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あの本は読まれているか(東京創元社) ラーラ・プレスコット/吉澤康子訳
¥1,100
良好(非常に良い/良好/並) 3版 2020/8/7発行 ISBN9784488011024 ソフトカバー 「たった一冊の本が、世界を動かす──そんな物語が、本当にあったなんて。」 『あの本は読まれているか』(ラーラ・プレスコット)は、冷戦時代のアメリカとソ連を舞台に、“言葉”の力をめぐる驚きの実話をもとにした小説です。 物語の中心にあるのは、かの有名な『ドクトル・ジバゴ』。 映画にもなったこの美しい愛の物語が、実は政治の道具として秘密裏に利用されていた──そんな衝撃の背景が描かれます。 自由を求める作家たち、真実を届けようと奔走した女性たちの姿に、心がふるえる一冊です。 本の力を信じたい方、歴史の裏側にある“もうひとつの物語”に触れてみたい方に、そっとおすすめしたい作品です。 「読むこと」が、こんなにも切実で、希望に満ちた行為なのだと教えてくれる小説です。どうぞ、ごゆっくりお手にとってみてくださいね。 <ラーラ・プレスコットについて> ラーラ・プレスコット(Lara Prescott)は、アメリカの小説家。デビュー作『あの本は読まれているか』が世界的ベストセラーとなり注目を集めました。冷戦下のスパイ活動と文学の力を描いた本作は、20か国以上で翻訳され、高い評価を受けています。
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愛 文学の冒険シリーズ (国書刊行会) ウラジーミル・ソローキン/亀山郁夫訳
¥1,800
良好(非常に良い/良好/並) 2版 2013/11/15発行 ISBN9784039606 ハードカバー 「“愛”とは、ここまで深く、奇妙で、美しいものなのかもしれません──」 ロシア文学の鬼才・ソローキンが描くこの物語は、どこか現実離れしているのに、なぜか私たちの心の奥にひそむ「愛」の輪郭をくっきりと浮かび上がらせてくれます。 舞台は近未来のロシア。 国が“愛”を人工的にコントロールする世界で、ひとりの男が真実の愛を求めてもがく姿が描かれています。 柚香の森では、ただ“やさしい物語”だけでなく、ときに読者の心を揺さぶり、問いかけを投げかけてくれるような本も大切にしています。 この本もその一冊。 読み終えたあと、きっと「愛って、何だろう」と静かに自分の中で問い返したくなるでしょう。 刺激的でありながら、深く考えさせられる一冊です。 人間関係に少し疲れてしまった方、愛に迷いがある方、あるいは、ただ物語のなかで何かを感じたい方に。 読書セラピーの視点からも、「内なる感情を見つめ直す旅」としておすすめします。 少し不思議で、でも心に残る──そんな物語との出会い、そっと手に取ってみませんか。 <ウラジーミル・ソローキンについて> ウラジーミル・ソローキン( 1955年生まれ)は、現代ロシアを代表する作家・劇作家。ソ連体制への風刺や過激な表現で知られ、前衛的かつ挑発的な作風が特徴。代表作に『青い脂』『愛』などがあり、国内外で高い評価を受けています。
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プラムバン(新水社) ジェシー・レドモン・フォーセット/風呂本惇子 監訳
¥1,060
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2013/4/5発行 ISBN9784883851560 ソフトカバー 「自分の居場所が、どこにもないように感じてしまう時に――」 1920年代、アメリカ・フィラデルフィア。肌の色がほんの少し違うだけで、夢も、恋も、人生もままならない時代に、少女アンジェラは、自分が何者なのかを懸命に探し続けます。 『プラムバン』は、作者フォーセットが黒人女性として生きた痛みと誇りを、静かに、でも力強く描いた一冊。 自分の「正しさ」や「美しさ」を、外ではなく内に見出そうとするその姿に、心がふっと揺さぶられました。 わたし自身も、長いあいだ「わたしは何者なんだろう」と立ち止まってきました。 だからこそ、この本の静かな強さに惹かれ、『柚香の森』でそっとお届けしたいと願いました。 「肌の色」や「生まれ」にとらわれずに、自分を信じることの大切さ。 そんな気づきを、そっと手渡してくれる本です。 ◇ こんな方におすすめ ◇ ・自分らしさに迷っている方 ・マイノリティとして生きづらさを感じている方 ・人生の折々で「選択」に悩んでいる方へ 読書セラピーの視点からも、心の深くにそっと届く一冊です。 どうぞ、ご自分のペースで、ページを開いてみてくださいね。 <ジェシー・レドモン・フォーセットについて> ジェシー・レドモン・フォーセット(1882–1961)は、ハーレム・ルネサンスを牽引した作家・編集者。『クライシス』誌で多くの黒人作家を支援し、自身も人種や女性の葛藤を描いた作品を発表。再評価が進む文学界の先駆者です。
