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三匹の蟹(講談社文庫) 大庭みな子
¥570
並(非常に良い/良好/並) 第5版 2003/4/21発行 ISBN4061961756 表紙に経年による汚れやヤケ、シミが見られますが、全体的に良好な状態です。 「日常がふと、息苦しく感じられることはありませんか」――そんなとき、ふと手に取っていただきたい一冊があります。 講談社文庫の『三匹の蟹・青い落葉』は、アラスカに暮らす主婦・由梨が人とのつながりに疲れ、静かに現実から逃げ出す姿を描いた短編「三匹の蟹」をはじめ、異文化の中で自我を見つめ直す物語が丁寧に綴られた全7編の短編集なんです。 火草を燃やす母系部族、舟の中で起きた浸水事故など、どれもが日常と非現実のはざまで揺れる人間のこころを、乾いた詩のような文体でそっと描き出していきます。 華やかなパーティーや穏やかな家庭の奥にある孤独や虚しさ、そして文化の違いの中で感じる戸惑いと発見…ページをめくるたびに、胸の奥の静かな場所が震えるような読書体験が待っています。 人間関係に少し疲れてしまったとき、自分を見失いそうになったとき、この本はきっと、何かに気づかせてくれるかもしれません。 1970年代に女性作家が紡いだ繊細な感性と、異文化のリアリティが響き合う物語世界へ、どうぞ足を踏み入れてみてください。 <大庭みな子さんについて> 大庭みな子さん(1930–2007)は東京生まれの作家。アラスカ滞在を基に描いた短編「三匹の蟹」で芥川賞を受賞しデビュー。古典翻案や異文化を主題に多彩な作品を残し、芥川賞初の女性選考委員も務めました。
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愛の生活(新潮文庫) 金井美恵子
¥850
≪初版≫ 1973/11/30発行 古書のため経年劣化によるヤケあり(天、小口、地) 金井美恵子さんの『愛の生活』は、日常の中にひそむ微妙な感情や愛のかたちを、まるで静かな息づかいのように描いた一冊です。 大学教師の夫Fと、少しだけ仕事をしながら小説を書いている「わたし」の、どこにでもありそうな日々。 でも、実はその中には「私はFをどんなふうに愛しているのか?」という問いがずっと浮かんでいます。この本を手に取ると、あたなも自分の中で何かしらの「愛」の形に気づくかもしれません。 読んでいくうちに、きっと心が少し軽くなり、愛や人とのつながりについて思いを巡らせたくなります。そして、金井さんの繊細で深い筆致に触れることで、日常の細かな感情をもっと大切にしたいと思えるかもしれません。 こんなふうに静かに心に響く本を探している方には、ぜひおすすめしたい一冊です。 <金井美恵子さんについて> 金井美恵子さんは1967年、19歳の時にの処女作『愛の生活』が太宰治賞候補となり、雑誌に掲載されたこの作品で注目を受けてデビューするという、非常に若くして幸福な出発をした作家であります。 詩人としても功名高く、現代詩手帖賞を受賞されています。
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タイタンの妖女(ハヤカワ文庫) カート・ヴォネガット・ジュニア/浅倉久志訳
¥1,000
良好(非常に良い/良好/並) 24版 2006/4/15発行 ISBN4150102627 カート・ヴォネガット・ジュニアの『タイタンの妖女』は、「人生って、なんでこんなにうまくいかないの?」と思ったときに、そっと心を軽くしてくれる一冊です。全宇宙でいちばん不運な男・マラスキと、大金持ちのランサム・フック。このふたりが宇宙を旅してたどり着いたのは、なんとも皮肉で、だけどどこか愛おしい“真実”。 ヴォネガットらしい、ちょっぴり毒のある笑いと、とびきり風変わりなアイデアが詰まっています。 難しいSFが苦手な方にもおすすめ。肩の力を抜いて、人生や運命の不思議を笑い飛ばしてみませんか? 読んだあと、きっと世界の見え方が少し変わっているかもしれないですね。 <カート・ヴォネガット・ジュニアについて> カート・ヴォネガット・ジュニア(1922–2007)は、ブラックユーモアとSFを融合した作風で知られるアメリカの作家です。戦争体験をもとに『スローターハウス5』などを執筆し、社会批判や反戦のテーマをユーモラスに描きました。
