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あの本は読まれているか(東京創元社) ラーラ・プレスコット/吉澤康子訳
¥1,100
良好(非常に良い/良好/並) 3版 2020/8/7発行 ISBN9784488011024 ソフトカバー 「たった一冊の本が、世界を動かす──そんな物語が、本当にあったなんて。」 『あの本は読まれているか』(ラーラ・プレスコット)は、冷戦時代のアメリカとソ連を舞台に、“言葉”の力をめぐる驚きの実話をもとにした小説です。 物語の中心にあるのは、かの有名な『ドクトル・ジバゴ』。 映画にもなったこの美しい愛の物語が、実は政治の道具として秘密裏に利用されていた──そんな衝撃の背景が描かれます。 自由を求める作家たち、真実を届けようと奔走した女性たちの姿に、心がふるえる一冊です。 本の力を信じたい方、歴史の裏側にある“もうひとつの物語”に触れてみたい方に、そっとおすすめしたい作品です。 「読むこと」が、こんなにも切実で、希望に満ちた行為なのだと教えてくれる小説です。どうぞ、ごゆっくりお手にとってみてくださいね。 <ラーラ・プレスコットについて> ラーラ・プレスコット(Lara Prescott)は、アメリカの小説家。デビュー作『あの本は読まれているか』が世界的ベストセラーとなり注目を集めました。冷戦下のスパイ活動と文学の力を描いた本作は、20か国以上で翻訳され、高い評価を受けています。
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愛 文学の冒険シリーズ (国書刊行会) ウラジーミル・ソローキン/亀山郁夫訳
¥1,800
良好(非常に良い/良好/並) 2版 2013/11/15発行 ISBN9784039606 ハードカバー 「“愛”とは、ここまで深く、奇妙で、美しいものなのかもしれません──」 ロシア文学の鬼才・ソローキンが描くこの物語は、どこか現実離れしているのに、なぜか私たちの心の奥にひそむ「愛」の輪郭をくっきりと浮かび上がらせてくれます。 舞台は近未来のロシア。 国が“愛”を人工的にコントロールする世界で、ひとりの男が真実の愛を求めてもがく姿が描かれています。 柚香の森では、ただ“やさしい物語”だけでなく、ときに読者の心を揺さぶり、問いかけを投げかけてくれるような本も大切にしています。 この本もその一冊。 読み終えたあと、きっと「愛って、何だろう」と静かに自分の中で問い返したくなるでしょう。 刺激的でありながら、深く考えさせられる一冊です。 人間関係に少し疲れてしまった方、愛に迷いがある方、あるいは、ただ物語のなかで何かを感じたい方に。 読書セラピーの視点からも、「内なる感情を見つめ直す旅」としておすすめします。 少し不思議で、でも心に残る──そんな物語との出会い、そっと手に取ってみませんか。 <ウラジーミル・ソローキンについて> ウラジーミル・ソローキン( 1955年生まれ)は、現代ロシアを代表する作家・劇作家。ソ連体制への風刺や過激な表現で知られ、前衛的かつ挑発的な作風が特徴。代表作に『青い脂』『愛』などがあり、国内外で高い評価を受けています。
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プラムバン(新水社) ジェシー・レドモン・フォーセット/風呂本惇子 監訳
¥1,060
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2013/4/5発行 ISBN9784883851560 ソフトカバー 「自分の居場所が、どこにもないように感じてしまう時に――」 1920年代、アメリカ・フィラデルフィア。肌の色がほんの少し違うだけで、夢も、恋も、人生もままならない時代に、少女アンジェラは、自分が何者なのかを懸命に探し続けます。 『プラムバン』は、作者フォーセットが黒人女性として生きた痛みと誇りを、静かに、でも力強く描いた一冊。 自分の「正しさ」や「美しさ」を、外ではなく内に見出そうとするその姿に、心がふっと揺さぶられました。 わたし自身も、長いあいだ「わたしは何者なんだろう」と立ち止まってきました。 だからこそ、この本の静かな強さに惹かれ、『柚香の森』でそっとお届けしたいと願いました。 「肌の色」や「生まれ」にとらわれずに、自分を信じることの大切さ。 そんな気づきを、そっと手渡してくれる本です。 ◇ こんな方におすすめ ◇ ・自分らしさに迷っている方 ・マイノリティとして生きづらさを感じている方 ・人生の折々で「選択」に悩んでいる方へ 読書セラピーの視点からも、心の深くにそっと届く一冊です。 どうぞ、ご自分のペースで、ページを開いてみてくださいね。 <ジェシー・レドモン・フォーセットについて> ジェシー・レドモン・フォーセット(1882–1961)は、ハーレム・ルネサンスを牽引した作家・編集者。『クライシス』誌で多くの黒人作家を支援し、自身も人種や女性の葛藤を描いた作品を発表。再評価が進む文学界の先駆者です。