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ロスト・レイセン (講談社) マーガレット・ミッチェル
¥890
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 1996/5/20発行 ISBN4062080745 ハードカバー 「ほんとうに大切なものって、何だろう?」 南北戦争下のアメリカ南部を舞台に、愛と誇りのはざまで揺れる女性の人生を描いた『ロスト・レイセン』。激動の時代の中で失われていくもの、守りたいものの切なさが胸に迫ります。 この本を手に取ったのは、「強く見えても、本当は脆い心」を描く静かな力に心を打たれたから。読み進めるうちに、誰かを想う気持ちや、自分を信じることの尊さがじんわりと染みてきます。 過去にとらわれて前へ進めないとき、心が少し疲れてしまったとき、そっと寄り添ってくれる一冊です。読書セラピーの視点からも、自分の感情と丁寧に向き合いたい方におすすめです。 「今の私に必要な物語かもしれない」──そんな気がしたら、どうぞページをめくってみてくださいね。 激動の時代に揺れる愛のかたちを描いたこの物語は、恋の美しさと痛み、その両方を静かに伝えてくれます。 ※『ロスト・レイセン』は、まだ15歳だったマーガレット・ミッチェルが、初恋の人に宛てて綴った物語と手紙が収められた、小さな宝石のような一冊です。 のちに『風と共に去りぬ』を生み出す彼女の、若く澄んだ感性がそのまま息づいていて、ページをめくるたびに、心がふわりとあたたかくなります。 文学的にも歴史的にも価値のある作品で、古書としての魅力も感じられるお品です。 静かに心に残る本との出会いを、そっと探している方におすすめしたい一冊です。 <マーガレット・ミッチェルについて> マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)は、1900年アメリカ・ジョージア州アトランタ生まれの作家・ジャーナリストです。彼女の代表作であり、唯一の長編小説『風と共に去りぬ(Gone with the Wind)』は、南北戦争を背景にした壮大な愛と再生の物語で、1936年の発表直後から世界的なベストセラーとなりました。 この作品で彼女は1937年にピューリッツァー賞を受賞し、1939年にはヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル主演で映画化され、映画史に残る名作としても知られています。作家としての活動期間は短いものの、アメリカ文学に多大な影響を与えた人物です。
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赤い魚の夫婦 (現代書館) グアダルーペ・ネッテル/宇野和美訳
¥1,300
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2021/8/31発行 ISBN9784768459058 ハードカバー 表紙汚れ(少)表紙以外はきれいな状態です 心の奥のざわざわ、気づかないふりしてないですか? 『赤い魚の夫婦』は、夫婦の距離、親になるという選択、言葉にならない不安や孤独──そんな誰の胸にも潜む“心の揺れ”を、生き物たちと一緒に描いた短編集です。 赤いベタ、猫、ゴキブリ、菌、蛇…ちょっと変わった生き物たちが、それぞれの物語で人間の感情にぴたりと寄り添い、時にそっと寄り添い、時に深くえぐってきます。 舞台はメキシコ、パリ、コペンハーゲンと多彩で、どの物語にも「ここじゃないどこか」の空気と、「でもたしかにここにある感情」が同居しています。 当店がこの本を仕入れたのは、“静かな読書”の中に、思いがけない問いや気づきが宿っている本だから。 読むことで、自分の奥に沈んでいた感情に、そっと名前がつくかもしれない。 そんなふうに、誰かの心に静かに寄り添ってくれる一冊をお届けしたくて、この本を選びました。 第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞を受賞し、世界が注目したこの本。 読後、あなたのまわりの生き物たちが、いつもとちょっと違って見えてくるはずです。 これは、ただ読むだけの物語じゃない。心のどこかを、確実に動かしてくる本です。 <グアダルーペ・ネッテルについて> グアダルーペ・ネッテルは、1973年メキシコ生まれの作家。パリで博士号を取得し、スペイン語圏を代表する現代文学作家の一人。繊細な心理描写と独自の視点で国際的に高い評価を受けています。
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嘘から出た誠(岩波文庫) ワイルド/岸本一郎訳
