それがわたしにとって、愛すると言う事。 あなたが躰で、わたしが心。あなたが海なら、わたしは潮騒。あなたが空なら、わたしは夕焼け。あなたが問いで、わたしが答え。愛することしかできない。それがわたしの答えなのだ。 どうしてそれが、あなたにはわからない?」 ***** 激しすぎるくらい、激しいと思う。まるで「男らしい人」を責めるよう。 それでも「男らしい人」はかもめの言った意味がわからない。 かもめはわかってもらえないと判断した結果、崖から身を投げる。 (後半) 死に損なったかもめは、数年かけて大学を卒業する。 その後、就職した先で恋をします。 こんどは「優しい人」だった。「優しい人」は結婚していた。 つまり不倫。 「優しい人」だからと言って、「男らしい人」に対してあったような、かもめの感情の激しさがないわけではない。 かもめは「優しい人」に対しては、静かな、地の果てを這うような激しさを持っていた。 この作品の中に繰り広げられているのは、青春の日に費やした女性特有のヒリヒリするような痛みを伴う愛の記憶です。 「かもめ」や「男らしい人」や「優しい人」がそれぞれ抱えている孤独を共感できたから、納得して本を閉じました。 人それぞれだと思いますが、なにかしら湧き出る感情があると思います。
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珍品堂主人(中公文庫) 井伏鱒二
¥486
【並】(非常に良い/良好/並) ≪4版≫ 1986/7/15 発行 天に経年のヤケ。小口に薄いシミあり。 骨董大好きな人の話です。 「ちゃんとした学校の先生」くずれで、趣味がいつの間にか本職になってしまった骨董狂、加納夏曆57歳。 この、通称 ”珍品堂”という主人公が骨董の売買に行き詰まっ て料理屋を始めます。 塗物は石川県、焼物は岐阜県、味噌はどこ、蕎麦粉はどこと凝りに凝った甲斐あって、料亭「途上園」は繁昌するが、金主の紹介で顧問格に迎えた蘭々女という茶の師匠に弱みを握られて、ついにはいびり出されてしまう。そして、再び骨董の道に舞い戻る、という内容です。 それだけのお話なのです。 が、しかし、 描かれる人物みな一癖あってとても面白いのです。個人的に夏目漱石の『坊っちゃん』を思い出しました。ユーモアたっぷりでゆっくり読めます。
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そういうふうにできている(新潮文庫) さくらももこ
¥400
【並】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1999/7/1 発行 経年劣化 天、小口ヤケあり(写真の通りです) 読むには問題ありません。 さくらももこさんの妊娠出産の出来事を中心にしたエッセイ。 夫から妊娠のことを積極的に考えるようにと、書籍をどっさり渡されるももこさん。 「興味のない本を無理に読むと言うのは「学習」である。」という一文に共感しました。 しかし、やり過ごしているうちに問題に直面したとき、やはり「学習」せねばならないことになります。 「この腹の中に何かがいるのである。大便以外の何かがいる!!」 ももこさんが妊娠を発覚したときの衝撃をこのように話しています。 妊娠、出産期の痛みや心身の不調に直面しても、どこか冷静に現状を見ている感じがします。前向きに面白く捉え直せる精神が素晴らしくて、見習いたい部分でもありました。 経験したことがなく掴みどころのない妊娠・出産について、表現し難い機微を独特の視点でリアルに表現されていて、読んでいる私まで妊娠と出産をした気分になった。 妊娠出産した人もそうでない人も関係なく、楽しく笑えるエッセイでした。 心を明るくしたい人には面白いエッセイです。 読みやすいですし、ね!