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ロスト・レイセン (講談社) マーガレット・ミッチェル
¥890
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 1996/5/20発行 ISBN4062080745 ハードカバー 「ほんとうに大切なものって、何だろう?」 南北戦争下のアメリカ南部を舞台に、愛と誇りのはざまで揺れる女性の人生を描いた『ロスト・レイセン』。激動の時代の中で失われていくもの、守りたいものの切なさが胸に迫ります。 この本を手に取ったのは、「強く見えても、本当は脆い心」を描く静かな力に心を打たれたから。読み進めるうちに、誰かを想う気持ちや、自分を信じることの尊さがじんわりと染みてきます。 過去にとらわれて前へ進めないとき、心が少し疲れてしまったとき、そっと寄り添ってくれる一冊です。読書セラピーの視点からも、自分の感情と丁寧に向き合いたい方におすすめです。 「今の私に必要な物語かもしれない」──そんな気がしたら、どうぞページをめくってみてくださいね。 激動の時代に揺れる愛のかたちを描いたこの物語は、恋の美しさと痛み、その両方を静かに伝えてくれます。 ※『ロスト・レイセン』は、まだ15歳だったマーガレット・ミッチェルが、初恋の人に宛てて綴った物語と手紙が収められた、小さな宝石のような一冊です。 のちに『風と共に去りぬ』を生み出す彼女の、若く澄んだ感性がそのまま息づいていて、ページをめくるたびに、心がふわりとあたたかくなります。 文学的にも歴史的にも価値のある作品で、古書としての魅力も感じられるお品です。 静かに心に残る本との出会いを、そっと探している方におすすめしたい一冊です。 <マーガレット・ミッチェルについて> マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)は、1900年アメリカ・ジョージア州アトランタ生まれの作家・ジャーナリストです。彼女の代表作であり、唯一の長編小説『風と共に去りぬ(Gone with the Wind)』は、南北戦争を背景にした壮大な愛と再生の物語で、1936年の発表直後から世界的なベストセラーとなりました。 この作品で彼女は1937年にピューリッツァー賞を受賞し、1939年にはヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル主演で映画化され、映画史に残る名作としても知られています。作家としての活動期間は短いものの、アメリカ文学に多大な影響を与えた人物です。
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赤い魚の夫婦 (現代書館) グアダルーペ・ネッテル/宇野和美訳
¥1,300
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2021/8/31発行 ISBN9784768459058 ハードカバー 表紙汚れ(少)表紙以外はきれいな状態です 心の奥のざわざわ、気づかないふりしてないですか? 『赤い魚の夫婦』は、夫婦の距離、親になるという選択、言葉にならない不安や孤独──そんな誰の胸にも潜む“心の揺れ”を、生き物たちと一緒に描いた短編集です。 赤いベタ、猫、ゴキブリ、菌、蛇…ちょっと変わった生き物たちが、それぞれの物語で人間の感情にぴたりと寄り添い、時にそっと寄り添い、時に深くえぐってきます。 舞台はメキシコ、パリ、コペンハーゲンと多彩で、どの物語にも「ここじゃないどこか」の空気と、「でもたしかにここにある感情」が同居しています。 当店がこの本を仕入れたのは、“静かな読書”の中に、思いがけない問いや気づきが宿っている本だから。 読むことで、自分の奥に沈んでいた感情に、そっと名前がつくかもしれない。 そんなふうに、誰かの心に静かに寄り添ってくれる一冊をお届けしたくて、この本を選びました。 第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞を受賞し、世界が注目したこの本。 読後、あなたのまわりの生き物たちが、いつもとちょっと違って見えてくるはずです。 これは、ただ読むだけの物語じゃない。心のどこかを、確実に動かしてくる本です。 <グアダルーペ・ネッテルについて> グアダルーペ・ネッテルは、1973年メキシコ生まれの作家。パリで博士号を取得し、スペイン語圏を代表する現代文学作家の一人。繊細な心理描写と独自の視点で国際的に高い評価を受けています。