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山椒魚戦争(小学館) カレル・チャペック/小林恭二・大森望訳
¥790
良好(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1994/11/20発行 ハードカバー 1994/11/20 ISBN409251008 表紙ヤケ少あり ちょっと不思議で、とても考えさせられる一冊をご紹介します。カレル・チャペックの『山椒魚戦争』というお話です。 物語は、ある島で発見された知恵のある大きな山椒魚たちが、人間に使われはじめるところから始まります。でも、彼らはだんだん力をつけて、自分たちの文明を作り上げ、ついには人間に立ち向かっていくのです。 チャペックはこの物語を通じて、「文明ってなんだろう?」「人間のやっていることって正しいの?」と、私たちに問いかけてきます。 資本主義や全体主義といった社会の仕組みにも、鋭い視線を向けていますが、それをユーモアたっぷりに描いているので、重たすぎず読みやすいのも魅力なんです。 SFが好きな方はもちろん、世の中のことをちょっと違う角度から見てみたいという方にも、きっと面白く感じていただけると思います。もし少しでも気になったら、どうぞ気軽に手に取ってみてくださいね。あなたの考え方に、ちいさな揺さぶりをくれる一冊になるかもしれません。 <カレル・チャペックについて> カレル・チャペック(1890–1938)はチェコの作家・劇作家で、「ロボット」の語を生んだ『R.U.R.』などで知られています。多彩な分野で活躍し、ナチズムにも反対。1938年12月25日、肺炎のため死去した。
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二百回忌(新潮社) 笙野頼子
¥50
SOLD OUT
良好(非常に良い/良好/並) 初版 1994/5/25発行 ハードカバー ISBN4103976012 『二百回忌』という本を手に取った時、きっとあなたも感じると思います。どこか不思議で、ちょっと怖いけれど、何だか引き寄せられるような魅力がある本だなと。 この本は、ある一族が二百年を経て再び集まる奇想天外な物語。祖先が蘇り、奇妙な親族たちと交わることで、家族や時間、社会についての深い問いを投げかけてきます。 私もこの本を読んで、ただの物語以上のものを感じました。現実と幻想が交わることで、いつもの考え方や価値観がふっと崩れて、新しい視点を得られる感覚がありました。社会や家族の在り方についても、改めて考えさせられました。どこかで“普通”を求めがちな私たちですが、ちょっと立ち止まって、自分を問い直すような、そんな本だと思います。 普通の物語では味わえないような、不思議で深い感覚。ちょっとした衝撃とともに、心に残る問いを投げかけられることでしょう。笙野頼子さんの描く、独特の世界に触れてみることで、日常に少しだけ新しい風が吹くような気がするんです。 もし、心が少し揺れるような物語を求めているのなら、ぜひ手に取ってみてください。『二百回忌』が、あなたにとっても大切な一冊になるかもしれませんよ。 <笙野頼子さんについて> 笙野頼子(本名:市川頼子)さんは1956年生まれの日本の小説家。立命館大学卒業後、1981年に『極楽』で文壇デビューし、数々の文学賞を受賞。特に『二百回忌』や『タイムスリップ・コンビナート』などが代表作。私小説と幻想小説を融合させた独自の作風で、文学界に強い影響を与えています。
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「雨の木」を聴く女たち (新潮文庫) 大江健三郎
¥510