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友情(岩波文庫) 武者小路実篤
¥350
【良好】(非常に良い/良好/並) 12版 2015/7/15 発行 武者小路実篤の恋愛と友情の王道青春小説です。 脚本家・野島(売れていない)と、作家・大宮(売れている)は、各々が尊敬し合う友人。野島は美しい友人の妹・杉子に恋をします。 そこから始まる恋愛と友情の板挟みにおける「切なさ」「苦しさ」「幸せ」「もどかしさ」すべての感情がたくさん出てきます。 恋する気持ちと友情の在り方を改めて学んだように思えます。 三人のそれぞれの『気持ち』が交差して、決心を生みます。恋と友情に悩んでいる方にオススメします。 夏目漱石の『こころ』を読んだことのある人なら、違いが面白いと思いました。
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夜の光に追われて(講談社文庫) 津島佑子
¥650
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1989/9/10 発行 経年のヤケあります。 読むには全く問題ありません。 1986年第38回読売文学賞受賞作品 津島佑子:1947年東京都三鷹で父・津島修二(筆名:太宰治)、母・美知子の次女(里子)として生まれました。(2016年没) 彼女の父・太宰治は佑子が生まれた翌年に玉川上水で入水心中しました。 ***** 私小説、自叙伝ともいえる本書。 作者自身とも思われる小説家の主人公が、平安時代に書かれた『夜の寝覚』の物語を改めて書き直すことによって、物語のヒロイン珠子の悲しみに寄り添おうと試みる。 主人公が亡き息子の遺灰の一部を子の父親である男の元へ届けにいくストーリーと、「夜の寝覚」のヒロイン珠子の物語が交互に語られており、より悲しみを共感できる構造になっています。
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すべて真夜中の恋人たち(講談社文庫) 川上未映子
¥239
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2014/10/15 発行 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。」本文より 冬子(フユコ)34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う。 誰がどんな恋愛をしようと勝手ではないか。そんなことばが出てきました。心の中を繊細に描いている。さすが川上未映子さんだと思う!
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旅のラゴス 改版(新潮文庫) 筒井康隆
¥213
【良好】(非常に良い/良好/並) 31版 2015/10/31 発行 突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。 ラゴスは集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に なります。 自分の生涯をかけて旅をする意味はとても考え深いです。
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潤一(新潮文庫) 井上荒野
¥339
【良好】(非常に良い/良好/並) 3版 2018/6/10 発行 井上荒野による恋愛小説の連作短編集 第11回島清恋愛文学賞受賞作 26歳の青年・潤一と14歳から62歳まで9人の女性との刹那の愛を描いています。 まるで自分が9人の女性となり、いろんな側面の潤一と関わった気分になります。 もしかしたら、人生で、潤一のような人と一瞬でもかかわったんじゃないだろうか? そんなふうに思えました。 テレビドラマ化されています。潤一は志尊淳さん。
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小説読本(中央公論文庫) 三島由紀夫
¥462
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/10/25 発行 「小説家はなりたくてなれるものではない―」という出だしで始まります。 小説の原理を追究した長篇評論「小説とは何か」を中心に、「私の小説の方法」「わが創作方法」など、自ら実践する作り方を大胆に披瀝し編を収めている。 作家を志す人々に贈る、三島由紀夫による小説指南の書。説得力のある内容でした。 目次 作家を志す人々の為に 1(小説とは何か) 2(私の小説の方法;わが創作方法;小説の技巧について;法律と文学;私の小説作法;法学士と小説;法律と餅焼き) 3(私の文学;自己改造の試み;「われら」からの遁走)
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伊藤野枝集(岩波文庫) 森まゆみ編
¥875