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おどるでく 猫又伝奇集 (中公文庫) 室井光弘
¥1,070
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2023/6/25発行 ISBN9784122073838 「人ならざるもの」の哀しみや優しさに、そっと心を寄せてみませんか? 舞台は明治・大正の東京。 猫又をはじめとした妖たちが、時におかしく、時に切なく、人の世を生き抜こうとする姿が描かれます。 どこか懐かしく、胸の奥にじんと響く物語──。 柚香の森では、この本の“見えないものに宿る温もり”に心惹かれて、そっと仕入れ棚に加えました。 妖怪譚というよりも、人生の機微をそっと映す鏡のような一冊。 孤独や喪失を抱えている方にも、静かな癒しを届けてくれることでしょう。 「少し疲れてしまったな」と感じたとき、ページをめくってみてください。あなたの中の“何か”が、きっと静かにほどけていきます。 妖たちが生きる不思議で幻想的な世界観と、人ならざる存在を通して描かれる静かな情感が、まさに夢と現(うつつ)が交錯するような読書体験を届けてくれますよ。 ※巻末エッセイ(多和田葉子さん)あり <室井光弘さんについて> 室井光弘(むろい・みつひろ)さんは、日本の翻訳家・詩人。特にスペイン語圏の現代文学を中心に、多くの優れた翻訳を手がけています。繊細で詩的な訳文に定評があり、グアダルーペ・ネッテルやサマンタ・シュウェブリンなど、ラテンアメリカの注目作家の紹介に尽力しています。
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あひる(角川文庫) 今村夏子
¥400
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2019/1/25発行 河合隼雄物語賞受賞作品 『あひる』は今村夏子さんが描く、日常の中に潜む不思議さと違和感を探る作品です。 普通の日々が少しずつ変わっていく様子、そして「のりたま」というあひるを巡る出来事が家族にどう影響を与えるか。 物語は静かに進行しますが、その中に潜む不穏さが心に残ります。 きっと、あなたも気づかぬうちに感じている「何か」が、この本の中にもあるかもしれませんね。 日常の中の小さな変化を見逃さず、大切にしていきたいと思わせてくれる一冊です。
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嘘から出た誠(岩波文庫) ワイルド/岸本一郎訳
¥350
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪8版≫2019/2/7発行 この本棚に並んでいる一冊『嘘から出た誠』(オスカー・ワイルド著・岸本一郎訳)は、ちょっと特別な魅力を持った本なんです。タイトルからも気になりますよね。 「嘘」と「誠」なんて、私たちの心の中でもしょっちゅう交錯しているテーマ。 これをワイルドが、彼らしいユーモアと機知を込めて描いています。 たとえば、「嘘」が誰かを傷つけることもあれば、意外と誰かを救うことだってある。そんな不思議な人間模様を読むと、自分の中の小さな迷いや矛盾を見つけるかもしれません。 私はこの本を読んで、「そういえば、何気なく言った言葉が結果的に誰かを勇気づけたこともあったな」と、ちょっと優しい気持ちになりました。 ワイルドの鋭い洞察や皮肉たっぷりの表現に笑わされながら、最後には心が温かくなるような、そんな一冊です。 特に、日々の疲れや迷いで少し元気が欲しいなと思っている方におすすめです。この本が、あなたの新しい視点や気づきをそっと届けてくれるといいな、と思います。 どうぞゆっくりページをめくってみてくださいね。
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なにもしてない(講談社文庫) 笙野頼子
¥1,280
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫1995/11/15発行 野間文芸新人賞受賞(1991年) かつて、私も「なにもしていない」日々に、胸の奥がざわつくことがありました。 笙野頼子さんの『なにもしてない』は、そんな時にそっと寄り添ってくれる一冊です。 手の皮膚疾患に悩み、社会から離れた部屋でひっそりと生きる「私」の物語。 何もしていない自分を責めながら、それでも確かに「ここにいる」ことを描いています。 その静かな叫びが、読む人の心を深く揺らすんです。 笙野さんの独特な文体には、一見難解さもありますが、だからこそ感じられる言葉の力、生きる実感があります。 生産性ばかりが重視される今、「ただ在る」ことの尊さに気づかされます。 もし今、あなたがふと立ち止まっているなら。この本が、あなたの存在にやさしく光をあててくれるかもしれません。 どうぞ、焦らずゆっくりページをめくってみてくださいね。