良好(非常に良い/良好/並) 16版 2002/9/5発行 ISBN4101126151 表紙に経年のスレあり。他はきれいな状態です。 「何か心に残る物語を読みたいな」と思ったとき、この本をおすすめします! 大江健三郎の『「雨の木」を聴く女たち』は、5つの短編からなる連作小説集。 「僕」という語り手の視点を通して、人々の孤独や心の奥深くにある思いが、静かに、でも確かに描かれています。舞台はハワイやメキシコなどの異国の地。そこには、死を見つめる人や、誰かとのつながりを求める人たちがいます。 物語全体に流れる「雨の木」の存在が、どこか寂しく、けれど穏やかに心に響いてくるのです。人生のなかで感じる苦しみや希望にそっと寄り添い、「人とは?」「生きるとは?」と、ふと考えさせられるような作品なんです。 大江健三郎の作品は少し難しい印象があるかもしれません。でも、この短編集は比較的入りやすく、彼の文学の世界に触れてみたい方にもおすすめです。読後には、まるで「雨の木」が静かに滴を落とし続けるように、物語の余韻が心に残るんじゃないでしょうか。 ぜひ、静かに心に沁み込むこの一冊を、ゆっくり味わってみてくださいね。 <大江健三郎さんについて> 大江健三郎(1935-2023)さんは、戦後日本を代表する作家。東京大学卒業後、「飼育」で芥川賞を受賞。『万延元年のフットボール』など社会的・哲学的テーマを描き、1994年にノーベル文学賞受賞。晩年まで執筆を続けた。
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イエスの生涯(新潮文庫) 遠藤周作
¥480
非常に良い(非常に良い/良好/並) 77版 2024/7/15発行 ISBN4101123165 遠藤周作さんの『イエスの生涯』は、神の子としてではなく、一人の人間としてのイエスを描いた作品です。誤解され、嘲られ、迷いながらも、それでも「愛」と「同苦」を説き続けたイエスの姿に、思わず胸が締めつけられます。 宗教に詳しくなくても、遠藤周作のやわらかな語り口がすっと心に染み込みます。人間の弱さや信じることの意味を、そっと問いかけてくるような一冊です。 読み終えたあと、弱さを抱えながらも、誰かの痛みに寄り添うことの大切さに気づかされるかもしれません。 読書の時間が、そっと心に寄り添ってくれることがあります。この本も、きっとあなたのそばで、静かに語りかけてくれるはず。ぜひ、手に取ってみてくださいね。 <遠藤周作さんについて> 遠藤周作(1923-1996)は、日本の小説家。11歳でカトリックの洗礼を受け、慶應義塾大学卒業後、フランス留学。1955年「白い人」で芥川賞受賞。『沈黙』『海と毒薬』などキリスト教をテーマに執筆。晩年は文化勲章を受章。
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宰相A(新潮文庫) 田中慎弥
¥420
非常に良い(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2017/12/1 発行 IABN4101334844 『宰相A』(田中慎弥)は、読んでいるうちに、じわりと背筋が冷たくなるような物語です。 主人公Tが故郷に戻ると、そこはまったく別の「日本」になっていました。白人が支配し、日本人は「旧日本人」と呼ばれ、特別な区域に押し込められている――そんな異様な世界で、Tは「伝説の救国者」として翻弄されていきます。 現実とは違うはずなのに、どこか今の社会ともつながっているような感覚。 読んでいるうちに、「もし自分がこの世界にいたら?」と考えずにはいられません。田中慎弥さんの鋭い筆致が、権力と人間の本質を浮かび上がらせています。 読後、胸の奥に何かざらりとしたものが残るような、そんな一冊です。 <田中慎弥さんについて> 田中慎弥(1972年生)さんは山口県出身の小説家。2005年『冷たい水の羊』で新潮新人賞を受賞しデビュー。2012年『共喰い』で芥川賞を受賞。『蛹』で川端康成文学賞と三島由紀夫賞を同時受賞するなど、鋭い社会批評と独自の作風で高く評価されている。
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巨女(徳間文庫) 吉村萬壱
¥550
非常に良い(非常に良い/良好/並) 4版 2023/9/25発行 ISBN9784198941499 ◆2015年 第22回 島清恋愛文学賞受賞作品 『巨女』は、吉村萬壱さんが描く、愛と献身の極限を問う物語です。 妻が巨大化していく奇妙な現象に直面する主人公。 これはただの奇想小説ではなく、愛することの重さ、そして介護の現実に静かに向き合う一冊なんですが、第11回島清恋愛文学賞受賞作でもあり、文学的感性が培われる物語だと思います。その衝撃的な世界に、一歩踏み込んでみませんか? <吉村萬壱さんについて> 吉村萬壱(よしむらまんいち)さん(1961年生)は、大阪育ちの小説家。高校教諭を経て52歳で専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で文學界新人賞受賞、2003年「ハリガネムシ」で芥川賞受賞。退廃的でグロテスクな作風が特徴。エッセイ執筆も。