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2019/9/18 発行 大正時代最大のアナーキスト大杉栄とともに虐殺された、伊藤野枝の半生を描いています。 女性の解放を訴えた伊藤野枝(1895~1923年、福岡県出身)が、日本陸軍の憲兵に虐殺されて100年となります。 彼女は愛する大杉栄と無政府主義を唱え、女性の自由な活動などを説いて、信念を持って生きてきた人です。 彼女が平塚らいてうより先に巡り合ったのが、上野の学校の英語の教師・辻潤。二人は次第に心惹かれ合うようになります。二人の恋愛は学校で問題になり、辻潤はそれが原因で教職をなげうってしまう。辻潤の二人目の子どもを産んだのち、野枝は大杉栄のもとに走ることになる。 大杉栄には妻があり、愛人もいた。そして野枝も。大杉の唱える自由恋愛に破局が訪れたのは、愛人が大杉栄の首を刃物で切ったからだ。その後、野枝は大杉との生活にすべてをささげた。そして、大杉栄とともに、野枝は殺されることになる。 現代において、野枝がいたら私は友達になりたい。彼女の生きざまを物語に残したいと思うだろう。多くの女性作家が「伊藤野枝」を描きたいという衝動は、本能だと思います。 「風よ、あらしよ」(村上由佳)の映画が公開されました。 イトウノエの生きざまに共感できる人もできない人も、本書を読むと、必死で愛と信念を持って生きて来たかということが分かります。
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月曜日の抹茶カフェ(宝島社文庫) 青山美智子
¥341
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/6/20 発行 「マーブル・カフェ」が特別に開く「抹茶カフェ」を舞台に、東京と京都を行き来しながら様々な人々の人生が交差する物語。 心温まる12カ月を紡いでいく、連作短編集です。
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椿の海の記(河出文庫) 石牟礼道子
¥432
SOLD OUT
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪8版≫ 2021/1/30 発行 自伝的小説になります。 水俣を舞台にした石牟礼道子の鮮やかな記憶の描写があり、後に起こる環境破壊の前の神話的な世界の喪失に注目してみてください。 環境問題を文学的な観点から考察した小説です。日本の風土や、環境問題に興味のある方は面白いと思います。
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楽天記(講談社文庫) 古井由吉
¥1,757
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2022/10/7 発行 (ほぼ新品) 自分とは似ても似つかない、そもそも存在しないはずの幻の息子が妙にリアルに作家柿原の夢に現れる。若い編集者が訪れ、疫病や死にまつわるエピソードを披露していく。 様々な謎と言葉を残し、死に至ることになる旧友との対話。 移ろい儚く過ぎ去る時間と情景のなかで、生と死のイメージが纏いつく。 否応のない老いと死を意識せざるをえない人生の終盤、悲観しながらも達観しただ暮らしていくなか辿り着いていく楽天の境地。 「死から生へ、ネガティヴのきわみからポジティヴなものへと転ずる」 「天ヲ楽シミテ、命ヲ知ル、故ニ憂ヘズ」という中国の古典にあるような境地へ。 解説・町田康
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ブラック・ティー(角川文庫) 山本文緒
¥283
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪50版≫ 2023/4/10 発行 女性の闇、ダークな部分のお話。短篇集です。 思わず自分じゃないかと思って、理解できたりする。 通り過ぎるのを待ってくれるように、心に寄り添ってくれる物語でした。
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越年(角川文庫) 岡本かの子
¥348
SOLD OUT
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2018/8/25 発行 岡本かの子は与謝野晶子の弟子で芸術家岡本太郎の母親 彼女の優れた短編の中から、恋愛にまつわる傑作を選りすぐって収録!されています。 短歌も有名ですが、そのため、情景描写がとても美しいです。 表紙の美しさにも負けないくらい、昭和初期の恋愛小説集でした。
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幻想の未来(角川文庫) 筒井康隆
¥368
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪改版初版≫ 2017/8/25 発行 進化した未来の人間を幻視して書かれたものです。 しかし、もしかすると現実になりそうな恐怖感もあります。 この人間の姿を想像しながら読み進めましたが、想像上の人間が脳裏に焼き付いています。 40年以上も前に書かれた本書ですが、驚きを隠せません。見事だと思います。 表題作他の9編はショートショートです。 ショーショートは味わい深いストーリーでした。
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あなたも私も(角川文庫) 久生十蘭
¥447
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/6/25 発行 久生十蘭(ひさお じゅうらん)北海道出身 小説家 1902年4月6日~1957年10月6日 売れないファッションモデルの水上サト子が、13億円の遺産相続の騒動に知らないうちの巻き込まれてゆく物語です。 詐欺師たちのが暗躍し、敵味方の暗中模索を味わう、久生十蘭らしい物語。 穏やかでおっとりしている性格だけれど、決して賢くないわけではない。とはいえ貧しさのせいで目の前のことだけしか考えられなくて 「いろんな人が色々言ってくるけれど、何を言っているのかさっぱりわからない」 という状態のまま、厄介な選択を迫られるサト子には、親しみ深く同情してしまいます。 昭和29年に毎日新聞に連載されました。