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ゼラニウムの庭(ポプラ文庫) 大島真寿美
¥380
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2012/9/1発行 大島真寿美さんの『ゼラニウムの庭』は、明治から平成にかけての一族の歴史を描いた感動的な物語です。 「家族の秘密が、人生の意味を問いかける――」 そんな言葉に、ふと心がとまることはありませんか? 『ゼラニウムの庭』は、大島真寿美さんが描く、家族と時間にまつわる静かな長編小説です。主人公のみ子が受け取るのは、一族に隠された「ある秘密」。明治期に生まれた双子の妹・嘉栄は、時の流れから取り残されたかのように、ずっと若いままの姿で生き続けていたのです。 読んでいて、私は思わず胸の奥がじんわりと温かくなりました。 家族の絆や、人と違うことの意味、「生きる」ことの本当の姿…そのすべてに、やさしく問いかけてくるような物語でした。 もし今、家族や自分の在り方にふと立ち止まりたくなったら、この一冊を手に取ってみてください。きっと、あなた自身の物語にも、そっと光が差し込みますように。 <大島真寿美さんについて> 大島真寿美さんは1962年生まれ、名古屋市出身の小説家です。劇団活動を経て1992年に『春の手品師』で文學界新人賞を受賞し作家デビュー。以降、『ピエタ』『あなたの本当の人生は』など話題作を次々に発表し、2019年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で直木賞を受賞。作品は映像化も多く、幅広い世代に愛されています。
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東京奇譚集(新潮文庫) 村上春樹
¥380
良好(非常に良い/良好/並) 表紙にスレあり。 ≪初版≫ 2007/12/1発行 村上春樹さんの『東京奇譚集』は、予期しない出来事に翻弄される人々の不思議な体験を描いた短編集です。 5つの物語には、偶然の出会いや喪失、心の奥に潜む孤独が繊細に描かれています。 例えば、「偶然の旅人」では、ピアノ調律師が過去との和解を果たす瞬間に心が動かされたり、「ハナレイ・ベイ」では、亡き息子を思う母親が遭遇する奇妙な出来事が胸に残るんです。 この本を読むことで、日常の中に潜む不思議さに気づき、喪失や孤独と向き合うという新たな視点を見出すことだと思います。 村上春樹さんの世界観に浸りながら、現実と非現実が交錯する瞬間に引き込まれることでしょう。 この奇妙で美しい物語を、ぜひ手に取ってみてくださいね。
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不意撃ち(河出書房新社) 辻原登
¥820
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ハードカバー ≪初版≫2018/11/30発行 「人生は、いつも“予測不可能”——その瞬間、私たちは何を選ぶのか。」 辻原登さんの短編集『不意撃ち』には、ふとした拍子に訪れる“人生の転機”が描かれています。デリヘル嬢と運転手が顧客の死体に出会う夜、伊勢の海に浮かぶ孤島、震災後の東北、宇宙からの幻覚、定年後の突然の旅立ち──どの物語も、日常が一変する瞬間を描いています。 柚香の森がこの本を選んだのは、「非日常が日常に忍び込むとき、人はどう生きるのか」という問いに、そっと答えを差し出してくれるように思えたからです。 不条理の中にも、ひとはきっと前に進める──そんな光を見つけられる一冊でした。 人生の迷いの中にいる方に、そっと手渡したい。そんな一冊です。 <辻原登さんについて> 辻原登さん(本名:村上博)は1945年和歌山県生まれ。会社勤務の傍ら創作を続け、1985年「犬かけて」でデビュー。1990年「村の名前」で芥川賞受賞。以後も谷崎潤一郎賞、川端康成文学賞など多数受賞。現在は日本芸術院会員、神奈川近代文学館館長としても活躍中です。
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記憶の中の一番美しいもの(講談社) カレル・ファン・ローン/長山さき訳
¥800