¥350
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪8版≫2019/2/7発行 この本棚に並んでいる一冊『嘘から出た誠』(オスカー・ワイルド著・岸本一郎訳)は、ちょっと特別な魅力を持った本なんです。タイトルからも気になりますよね。 「嘘」と「誠」なんて、私たちの心の中でもしょっちゅう交錯しているテーマ。 これをワイルドが、彼らしいユーモアと機知を込めて描いています。 たとえば、「嘘」が誰かを傷つけることもあれば、意外と誰かを救うことだってある。そんな不思議な人間模様を読むと、自分の中の小さな迷いや矛盾を見つけるかもしれません。 私はこの本を読んで、「そういえば、何気なく言った言葉が結果的に誰かを勇気づけたこともあったな」と、ちょっと優しい気持ちになりました。 ワイルドの鋭い洞察や皮肉たっぷりの表現に笑わされながら、最後には心が温かくなるような、そんな一冊です。 特に、日々の疲れや迷いで少し元気が欲しいなと思っている方におすすめです。この本が、あなたの新しい視点や気づきをそっと届けてくれるといいな、と思います。 どうぞゆっくりページをめくってみてくださいね。
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記憶の中の一番美しいもの(講談社) カレル・ファン・ローン/長山さき訳
¥800
【良好】(非常に良い/良好/並) 表紙にスレあり ハードカバー ≪初版≫2002/11/30発行 世界の18カ国に翻訳された世界的ベストセラー小説。 『記憶の中の一番美しいもの』はカレル・ファン・ローンによる父と子の物語です。 妻を亡くしたアーミンは、自分が子どもを作れない病気であり、息子ボウが実は誰の子かという疑問に悩みます。 ボウへの深い愛情と血のつながりがないことへの葛藤が丁寧に描かれています。 この本を読むと、家族の絆が血縁を超えてどれほど強いものであるかを改めて感じます。 記憶と現実の間で揺れる登場人物たちの心情に触れ、愛と責任、人間関係の複雑さについても深く考えさせられます。 親子のつながりについて考えたい方にぴったりの作品です。静かな感動が心に残りますよ。
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友だち(新潮社) シーグリット・ヌーネス/村松潔訳
¥1,300
【非常に良い】(非常に良い/良好/並)) ソフトカバー ≪2版≫2020/4/15発行 2018年全米図書賞受賞作品 『友だち』はシーグリット・ヌーネスによる深い思索と感動を呼ぶ作品。 ニューヨークを舞台に、初老の女性作家が親しい男性の友人を自殺で失い、その後、亡き友人が飼っていた巨大な老犬アポロを引き取ります。 物語は、彼女とアポロとの日々を通じて、愛や友情、老い、人生の意味について深く考えさせられます。 この本を読むと、人生や愛、死についてじっくり考え、自分の感情や思考に向き合う時間が持てます。 特に、作家としての視点から文学の本質を掘り下げたり、人間と動物との関係を再考することができる点が魅力です。 静かに心に残るこの物語を、ぜひ手に取ってみてください。
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情事の終わり(新潮文庫) グレアム・グリーン/田中西二郎訳
¥420
良好(非常に良い/良好/並) 表紙ヤケありますが、状態は良いです。 ≪47版≫2006/2/10発行 『情事の終わり』は、グレアム・グリーンが第二次世界大戦後のロンドンを舞台に、愛と信仰、嫉妬と救済を描いた一冊です。 不倫関係にあったモーリスとサラが織り成す物語は、愛の複雑さと人間の心の奥深さを静かに問いかけています。 特に、サラが神への誓いのために関係を断つ理由が明かされる場面は圧巻で、愛とは何か、自分にとっての信念とは何かを考えさせられます。 この本を読むと、人間関係や感情のもつれについて新たな視点を得られるだけでなく、グリーン独特の美しい心理描写に触れることができます。 読後には「愛」と「信仰」という大きなテーマを、自分自身に重ね合わせて考えたくなるはずです。 「深く考えさせられる物語が好き」という方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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女の一生(新潮文庫) モーパッサン/新庄嘉章訳
¥700