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ジョン万次郎漂流記 本日休診(角川文庫)・黒い雨(新潮文庫)/井伏鱒二
¥600
※二冊セットです ●ジョン万次郎漂流記 本日休診/井伏鱒二 (角川文庫) 良好(非常に良い/良好/並) 19版 1995/5/30発行 天、小口に経年によるヤケあり。読むには問題ありません。 ISBN4041076013 ◆1938年 第6回 直木賞受賞作品 運命に翻弄されながらも、学ぶことで道を切り開いたジョン万次郎。その姿は、私たちにも新しい世界に踏み出す勇気をそっとくれる気がします。井伏鱒二の美しい文章で描かれるこの物語、あなたも一緒に旅しながら堪能してくださいね。 ●黒い雨/井伏鱒二(新潮文庫) 51版 1994/6/5発行 天、小口、地に経年によるヤケあり。読むには問題ありません。 ISBN4101034060 ◆1966年 野間文芸賞作品/文化勲章受章 『黒い雨』は、原爆に翻弄された人々の静かな叫びが込められた物語なんです。 姪の幸せを願う重松の想いと、避けられない運命に胸が締めつけられます。 でも、この本には絶望だけではなく、人が生きることの意味も刻まれています。過去を知り、未来を考えるために、ぜひ手に取ってみてください。 <井伏鱒二について> 井伏鱒二(1898-1993)は広島県生まれ。早稲田大学で文学を学び、同人誌でデビューしました。『山椒魚』や『黒い雨』など、ユーモアと哀感を織り交ぜた作品で知られる。直木賞や文化勲章を受章し、昭和を代表する文豪として今も愛されています。
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影裏(文藝春秋) 沼田真佑
¥420
良好(非常に良い/良好/並) 2版 2017/8/1発行 ハードカバー ISBN9784163907284C0093 『影裏』は、沼田真佑 さんのデビュー作であり、第157回芥川賞を受賞した素晴らしい小説。物語は、東日本大震災後の日本を背景に、主人公の今野が唯一の友人・日浅とのつながりを通して、喪失や孤独、人間関係の複雑さに向き合っていく様子を描いているんです。 読んでいると、時折自分自身の過去や心の中にしまい込んだ感情がふわりと浮かび上がり、胸が温かくなることがあります。 静かな文体ですが、その中に秘められた強さや深さが感じられるので、ズシンと心に残ります。 もしかしたら、あなたもこの本を読んで、心の中の何かが少しだけ動くのかもしれません。言葉の力を感じられる『影裏』、ぜひ手に取ってみてくださいね。 <沼田真佑さんについて> 沼田真佑(ぬまた しんすけ)さん(1978年生まれ、北海道小樽市)は、福岡大学附属大濠高校卒業後、西南学院大学商学部を卒業。2017年、デビュー作『影裏』で第122回文學界新人賞、第157回芥川賞を受賞。岩手県盛岡市在住で、独特の澄んだ文体と深い人間描写で注目されています。
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仮面の告白(新潮文庫) 三島由紀夫
¥550
良好(非常に良い/良好/並) 146版 2010/6/10発行 ISBN 4101050010 三島由紀夫の『仮面の告白』は、自分の本音と社会の期待に挟まれた主人公の葛藤を描いた、心にズシンと響く名作。 幼少期から青年期まで、主人公は「本当の自分」と「周囲が望む自分」の間で悩み、「仮面」を被りながら生きていきます。 三島由紀夫独特の美しい文章や深い心理描写が見どころで、読むほどに主人公の苦しみや切なさが胸にしみてくるんですよね。 自分と向き合う勇気や他人との折り合いについて考えさせてくれるこの作品。 必要なときこそ、読んで欲しいです。 <三島由紀夫について> 三島由紀夫(本名:平岡公威)は、1925年1月14日、東京に生まれました。東京大学法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも、9ヶ月で退職し作家の道を選びました。1949年に『仮面の告白』で作家としての地位を確立。その後、『潮騒』や『金閣寺』など数々の名作を発表しました。1970年、最後の作品『豊饒の海』を書き終えた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。彼の作品は世界中で読まれ、ノーベル文学賞候補にもなった日本の代表的作家です。 ※ショップブログ>2025年1月15日 もチェックしてみてくださいね。