【良好】(非常に良い/良好/並) 表紙にスレあり ハードカバー ≪初版≫2002/11/30発行 世界の18カ国に翻訳された世界的ベストセラー小説。 『記憶の中の一番美しいもの』はカレル・ファン・ローンによる父と子の物語です。 妻を亡くしたアーミンは、自分が子どもを作れない病気であり、息子ボウが実は誰の子かという疑問に悩みます。 ボウへの深い愛情と血のつながりがないことへの葛藤が丁寧に描かれています。 この本を読むと、家族の絆が血縁を超えてどれほど強いものであるかを改めて感じます。 記憶と現実の間で揺れる登場人物たちの心情に触れ、愛と責任、人間関係の複雑さについても深く考えさせられます。 親子のつながりについて考えたい方にぴったりの作品です。静かな感動が心に残りますよ。
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友だち(新潮社) シーグリット・ヌーネス/村松潔訳
¥1,300
【非常に良い】(非常に良い/良好/並)) ソフトカバー ≪2版≫2020/4/15発行 2018年全米図書賞受賞作品 『友だち』はシーグリット・ヌーネスによる深い思索と感動を呼ぶ作品。 ニューヨークを舞台に、初老の女性作家が親しい男性の友人を自殺で失い、その後、亡き友人が飼っていた巨大な老犬アポロを引き取ります。 物語は、彼女とアポロとの日々を通じて、愛や友情、老い、人生の意味について深く考えさせられます。 この本を読むと、人生や愛、死についてじっくり考え、自分の感情や思考に向き合う時間が持てます。 特に、作家としての視点から文学の本質を掘り下げたり、人間と動物との関係を再考することができる点が魅力です。 静かに心に残るこの物語を、ぜひ手に取ってみてください。
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終点のあの子(文春文庫) 柚木麻子
¥400
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪4版≫2014/8/25発行 収録作品「フォーゲットミー、ノットブルー」第88回オール讀物新人賞受賞作品(2008年) 史上最強の「ガールズ系小説」 『終点のあの子』は、柚木麻子さんが描く、女子高生たちの青春と成長をテーマにした連作短編集です。 物語は、入学式の日に出会った希代子と朱里の交流から始まります。 朱里は芸術的な家族背景を持ち、独特な個性を放つ少女で、二人の関係は少しずつ変化していきます。作品の中では、複数の女子高生たちがそれぞれの思いを抱えながら成長していく様子が描かれているんです。 思春期ならではの揺れ動く感情や人間関係が繊細に描かれ、読むと自己理解が深まり、他者への共感力も自然に育まれます。 学校生活のリアルな空気感や、少しずつ変わっていく人々の心情に共感しながら、自分の成長と重ね合わせて読むことができるはず。 もしもあなたが、自分と同じように悩みながら成長していく登場人物たちに心を寄せたくなったら、この本はぴったりです。
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一房の葡萄(ハルキ文庫) 有島武郎
¥320
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2011/4/15発行 有島武郎さんの『一房の葡萄』は、心温まる成長物語です。 物語の主人公「僕」は、絵を描くのが好きな内向的な少年。 ある日、憧れの西洋人のジムが持っていた絵具を衝動的に盗んでしまいます。発覚してしまい、憧れの女性教師に連れて行かれますが、先生は優しく許してくれ、代わりに一房の葡萄を「僕」に渡します。 翌日、ジムとも仲直りし、二人は葡萄を分け合います。 この物語を読んで、罪と赦しについて考えるとともに、人とのつながりがどれほど大切かを感じることができます。 小さな失敗から学び、成長する主人公に共感できることでしょう。こんな温かい気持ちを感じたくなりませんか? <有島武郎さんについて> 有島武郎さん(1878-1923)は白樺派の中心人物として活躍した明治・大正期の小説家。札幌農学校や海外で学び、社会主義思想や人道主義に傾倒。代表作に『或る女』『生れ出づる悩み』など。
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溺レる(文春文庫) 川上弘美
¥320