【並】(非常に良い/良好/並) ≪83版≫1986/5/30発行 モーパッサンの傑作長編作 フランス自然主義の代表的作家の一人。 モーパッサンの名作『女の一生』は、19世紀フランスの美しいノルマンディー地方を舞台に、一人の女性の人生を丁寧に描いた作品です。 主人公は、修道院から戻ったばかりの17歳の男爵令嬢ジャンヌ。夢いっぱいで迎えた人生のスタートでしたが、結婚、夫の裏切り、財産の喪失、親との別れなど、次々と試練が降りかかります。喜びと悲しみの波に翻弄されながら、ジャンヌは少しずつ成長していきます。 ジャンヌの物語を通じて、「人生ってこういうものかもしれない」と感じさせられる瞬間がたくさんあります。当時の女性がどんな社会的制約の中で生きていたのかも知ることができますし、ノルマンディー地方の美しい自然描写に心が癒されるはずです。 モーパッサンならではの繊細な心理描写や、人生の予測できない流れに身を任せるジャンヌの姿が、読む人の心にそっと寄り添います。 この作品は、私自身も読んだ後、じんわりと心に残りました。 「人生ってこういうものかもしれない」と考えさせられるような、静かな感動を得られる一冊です。ぜひ、あなたの本棚に迎えてみてくださいね。
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狭き門 (新潮文庫) アンドレ・ジッド/山内義雄訳
¥600
良好(非常に良い/良好/並) 109版 2010/6/15発行 ISBN9784102045039 『狭き門』──それは、叶わぬ恋と信仰のはざまで揺れる魂の物語です。 幼なじみのジェロームとアリサ。 互いに深く愛し合いながらも、アリサは“神の国”を選び、地上の幸福を拒み続けます。 「狭き門より入れ」という聖書の一節に導かれたその生き方は、美しくも切なく、読む人の心に静かに問いを投げかけます。 この物語を書いたのは、1947年にノーベル文学賞を受けたフランスの作家、アンドレ・ジッド。 信仰と愛が交差する静かな悲劇を、繊細な筆致で描き出しています。 私は読みながら、胸の奥がぎゅっと締めつけられました。 恋すること、信じること、捧げること── そのすべてが、こんなにも深く、こんなにも静かな痛みをともなうのだと知りました。 読み終えたあと、心に祈りの余韻が残るような一冊です。 <アンドレ・ジッドについて> アンドレ・ジッド(1869–1951)は、フランスを代表する小説家・文芸批評家です。自由意志と宗教的道徳の葛藤、人間の欲望を描いた作品で知られ、代表作に『背徳者』『狭き門』『贋金づくり』などがあります。文芸誌NRFの創刊者でもあり、植民地主義や全体主義に批判的立場を貫きました。1947年ノーベル文学賞受賞。
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ほんとうの自分 (集英社文庫) ミラン・クンデラ/西永良成訳
¥810
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2024/7/25発行 ISBN9784087607925 静かに年を重ねていくことは、どこかで「変わっていく自分」と向き合うことでもあります。 ミラン・クンデラ『ほんとうの自分』は、更年期を迎えた女性の揺れる心と、愛と老い、アイデンティティの危機を、驚くほど繊細に描いた一冊です。 “わたしは、わたしのままでいいの?” そんな問いが胸の奥にふと浮かぶ方に、そっと寄り添ってくれる物語だと思いました。 夢と現実の境界があいまいになっていく中で、心が探し求めているものに、静かに手を伸ばすような読書体験が待っています。 言葉にできない不安や変化のなかにこそ、「ほんとうの自分」は宿るのかもしれません──。 <ミラン・クンデラについて> ミラン・クンデラは1929年チェコ生まれの作家。プラハの映画芸術大学で教鞭をとりつつ文筆活動を開始し、1967年『冗談』で注目されました。政治的弾圧により1975年にフランスへ亡命、1984年『存在の耐えられない軽さ』で世界的名声を得ました。2023年に94歳で逝去。
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トム・ジョウンズ(一)~(四) (岩波文庫) ヘンリー・フィールディング/朱牟田夏雄訳
¥3,980
並(非常に良い/良好/並) トム・ジョウンズ(一):27版 1992/2/26発行 トム・ジョウンズ(二):24版 1997/10/16発行 トム・ジョウンズ(三):19版 1992/2/26発行 トム・ジョウンズ(四):19版 1992/2/26発行 全4巻セット 裸本 天地小口ヤケ 本文は目立ったイタミなく、全体的に概ね良好です。 18世紀のイギリスを舞台にした、古典文学の傑作『トム・ジョウンズ』。 自由奔放だけれど純真な青年トムと、彼を妬む陰険なブライフィル。 善と悪の間で揺れる人間たちの姿を、ユーモアと風刺たっぷりに描いたこの物語は、まるで人生そのもののように複雑で、あたたかく、そして痛みもあります。 特に、地の文で語りかけてくる語り手の声が、時にやさしく、時に鋭く、読者の心をそっとゆさぶります。 “本当の善さとは何か”“人はなぜ迷うのか”。そんな問いに、静かに向き合いたくなる物語です。 読み終えたとき、なんだか少し、自分にやさしくなれる気がしますよ。 <ヘンリー・フィールディングについて> ヘンリー・フィールディング(1707–1754)は、18世紀イギリスの劇作家・小説家・風刺作家であり、後に治安判事としても活躍しました。風刺喜劇で名を上げたのち検閲法により劇作を断念し、法律家へ転身。代表作『トム・ジョウンズ』を含む小説で文学史に名を残し、警察制度の先駆けも築きました。