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道化の精神(大和出版) 太宰治
¥1,200
良好(非常に良い/良好/並) ハードカバー 新装版初版 1992/6/30発行 ISBN 4804730346 表紙に小さな汚れあり。 太宰治の『道化の精神』は、人間関係の難しさや生きづらさをそっと描いた作品です。 「道化」として生きることで社会と向き合いながら、本当の自分を探し続ける、太宰作品の登場人物たちの姿に、きっと共感できると思います。 太宰らしい美しい言葉が紡ぐ物語を読むと、「私だけが悩んでいるわけじゃないんだ」とほっとする気持ちになれるかもしれません。 自分の弱さを受け入れ、誰かをもっと優しく見つめられるようになる一冊です。 ぜひ、太宰の世界に触れてみてくださいね。 <太宰治について> 太宰治(本名・津島修治)は、1909年に青森県で生まれ、東京帝国大学で学んだ後、1930年に心中未遂を経験。1947年には『斜陽』で大ベストセラーを記録しますが、1948年に玉川上水で自殺。『人間失格』『走れメロス』などが代表作で、人間の心理を描いた作品で知られています。
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サキ短篇集(新潮文庫) サキ/中村能三訳
¥480
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪67版≫2020/9/20発行 『サキ短篇集』(新潮文庫)は、英国作家サキ(本名ヘクター・ヒュー・マンロー)の代表作を収めた短編集。 ブラックユーモアと鋭い諷刺が特徴で、たとえば「開いた窓」の意外な結末や、「おせっかい」に潜む皮肉は、読んだ後に「ふふっ」と笑ってしまうような独特の味わいがあります。 短い物語の中に、予想外の展開や人間の本質を描き出すサキの腕前には驚かされますよ。 この本を読むと、ユーモアの中に隠れた人生の機微を感じ取る力が磨かれる気がします。 「一見おかしいけれど、どこか鋭く刺さる」そんな物語が読みたい時、この本はぴったりです。 日常の隙間時間に読めるので、忙しいあなたにもおすすめですよ。 ちょっと変わった視点で世界を見てみたくなったら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
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青の時代(新潮文庫) 三島由紀夫
¥420
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪73版≫2017/8/25発行 『青の時代』は、三島由紀夫が描く、青年・川崎誠の欲望と挫折の物語です。 彼は名家に生まれ、厳格な父のもとで育ちますが、成長するにつれて自らの道を選び、金銭欲に駆られていきます。 大学時代に出会った女性との関わりから始まる彼の破滅的な人生を、三島特有の鋭い視点で描いています。 この本を読むことで、人間の欲望や挫折、そして戦後の日本社会が抱える矛盾を深く考えさせられます。 また、三島の緻密な心理描写やシニカルな文体に触れることで、彼の文学世界に魅了されることだと思います。もし、社会の変化や人間の本質に興味があるなら、きっとこの作品が心に響くはずです。 『青の時代』は、きっとあなたの心に深く響く一冊になると思います。 三島由紀夫の世界にゆっくり浸りながら、彼の言葉が織りなす魅力を感じてみてくださいね。 <三島由紀夫について> 三島由紀夫(本名:平岡公威)は、1925年1月14日、東京に生まれました。東京大学法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも、9ヶ月で退職し作家の道を選びました。1949年に『仮面の告白』で作家としての地位を確立。その後、『潮騒』や『金閣寺』など数々の名作を発表しました。1970年、最後の作品『豊饒の海』を書き終えた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。彼の作品は世界中で読まれ、ノーベル文学賞候補にもなった日本の代表的作家です。 ※ショップブログ>2025年1月15日 もチェックしてみてくださいね。