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪9版≫2005/8/5発行 第11回伊藤整文学賞受賞作品 第39回女流文学賞受賞作品 「逃げても、愛は消えない。息苦しさも、愛しさも、すべて抱きしめて。」 ──そんな言葉が、胸の奥にじんわりと沁みてくる一冊です。 川上弘美さんの短編集『溺レる』は、表題作をはじめとする八つの物語が静かに語りかけてくる恋愛掌篇集。とりわけ「溺レる」では、理由もなく逃げ続ける男女が、曖昧で浮遊するような場所を歩きながら、不確かな愛のかたちをそっと描き出します。 柚香の森では、人の心の奥にあるもの悲しさや、満たされない想いに寄り添う物語を大切にしています。この本は、派手な展開はなくとも、美しい日本語と静かな余韻が、心の「余白」をそっと照らしてくれました。 恋に苦しんだ記憶、閉塞感を感じる日々──そんな気持ちにふと立ち止まったとき、静かにこの物語を開いてみてください。言葉にできない想いに、やさしい灯りがともりますように。
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しろいろの街の、その骨の体温の(朝日文庫) 村田沙耶香
¥520
【良好】(非常に良い/良好/並) 綺麗な状態ですが、ヤケ少々あります。 ≪5版≫2017/1/30発行 第26回三島由紀夫賞受賞作品(2013年) 第1回フラウ文芸大賞受賞作品 村田沙耶香の『しろいろの街の、その骨の体温の』は、開発中のニュータウンを舞台にした、中学2年生の少女・結佳の成長物語です。彼女は、学校で「普通」でいることに苦しみ、周囲との違和感を感じながらも、次第に自分自身を見つめ直していくんです。 内心の葛藤や、人間関係のもつれが繊細に描かれ、特に思春期ならではの自意識過剰な心理描写が、切なくも胸に響いいてきます。 この本を読んでいると、私たちが抱える「普通」であることへの圧力や、それから外れることの怖さについて深く考えさせられます。 自分らしく生きるとは何か、多様性をどう受け入れるか、そんなテーマがじわじわと心に染みる一冊です。 村田沙耶香さんの独特の世界観に引き込まれること間違いなしです。
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マチネの終わりに(文春文庫) 平野啓一郎
¥700
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪5版≫2019/10/15発行 第2回渡辺淳一文学賞受賞作品(2017年) 「もしも、あのとき違う選択をしていたら…」そんな思いにふと立ち止まる瞬間はありませんか? 『マチネの終わりに』(文春文庫)は、40代を迎えた二人──ギタリストの蒔野聡史とジャーナリストの小峰洋子が、たった三度の出会いのなかで惹かれ合い、すれ違い、人生を選び続ける物語です。舞台は東京、パリ、バグダッド…。音楽や愛、人生の意味に静かに触れる時間が流れていきます。 この本を読んで、「人生に正解なんてないんだ」と、少し肩の力が抜けました。 過去を悔やむよりも、“今ここ”を生きることの大切さに気づかされます。 もし、あなたの心にも迷いや後悔があるのなら。 この静かな物語が、そっと灯りをともしてくれるかもしれません。 <平野啓一郎さんについて> 平野啓一郎さんは1975年愛知県生まれ。京都大学法学部在学中に執筆した『日蝕』で1999年に芥川賞を受賞し作家デビュー。以降『マチネの終わりに』『ある男』など多彩な作品を発表し、国内外で高い評価を得ています。エッセイや評論も手がけ、『三島由紀夫論』で小林秀雄賞受賞。音楽や美術への造詣も深い作家です。
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正しい女たち(文春文庫) 千早茜
¥460
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2021/5/10発行 千早茜の『正しい女たち』は、現代女性が抱える悩みや葛藤を鋭く描いた短編集。 6つの物語が織りなすのは、友情、恋愛、結婚、離婚、社会的な「正しさ」についての深い考察。登場人物たちの繊細な心情に共感し、現代の女性としての生き方を問い直させられるんです。 一つ一つのエピソードには、私たちが日常的に感じることや、直面している課題が映し出されていて、読み終わった後に心に残るものが多いんですよね。 特に、自己理解を深めたい方や社会の価値観について考えたい方にはぴったりです。 「自分らしさを見つけたい」という方におすすめ。 読むことで新たな視点が広がりますよ。
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情事の終わり(新潮文庫) グレアム・グリーン/田中西二郎訳
¥420