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オルガ (新潮クレストブックス) ベルンハルト・シュリンク/松永美穂訳
¥1,360
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2020/4/25発行 ISBN9784105901653 ソフトカバー 心の奥に、少しだけ痛みを抱えている方へ── 静かに寄り添ってくれる物語をご紹介させてください。 『オルガ』(ベルンハルト・シュリンク著)は、19世紀末から20世紀のドイツを舞台に、身寄りのない少女が、時代の波に翻弄されながらも、自分の言葉を大切にして生きていくお話です。 派手な展開はありません。ただ、オルガというひとりの女性が、愛する人を想い、喪失と孤独に向き合いながら、静かに、でも確かに前を向く姿に、私は何度も心を打たれました。 「私は私」と言える強さ。 どんなときも、静かな声で語りかけてくるようなまなざし── この物語には、生きていくための知恵と、やわらかな癒しが流れています。 もし、今少しだけ心が疲れていたら。 “オルガ”を読んで、自分自身とやさしく向き合う時間を持ってみませんか。 『柚香の森』で、そんな一冊と出会っていただけたら、うれしいです。
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とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢(河出文庫) ジョイス・キャロル・オーツ/栩木玲子訳
¥980
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2018/1/20発行 ジョイス・キャロル・オーツは現代アメリカを代表する女流作家。 『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』は、ジョイス・キャロル・オーツが紡ぐ、少し不安で不穏な物語たちが集まった短編集です。 7つの物語は、どれも心に強く残るものばかり。 たとえば、「とうもろこしの乙女」では、私立中学校の女子たちが誘拐した金髪の下級生との間に起きる、不可解で怖ろしい出来事が描かれています。怖いだけでなく、人の心の奥深くに触れるようなものがあるんです。 私もこの本を手に取ったとき、思わずその不安定で複雑な感情に引き込まれました。自分が日々考えていることや、ふとした時に感じる心のざわつきが、こうした物語を通じて少し整理されるような気がしたんです。なので、どこか自分と重なる部分があると感じることができるのかもしれません。 読んだ後は、自分自身を見つめ直すきっかけにもなると思います。 この本を読んでみたら、きっとあなたも「あ、これが今の自分にぴったりだ」と感じる瞬間があるのではないでしょうか。心の中のどこかが動かされるような、そんな本です。 目次 ・とうもろこしの乙女 ある愛の物語 ・ベールシェバ ・私の名前を知る者はいない ・化石の兄弟 ・タマゴテングタケ ・ヘルビング・ハンズ ・頭の穴
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赤い唇(集英社文庫) マヌエル・プイグ/野谷文昭訳
¥1,150
並(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1994/11/25 発行 表紙の背に劣化。天、地、小口に汚れアリ。 それ以外は読書には全く問題ありません。 アルゼンチンの片田舎で起きた一人の青年の死──それは、封印されていた愛と裏切りの記憶をそっと呼び覚ます引き金でした。『赤い唇』は、美貌の青年フアン・カルロスを巡る女たちの愛憎と過去が、手紙や会話、モノローグといった多彩な形式で紡がれていく、まるで舞台のような群像劇なんです。 嫉妬、密告、そして許されぬ恋。 どろどろとした人間模様に思わず息をのむのに、読後にはなぜか胸がじんわりする…そんな、不思議な読書体験でした。 恋も人生も、思い通りにはいかないけれど――それでも、人は愛して、悩んで、生きていくんですよね。 本を閉じたあと、そんな人間のたくましさや哀しみに、心がそっと寄り添っていました。 少し変わった構成に戸惑うかもしれませんが、ページをめくるたび深みへと誘われていきます。ラテンの熱と哀しみに包まれながら、あなたの心も静かに癒されていくかもしれません。気になった方は、どうぞゆっくり開いてみてくださいね。 <マヌエル・プイグについて> マヌエル・プイグは、1932年アルゼンチン生まれの作家です。映画に夢中だった少年時代を経て、映画監督を目指しましたが、小説家に転身。1960年代から作家として名を馳せ、『赤い唇』や『蜘蛛女のキス』で国際的に評価されました。政治的理由で亡命を余儀なくされ、1990年にメキシコで亡くなりました。独自の文体と現代的なテーマでラテンアメリカ文学に大きな影響を与えました。