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鍵・瘋癲老人日記(新潮文庫) 谷崎潤一郎
¥429
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪57版≫ 2020/5/5 発行 老夫婦の閨房日記を交互に示す手法で性の深奥を描く「鍵」 老残の身でなおも息子の妻の媚態に惑う「瘋癲老人日記」 晩年の二傑作。(新潮社より) ***** 『鍵』 お互いの本心を隠した夫婦の日記が交互に綴られており、下世話なのですがずんずんと引き込まれた。 懐疑や嫉妬という負の感情は昔から人の心のエネルギーだったんだな、と思い知らされました。 淡々とした日記の文章の裏に潜む妻の陰湿で獰猛な本性が艶かしくて怖ろしい。 『瘋癲老人日記』 「痴人の愛」の主人公がナオミを思い通りにしようとして敵わず最後は軍門に降ったのに対して、この作品の主人公の老人は最初から息子の嫁・颯子に振り回されるのを喜びと感じている。 この老人に嫌悪感を感じないどころか、なんだか親しみを感じます。 谷崎の足フェチを堪能できました。
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大人のための残酷童話(新潮文庫) 倉橋由美子
¥347
SOLD OUT
再入荷です 【並】(非常に良い/良好/並) 7版 1999/3/25発行 経年によるヤケあり 読むには全く問題ありません 世界中の名作童話を縦横無尽にアレンジしており、物語の背後に潜む人間の邪悪な意思や淫猥な欲望を露骨に焙り出しています。 童話の最後に【教訓】が書かれています。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 子供では理解できない毒が混じっています。 挿絵と教訓が残酷さを語っている大人のグリム童話になっています。 ぜひ、一読ください。 『目次』 人魚の涙 一寸法師の恋 白雪姫 世界の果ての泉 血で染めたドレス 鏡を見た王女 子供たちが豚殺しを真似した話 虫になったザムザの話 名人伝補遺 盧生の夢 養老の滝 新浦島 猿蟹戦争 かぐや姫 三つの指輪 ゴルゴーンの首 故郷 パンドーラーの壺 ある恋の物語 鬼女の島 天国へ行った男の子 安達ケ原の鬼 異説かちかち山 飯食わぬ女異聞 魔法の豆の木 人は何によって生きるのか 童話の最後に【教訓】が書かれている。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 挿絵と教訓が残酷さを語っているグリム童話です!
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東京奇譚集(新潮文庫) 村上春樹
¥328
再入荷です。 【並】(非常に良い/良好/並) 表紙にスレあり。 ≪初版≫2007/12/1発行 どうしてこんなことが起こるのだろう。都市の隙間のあやしく底知れぬ世界へと導く5つの物語。 肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。(あらすじより) 映画化「ハナレイ・ベイ」(2018年10月公開)
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愛するということ(幻冬舎文庫) 小池真理子
¥240
SOLD OUT
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪3版≫2013/1/30発行 恋愛。この苦しみからどうやって逃れようか。どれほど大きな悲しみ、猛烈な嫉妬、喪失感に襲われようとも、私たちは生きなければならない。快感と絶望が全身を貫く、甘美で強烈な恋愛小説。(あらすじより)
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思い出す事など(岩波文庫) 夏目漱石
¥287
SOLD OUT
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 31版 2017/3/15発行 夏目漱石の回想録 明治四十三年の盛夏,漱石は保養先の修善寺温泉で胃潰瘍の悪化から「大きな動物の肝の如き」血塊を吐いて人事不省におちいった。 辛くも生還しえた悦びをかみしめつつ、この大患前後の体験と思索を記録したのが表題作である。 他に二葉亭四迷・正岡子規との交友記など七篇。 どの一篇も読む者の胸に切々と迫って来ます。 漱石の性格がよく表れている。人物像がますます明らかになった一冊です。
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命売ります(ちくま文庫) 三島由紀夫
¥335
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 26版 2015/12/5発行 病院で目覚めた羽仁男(ハネオ)はまだ生きている、と感じ、必要とも思えない命を売ろうと考えて、新聞広告に掲載するのだ。 三島の考える命を一緒に体感できるように思えました。 最終的に主人公のハネオの命はどうなるのか?そしてハネオの考え方が変わってくるところに読み応えがあります。