良好(非常に良い/良好/並) 表紙ヤケありますが、状態は良いです。 ≪47版≫2006/2/10発行 『情事の終わり』は、グレアム・グリーンが第二次世界大戦後のロンドンを舞台に、愛と信仰、嫉妬と救済を描いた一冊です。 不倫関係にあったモーリスとサラが織り成す物語は、愛の複雑さと人間の心の奥深さを静かに問いかけています。 特に、サラが神への誓いのために関係を断つ理由が明かされる場面は圧巻で、愛とは何か、自分にとっての信念とは何かを考えさせられます。 この本を読むと、人間関係や感情のもつれについて新たな視点を得られるだけでなく、グリーン独特の美しい心理描写に触れることができます。 読後には「愛」と「信仰」という大きなテーマを、自分自身に重ね合わせて考えたくなるはずです。 「深く考えさせられる物語が好き」という方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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女の一生(新潮文庫) モーパッサン/新庄嘉章訳
¥700
【並】(非常に良い/良好/並) ≪83版≫1986/5/30発行 モーパッサンの傑作長編作 フランス自然主義の代表的作家の一人。 モーパッサンの名作『女の一生』は、19世紀フランスの美しいノルマンディー地方を舞台に、一人の女性の人生を丁寧に描いた作品です。 主人公は、修道院から戻ったばかりの17歳の男爵令嬢ジャンヌ。夢いっぱいで迎えた人生のスタートでしたが、結婚、夫の裏切り、財産の喪失、親との別れなど、次々と試練が降りかかります。喜びと悲しみの波に翻弄されながら、ジャンヌは少しずつ成長していきます。 ジャンヌの物語を通じて、「人生ってこういうものかもしれない」と感じさせられる瞬間がたくさんあります。当時の女性がどんな社会的制約の中で生きていたのかも知ることができますし、ノルマンディー地方の美しい自然描写に心が癒されるはずです。 モーパッサンならではの繊細な心理描写や、人生の予測できない流れに身を任せるジャンヌの姿が、読む人の心にそっと寄り添います。 この作品は、私自身も読んだ後、じんわりと心に残りました。 「人生ってこういうものかもしれない」と考えさせられるような、静かな感動を得られる一冊です。ぜひ、あなたの本棚に迎えてみてくださいね。
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どきん 谷川俊太郎少年詩集 (理論社) 谷川俊太郎
¥1,580
良好(非常に良い/良好/並) 初版 1983年 ISBN4652038089 ハードカバー 日々のくらしのなかで、ふと心が「どきん」と動く瞬間って、ありませんか? 谷川俊太郎さんの詩集『どきん』には、そんな気持ちをくすぐる、ことばの魔法がたっぷり詰まっています。 何気ない風景や音、感覚が、ことばのリズムに乗せて軽やかに描かれ、読んでいるうちに、自分の中の感性がすっと息を吹き返すように感じられるのです。 店主自身も、声に出して読んでみたとき、その響きのたのしさに思わず笑ってしまいました。 こどもと一緒に、あるいはひとり静かに──。 読みながら心がほどけ、忘れていた“感じる力”がそっと戻ってくるような一冊です。 日常の中に、ちいさな「どきん」を見つけに行きませんか? <谷川俊太郎さんについて> 谷川俊太郎さん(1931–2024)は、日本を代表する詩人・翻訳家・絵本作家。1952年『二十億光年の孤独』で注目され、鋭い感性とリズム感ある詩で戦後詩の流れを切り開きました。詩や翻訳、作詞、脚本など多方面で活躍し、92歳まで創作を続けました。
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狭き門 (新潮文庫) アンドレ・ジッド/山内義雄訳
¥600
良好(非常に良い/良好/並) 109版 2010/6/15発行 ISBN9784102045039 『狭き門』──それは、叶わぬ恋と信仰のはざまで揺れる魂の物語です。 幼なじみのジェロームとアリサ。 互いに深く愛し合いながらも、アリサは“神の国”を選び、地上の幸福を拒み続けます。 「狭き門より入れ」という聖書の一節に導かれたその生き方は、美しくも切なく、読む人の心に静かに問いを投げかけます。 この物語を書いたのは、1947年にノーベル文学賞を受けたフランスの作家、アンドレ・ジッド。 信仰と愛が交差する静かな悲劇を、繊細な筆致で描き出しています。 私は読みながら、胸の奥がぎゅっと締めつけられました。 恋すること、信じること、捧げること── そのすべてが、こんなにも深く、こんなにも静かな痛みをともなうのだと知りました。 読み終えたあと、心に祈りの余韻が残るような一冊です。 <アンドレ・ジッドについて> アンドレ・ジッド(1869–1951)は、フランスを代表する小説家・文芸批評家です。自由意志と宗教的道徳の葛藤、人間の欲望を描いた作品で知られ、代表作に『背徳者』『狭き門』『贋金づくり』などがあります。文芸誌NRFの創刊者でもあり、植民地主義や全体主義に批判的立場を貫きました。1947年ノーベル文学賞受賞。