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箱男 純文学書下ろし特別作品(新潮社)安部公房
¥1,100
並(非常に良い/良好/並) 2版 1973/4/30発行 函(背に経年ヤケあり)、ビニールカバー(経年の劣化あり) 書籍自体はきれいな状態です 『箱男』は、安部公房が描く独特な物語で、ダンボール箱をかぶりながら都市を彷徨う「箱男」の視点を通じて、現代社会の匿名性や自己のアイデンティティに向き合う、という展開。 主人公が見つめる「見えない世界」から浮かび上がる疑問は、私たち読み手の心に深く響いてきて、自己や他者との関わりについて考えさせられるんです。 物語は、箱男の手記とともに、様々な人物や文章が断片的に挿入され、真実を探る手がかりが次々と提示されます。 これにより、情報の解釈を問われ、現実と虚構が交錯する深遠な世界が広がっていくんです。 本書を読むことで、私たちは日常生活の中でふと感じる疑問や不安に対する新たな視点を得られますし、読んだ後、心の中で何かが変わる予感がするはずです。 何度も読み返すことで、異なる解釈が生まれ、あなた自身の思考が深まっていくことでしょう。 『箱男』はただの小説ではなく、思索の旅へと誘ってくれる知的な冒険です。 この本が、あなたにとって新たな刺激となり、心に残る一冊となることを願っています。ぜひその世界に足を踏み入れてみてくださいね。 <安部公房について> 安部公房(あべこうぼう)【本名・あべ きみふさ】は、1924年に東京で生まれ、満州で幼少期を過ごしました。東京大学医学部卒業後、作家としてデビュー。1951年に『壁―S・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞し、1962年には『砂の女』で国際的な評価を得ました。小説、戯曲、映画など多岐にわたり活躍し、1993年に急逝しました。 安部公房の読み方は「あべ こうぼう」です。本名の読み方は「あべ きみふさ」となります。
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蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫) 田山花袋
¥420
非常に良い(非常に良い/良好/並) 89版 2022/10/30 発行 田山花袋の『蒲団・重右衛門の最後』は、”日本の自然主義文学の深み”を感じることができる一冊です。 『蒲団』では、既婚作家と若い女学生の微妙な距離感が生み出す葛藤を通して、人間の弱さや絶望を鮮烈に描いています。 『重右衛門の最後』では、社会から疎外された人物たちの深い憎しみや孤独が、思わず引き込まれてしまうほどの力強さで描かれています。 どちらの作品も、心に深く刻まれ、読むたびに新しい気づきがあるのが魅力。何度読んでも飽きません。 私が思うに、この本は単に物語を楽しむだけでなく、人間の本質に触れることができるので、人間の複雑さや痛みを感じることで、私たちが日常生活でどれだけ見過ごしている感情や思いがあるのかに気づけるのかもしれません。 きっと、読み手にも共感できる瞬間がたくさんあるはずなんです。 この作品を手に取って、あなたの心の深い部分に触れてみてください。きっと、心に残る一冊になるはずですよ。 <田山花袋について> 田山花袋(本名:田山録弥(ろくや))は、1871年に栃木県で生まれました。14歳で上京し、19歳で小説家を志し、尾崎紅葉に師事しました。博文館に勤務し、1907年には『蒲団』を発表、日本自然主義文学を確立しました。その後、『生』や『妻』など多くの作品を残し、1930年に60歳で亡くなりました。
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暗い引力(光文社) 岩井圭也
¥700