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ある犬の飼い主の一日(新潮クレストブックス) サンダー・コラールト/長山さき訳
¥1,200
非常に良い(非常に良い/良好/並) ソフトカバー 初版 2023/4/25発行 ISBN9784105901882 ◆2020年 リブリス文学賞受賞作品 『ある犬の飼い主の一日』は、サンダー・コラールトが紡ぐ、静かでやさしい物語。 老犬スフルクと暮らすヘンクの一日は、何気ないけれど、心にしみる時間の連なり。小さな出来事が、人生の輝きをそっと照らします。 大切な存在を愛おしく思う気持ち、あなたにもきっと伝わるはずです。 オランダ固有の犬種コーイケルホンディエのスフルクを溺愛するヘンクの姿に、私も胸が温かくなりました。どうぞ、じんわりと心に染みる読書を。 <リブリス文学賞とは?> リブリス文学賞は、Twitterの投票で決まる読者が選ぶ文学賞です。対象は、国内の新作小説と海外の初めて翻訳された小説。投票はハッシュタグをつけて行い、「国内部門」「海外部門」のどちらかだけでもOK。本好きの声が反映される、ちょっと特別な文学賞です。 <サンダー・コラールトさんについて> サンダー・コラールトさんはオランダ出身の小説家。代表作『ある犬の飼い主の一日』はオランダでベストセラーとなり、日本でも新潮クレスト・ブックスから翻訳出版された。生と死を巧みに描き、人生の意味を探求する作風が特徴。
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イングランド・イングランド(東京創元社) ジュリアン・バーンズ/古草秀子訳
¥50
SOLD OUT
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2006/12/25発行 ISBN4488016391 ソフトカバー 「“本物”って、なんでしょうね?」 そんな問いかけから始まる物語に、私は静かに引き込まれていきました。 イングランドの伝統や歴史をそっくりそのまま再現し、テーマパーク化する壮大な計画――そこに巻き込まれた主人公マーサの目を通して描かれるのは、「本物」とは何かという深い問いです。 皮肉とユーモアに満ちたジュリアン・バーンズの筆は、現代社会の観光や消費文化をどこか冷ややかに、けれどどこか可笑しく描き出していきます。 読んでいると、気づけば自分の価値観まで静かに揺さぶられていて…「本物らしさ」って、誰が決めるんだろう?と、考えずにはいられませんでした。 イギリス文学や社会風刺がお好きな方、そして少し立ち止まって「今の時代」を見つめ直してみたい方に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。 あなたも、“本物”と“偽物”のあいだを旅してみませんか? <ジュリアン・バーンズについて> ジュリアン・バーンズは1946年生まれのイギリスの作家。『フロベールの鸚鵡』で注目を集め、『終わりの感覚』でブッカー賞受賞。知的なユーモアと鋭い風刺で現代英国文学を代表する存在です。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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読書セラピスト(東京創元社) ファビオ・スタッシ/橋本勝雄訳
¥1,100
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2022/2/18 発行 ISBN9784488016791 ハードカバー 人生に迷ったとき、もし“本”を処方してくれる人がいたら――そんな想いに、そっと応えてくれる一冊です。 元国語教師のヴィンチェは、恋人にも職も失い、人生のどん底にいました。けれど、彼はある日から「読書セラピスト」として、悩める人に本を“処方”し始めます。そんな彼のもとで起きた不可解な失踪事件。残されたのは、本のリストだけ。物語はミステリーとしても展開しつつ、読書がもたらす癒しや再生の力を、じんわりと伝えてくれます。 「本って、こんなにも人に寄り添えるんだな」──そう思わずにはいられませんでした。文学の力が、心の奥のほころびにやさしく触れてくれるのです。 読書が好きな方、人生に迷いを感じている方へ。きっと、あなたにぴったりの“処方箋”がこの本の中にあります。まずは一緒に、ヴィンチェの旅に出てみませんか。 <ファビオ・スタッシについて> ファビオ・スタッシはイタリアの作家で、読書と人生のつながりを描く作品に定評があります。代表作『読書セラピスト』はシェルバネンコ賞を受賞し、ビブリオミステリとしても高く評価されています。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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本を読む本(講談社学術文庫) M・Jアドラー、C・Vドレーン/外山滋比古、横未知子訳