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/12/30 発行 ソフトカバー 岩井圭也さんの『暗い引力』は、心の奥にひっそりと潜む闇や、私たちが普段気づかない社会の歪みを描いた短編集です。 6つの物語は、どれも心に残る力強いメッセージを届けてくれます。 例えば、過労死を巡る家族と会社の戦い、理想的な夫婦の裏に隠された不穏な真実…。それぞれが現代社会の矛盾を映し出し、読むたびに新たな気づきを与えてくれるんですよね。 読むことで、心の中の「何か」に触れ、普段考えないようなことを深く考えるきっかけになるかもしれません。 どの物語も、あなたにとってきっと意味のある物語になると思います。 少し背伸びした自分に出会える『暗い引力』を、ぜひ手に取ってみてくださいね。 ≪目次≫ ・海の子 ・僕はエスパーじゃない ・捏造カンパニー ・極楽 ・蟻の牙 ・堕ちる <岩井圭也さんについて> 岩井圭也(いわいけいや)さんは、大阪府枚方市出身の小説家で、北海道大学農学部を卒業後、2018年に『永遠についての証明』で作家デビュー。幅広いジャンルで作品を発表し、『裂果』で小島信夫文学賞、同年には野性時代フロンティア文学賞を受賞しました。現在37歳、神奈川県在住です。さんは、大阪府枚方市出身の小説家で、北海道大学農学部を卒業後、2018年に『永遠についての証明』で作家デビュー。幅広いジャンルで作品を発表し、『裂果』で小島信夫文学賞、同年には野性時代フロンティア文学賞を受賞しました。現在37歳、神奈川県在住です。
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千羽鶴(角川文庫) 川端康成
¥700
並(非常に良い/良好/並) ≪改版13版≫ 1976/5/30 発行 天に経年のヤケあり。その他はおおむねきれいです。 【前篇】の『千羽鶴』です。 【後編】『波千鳥』未刊です。 川端康成の『千羽鶴』は、心に残る深い美しさが広がる作品なんです。 物語の主人公・菊治は25歳で、父の愛人だった太田夫人と再会し、彼女に強く惹かれていきます。 茶道の世界が舞台となり、愛や罪、美と死というテーマが繊細に描かれています。 この本を手に取ると、日本の伝統美や、複雑な人間関係への理解が深まりますよ。そして、川端康成の美しい文体に触れ、心が静かに洗われるような感覚を味わえるんですよね。 もし、あなたが人間の心の機微や、ちょっとした心の葛藤に共感することができるなら、きっとこの作品はあなたの心に響き、素敵な余韻を残すことだと思います。 是非、手に取ってその美しい世界に浸ってみてくださいね。
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人形(創元推理文庫) ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子訳
¥800
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2017/1/13 発行 ダフネ・デュ・モーリア 1907年ロンドン生まれ。祖父が高名な作家で画家、父が舞台俳優兼演出家、母が舞台女優という芸術家一家の三人姉妹の次女として生まれる。1931年作家デビュー、1938年の『レベッカ』が世界的なベストセラーとなった。コーンウォールの荒々しい自然を愛し、夫との間に三人の子供をもうけた。1989年没。 ダフネ・デュ・モーリアの短編集『人形』は、読者の心にそっと寄り添いながら、人間の内面や社会の矛盾を描いた作品。 普段の平穏な日常の裏に隠された秘密や狂気、上流階級の偽善に鋭く切り込みます。 特に、自立を求める女性たちの葛藤が描かれていて、共感する場面がたくさんあるんですよね。 愛と狂気が絡み合う短編「人形」では、登場人物の心理にぐいぐい引き込まれるはず。 読み終えたとき、きっと自分や周りの人との関係を見つめ直したくなる一冊です。
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ペンギンの憂鬱(新潮クレストブックス) アンドレイ・クルコフ/沼野恭子訳
¥1,680