¥710
非常に良い(非常に良い/良好/並) 55版 2015/4/20発行 ISBN4061592998 「本の読み方に自信がなくて…」「せっかく読むなら、もっと深く味わいたい」──そんなふうに感じたこと、ありませんか? 『本を読む本』(講談社学術文庫)は、そんな思いにそっと寄り添ってくれる一冊です。どんなふうに本を選び、どう読めば心に届くのか。読書の基本から応用までを、わかりやすく丁寧に教えてくれます。ページをめくるたびに、「本を読む」という行為そのものが、少しずつ深く、豊かになっていくように感じられるのです。 私自身も、この本を読みながら、ただ読むだけでは届かない“本の奥行き”のようなものに気づかされました。読書って、静かに心を耕す時間なんだなあと、あらためて思ったのです。 もっと本と仲良くなりたい方、読書を通して自分を育てたい方に、そっとおすすめしたい一冊です。よろしければ、あなたの読書の旅の一歩として、手に取ってみてくださいね。 <M・J・アドラー、C・V・ドレーンについて> M・J・アドラーはアメリカの哲学者・教育者で、対話を重視した古典教育を推進し、「グレートブックス運動」を展開。『ブリタニカ百科事典』の編集にも携わるなど、知の普及に貢献しました。共著者C・V・ドレーンも教育者・編集者として活躍し、ともに『本を読む本』を著しました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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囀る魚(西村書店) アンドレアス・セシェ/酒寄進一訳
¥760
良好(非常に良い/良好/並) 初版 ハードカバー 2016/6/1 発行 ISBN9784890137268 静かな街角の古書店で、ふと人生が動き出すような瞬間って、ありませんか? 『囀る魚』は、そんな心にやさしくしみわたる一冊なんです。 舞台はアテネの旧市街。本の世界が何より好きな青年ヤニスが、偶然足を踏み入れた小さな書店で出会ったのは、静かに本を愛する女店主・リオ。 ページをめくるように少しずつ心を開いていくふたりのやりとりに、私は胸がじんわりあたたかくなりました。 本って、ただ読むものじゃないんですよね。ときに人と人を結びつけて、日常に小さな奇跡を運んできてくれるんです。 本や本屋が好きな方、そっと心を整えたい方にこそ、ぜひ読んでいただきたい物語です。 あなたの心にも、やさしいさざ波が広がりますように──そんな願いをこめて、そっとおすすめします。 <アンドレアス・セシェについて> アンドレアス・セシェは、ドイツの作家・編集者。書店や本、文学をテーマにした作品を多く手がけており、代表作『囀る魚』では読書文化への愛情と繊細な人間描写が光る。詳細な経歴や受賞歴は公的情報が少なく、出版元による確認が望まれる。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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愛の重さ(ハヤカワ文庫) アガサ・クリスティー/中村妙子訳
¥50
SOLD OUT
【並】(非常に良い/良好/並) 3版 1976/11/15 発行 背表紙イタミあり、経年のキズ、ヤケあり 読むには問題ありません(装丁絶版) 「愛することは、時に誰かの重荷になってしまう」──そんな痛みを、あなたも感じたことがあるでしょうか。 アガサ・クリスティーが“メアリー・ウェストマコット”名義で書いた『愛の重さ』は、そんな愛の裏側にある静かな哀しみを描いた物語です。 主人公ローラは、愛されることに飢えながらも、妹に深い愛を注ぎます。けれど、その愛はいつしか妹にとって重すぎるものとなってしまうのです。 善意や思いやりが、時に誰かを傷つけてしまう──そんな現実に、胸が締めつけられました。でもだからこそ、人と人との距離や、愛の伝え方について深く考えさせられる一冊でした。 「愛」とは、ただ優しいだけのものではない。 その複雑さに、そっと寄り添ってくれる物語です。 静かな余韻が心に残るこの本、ぜひあなたの手でめくってみてくださいね。 ◆本書について:「ミステリーの女王」として知られるアガサ・クリスティー。 けれどその筆は、名探偵の謎解きだけでなく、人の心の奥深くにも静かに届いていました。 『愛の重さ』は、彼女が“メアリー・ウェストマコット”という別名で綴った、家族や愛のすれ違いを描いた一冊なんです。 推理小説とは違い、姉妹の間にある愛と嫉妬、そして「与える愛」と「受け取る愛」の繊細な違いに光を当てています。 クリスティー自身の経験や、女性としてのまなざしが込められたこの物語は、読んだあとにふっと心の奥があたたかくなるような、不思議な余韻を残します。 謎ではなく、人の心にそっと寄り添うクリスティーの一面を、どうぞ味わってみてくださいね。 <アガサ・クリスティーについて> アガサ・クリスティー(1890–1976)は、「ミステリーの女王」と称されるイギリスの推理作家です。ポアロやミス・マープルを生み出し、長編・短編あわせて100作以上を執筆。世界で最も多く翻訳された作家としても知られています。薬剤師助手や旅の経験が作品に活かされ、推理小説界に不動の地位を築きました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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夢の本(河出文庫) ホルヘ・ルイス・ボルヘス/堀内研二訳
¥1,100
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2019/2/20発行 ISBN9783094648555 眠っている間の夢の中で、ふと「これは現実?それとも…」と迷ったこと、ありませんか? 『夢の本』(河出文庫)は、幻想文学の巨匠ボルヘスが編んだ夢にまつわる物語集。 『千夜一夜物語』や『聖書』など古今東西の逸話が並び、読むほどに、夢と現実の境界がやわらかくほぐれていくようなんです。 実は、柚香の森ではボルヘスのもう一つの代表作『砂の本』も取り扱っています。 終わりのないページ、掴んだはずの世界が手のひらからすり抜けていくような感覚──その世界観に惹かれた方なら、『夢の本』もきっと心に残る一冊になるはずです。 日常のなかの不思議にそっと目を向けたいとき。本は、心をほどく鍵になってくれるんですよね。 まずは気になる一編から、夢の迷宮を旅してみてくださいね。 <ホルヘ・ルイス・ボルヘスについて> ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899–1986)はアルゼンチン出身の作家・詩人。幻想文学の巨匠として『伝奇集』『エル・アレフ』『砂の本』などで知られます。夢や迷宮、無限といったテーマを通して、現実と虚構の境界を揺さぶる独自の作風を確立。図書館司書としての経験や重病をきっかけに短編を執筆し、ポストモダン文学に大きな影響を与えました。エルサレム賞ほか国際的受賞多数。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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ペドロ・パラモ(岩波文庫) フアン・ルルフォ/杉山晃・増田義郎訳
¥900
良好(非常に良い/良好/並) 10版 2021/9/15発行 ISBN4003279115 表紙にヨレあり(書影の通り) 本文は美。 静かな町・コマラへと足を踏み入れた瞬間、まるで生と死のあわいに身をゆだねるような──そんな不思議な読書体験が始まります。 フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』は、亡き母の言葉に導かれて、父を探す旅に出た青年フアンが、自らの過去と向き合い、やがて“語り手”となる物語。 生者と死者の声が交錯し、記憶と現実が溶け合う世界に、ふと心が吸い込まれていくんです。 わたし自身、読みながら何度も立ち止まりました。 断片的な語りの中に、大切な何かが潜んでいる気がして──。 一度では終われない読書って、こんなにも奥深いんだなと感じさせてくれる作品です。 心が疲れているときや、人生の意味をふと問い直したくなったときに、そっと寄り添ってくれる一冊。 静けさの中にこだまする死者の声に、あなたも耳を澄ましてみませんか? <フアン・ルルフォについて> フアン・ルルフォ(1917–1986)は、メキシコ・ハリスコ州生まれの小説家・写真家です。幼くして両親を亡くし、苦しい境遇の中で育ちながらも文学への情熱を抱き続けました。代表作『燃える平原』『ペドロ・パラモ』はいずれも少ない発表作ながら、ラテンアメリカ文学に深い影響を与え、20世紀スペイン語文学を代表する作家と評されています。写真家としても高い評価を受けました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。