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪17版≫ 2023/2/15 発行 ソフトカバー アンドレイ・クルコフ ウクライナのロシア語作家。クルコフの名を一躍有名にしたのが本書『ペンギンの憂鬱』(1996年)である。約20カ国語に訳され、国際的なベストセラーとなる。 キエフ在住。妻はイギリス人。 アンドレイ・クルコフの『ペンギンの憂鬱』は、孤独を抱える作家ヴィクトルと彼の相棒、ペンギンのミーシャが織りなす物語です。 二人の奇妙な絆が、心の温かさを届けてくれるんです。 不条理な展開や生と死を巡るテーマは、現代社会の混沌や人生の予測不可能な出来事などを映し出しており、胸に深く響きます。 ユーモラスで独特な描写が感性を刺激しつつ、他者の孤独や生き方に共感する視点を育む一冊。 読後、自分の人生をちょっと見つめ直したくなる、そんな心に残る作品です。
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女の一生(新潮文庫) モーパッサン/新庄嘉章訳
¥700
【並】(非常に良い/良好/並) ≪83版≫1986/5/30発行 モーパッサンの傑作長編作 フランス自然主義の代表的作家の一人。 モーパッサンの名作『女の一生』は、19世紀フランスの美しいノルマンディー地方を舞台に、一人の女性の人生を丁寧に描いた作品です。 主人公は、修道院から戻ったばかりの17歳の男爵令嬢ジャンヌ。夢いっぱいで迎えた人生のスタートでしたが、結婚、夫の裏切り、財産の喪失、親との別れなど、次々と試練が降りかかります。喜びと悲しみの波に翻弄されながら、ジャンヌは少しずつ成長していきます。 ジャンヌの物語を通じて、「人生ってこういうものかもしれない」と感じさせられる瞬間がたくさんあります。当時の女性がどんな社会的制約の中で生きていたのかも知ることができますし、ノルマンディー地方の美しい自然描写に心が癒されるはずです。 モーパッサンならではの繊細な心理描写や、人生の予測できない流れに身を任せるジャンヌの姿が、読む人の心にそっと寄り添います。 この作品は、私自身も読んだ後、じんわりと心に残りました。 「人生ってこういうものかもしれない」と考えさせられるような、静かな感動を得られる一冊です。ぜひ、あなたの本棚に迎えてみてくださいね。
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ミシンと金魚(集英社) 永井みみ
¥800
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 9版 2022/12/11発行 ハードカバー 第45回すばる文学賞を受賞・デビュー作 『ミシンと金魚』は、認知症を患う高齢女性が自身の壮絶な人生を回想する物語です。 戦後日本を生き抜いた女性の苦難や強さ、介護や貧困といった社会問題への深い洞察が、現役ケアマネージャーである著者の経験からリアルに描かれています。 特に、一人称の語り口が新鮮で、読者を物語の奥深くに引き込みます。 女性同士の連帯や思いやりも温かく、読後に胸がじんわりと温かくなるような一冊です。 苦しいけれど、美しい人生を感じさせてくれる作品だと思います。 永井みみさんについて 永井みみさんは、50代でデビュー。訪問介護やケアマネージャーの経験を活かし、社会問題や女性の生き様を描く。デビュー作『ミシンと金魚』で第45回すばる文学賞を受賞し、2023年に『ジョニ黒』を刊行。
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風の歌を聴け(講談社) 村上春樹
¥4,800
【良好】(非常に良い/良好/並) 26版 1988/8/15発行 ハードカバー 群像新人賞受賞。 『風の歌を聴け』は村上春樹さんのデビュー作で、1970年の夏、21歳の「僕」の不安定な青春を描いています。 大学生の「僕」は、友人とビールを飲んだり、女の子と出会ったりしながら、ジュークボックスの音楽に身を委ねる日々を過ごしています。 しかし、そんな日常の裏には、悲しい出来事も隠れていて…。特に「仏文科の女の子」の自殺は、彼にとって大きな影響を与える出来事なんです。 この本を読むことで、少し不安定な時期を迎えている自分と重ね合わせて、人生の選択や人間関係の複雑さを感じることができるかもしれません。 村上春樹の描く世界は、まるで自分のことのように心に響いてきますよ。 もしも「今、何かに迷っている」と感じているなら、この本がきっと心に寄り添ってくれるんじゃないかな。 きっと、新しい気づきや前向きなエネルギーをもらえる一冊になると思います。