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友情(岩波文庫) 武者小路実篤
¥350
【良好】(非常に良い/良好/並) 12版 2015/7/15 発行 武者小路実篤の恋愛と友情の王道青春小説です。 脚本家・野島(売れていない)と、作家・大宮(売れている)は、各々が尊敬し合う友人。野島は美しい友人の妹・杉子に恋をします。 そこから始まる恋愛と友情の板挟みにおける「切なさ」「苦しさ」「幸せ」「もどかしさ」すべての感情がたくさん出てきます。 恋する気持ちと友情の在り方を改めて学んだように思えます。 三人のそれぞれの『気持ち』が交差して、決心を生みます。恋と友情に悩んでいる方にオススメします。 夏目漱石の『こころ』を読んだことのある人なら、違いが面白いと思いました。
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夜の光に追われて(講談社文庫) 津島佑子
¥650
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1989/9/10 発行 経年のヤケあります。 読むには全く問題ありません。 1986年第38回読売文学賞受賞作品 津島佑子:1947年東京都三鷹で父・津島修二(筆名:太宰治)、母・美知子の次女(里子)として生まれました。(2016年没) 彼女の父・太宰治は佑子が生まれた翌年に玉川上水で入水心中しました。 ***** 私小説、自叙伝ともいえる本書。 作者自身とも思われる小説家の主人公が、平安時代に書かれた『夜の寝覚』の物語を改めて書き直すことによって、物語のヒロイン珠子の悲しみに寄り添おうと試みる。 主人公が亡き息子の遺灰の一部を子の父親である男の元へ届けにいくストーリーと、「夜の寝覚」のヒロイン珠子の物語が交互に語られており、より悲しみを共感できる構造になっています。
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すべて真夜中の恋人たち(講談社文庫) 川上未映子
¥239
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2014/10/15 発行 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。」本文より 冬子(フユコ)34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う。 誰がどんな恋愛をしようと勝手ではないか。そんなことばが出てきました。心の中を繊細に描いている。さすが川上未映子さんだと思う!
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旅のラゴス 改版(新潮文庫) 筒井康隆
¥213
【良好】(非常に良い/良好/並) 31版 2015/10/31 発行 突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。 ラゴスは集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に なります。 自分の生涯をかけて旅をする意味はとても考え深いです。
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潤一(新潮文庫) 井上荒野
¥339
【良好】(非常に良い/良好/並) 3版 2018/6/10 発行 井上荒野による恋愛小説の連作短編集 第11回島清恋愛文学賞受賞作 26歳の青年・潤一と14歳から62歳まで9人の女性との刹那の愛を描いています。 まるで自分が9人の女性となり、いろんな側面の潤一と関わった気分になります。 もしかしたら、人生で、潤一のような人と一瞬でもかかわったんじゃないだろうか? そんなふうに思えました。 テレビドラマ化されています。潤一は志尊淳さん。
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小説読本(中央公論文庫) 三島由紀夫
¥462
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/10/25 発行 「小説家はなりたくてなれるものではない―」という出だしで始まります。 小説の原理を追究した長篇評論「小説とは何か」を中心に、「私の小説の方法」「わが創作方法」など、自ら実践する作り方を大胆に披瀝し編を収めている。 作家を志す人々に贈る、三島由紀夫による小説指南の書。説得力のある内容でした。 目次 作家を志す人々の為に 1(小説とは何か) 2(私の小説の方法;わが創作方法;小説の技巧について;法律と文学;私の小説作法;法学士と小説;法律と餅焼き) 3(私の文学;自己改造の試み;「われら」からの遁走)
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伊藤野枝集(岩波文庫) 森まゆみ編
¥875
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2019/9/18 発行 女性の解放を訴えた伊藤野枝(1895~1923年、福岡県出身)が、日本陸軍の憲兵に虐殺されて100年となります。 彼女は愛する大杉栄と無政府主義を唱え、女性の自由な活動などを説いて、信念を持って生きてきた人です。 「風よ、あらしよ」(村上由佳)の映画が公開されました。 イトウノエの生きざまに共感できる人もできない人も、本書を読むと、必死で愛と信念を持って生きて来たかということが分かります。 大杉栄と野枝の最後も衝撃的でした。 あの時代に生きていて、もし、野枝と知り合っていたとしたら、私はどうしただろう……
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どきん 谷川俊太郎少年詩集(理論社) 谷川俊太郎
¥688
【良好】(非常に良い/良好/並) ハードカバー 29版 1991/10月 発行 大人でも子供に帰れる。 きっと幼い頃ってこういう風に純粋で、説明するにも抽象的で、でも自分の中ではこういうう風に感じているっていう『気持ち』を説明してくれるような詩集。 小学生の頃の歌の歌詞が出てきます。 この『感じ』を表現するのに、こんな感じだったなぁ。 そう、そう、そんな感じ! 谷川俊太郎さんの詩は制限なく広がってゆく人間の優しさに満ちている。
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本は友だち(みすず書房) 池内紀
¥1,682
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2015/1/9発行 本は友だちとして、著者が大切に読んできた本たちを通じて、それぞれの本に宿る魅力的な人生を綴るエッセイ集。古今の本が紹介されています。 本が好きな人や、異なるジャンルの本に興味がある人におすすめです。 著者の独自の視点や文章の流れに魅了され、新たな読書体験ができると思います。 文章が流れるようで読みやすく、幅広いジャンルの本が取り上げられていますので、ワクワクします。
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月曜日の抹茶カフェ(宝島社文庫) 青山美智子
¥341
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/6/20 発行 「マーブル・カフェ」が特別に開く「抹茶カフェ」を舞台に、東京と京都を行き来しながら様々な人々の人生が交差する物語。 心温まる12カ月を紡いでいく、連作短編集です。
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椿の海の記(河出文庫) 石牟礼道子
¥432
SOLD OUT
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪8版≫ 2021/1/30 発行 自伝的小説になります。 水俣を舞台にした石牟礼道子の鮮やかな記憶の描写があり、後に起こる環境破壊の前の神話的な世界の喪失に注目してみてください。 環境問題を文学的な観点から考察した小説です。日本の風土や、環境問題に興味のある方は面白いと思います。
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今日の花を摘む(双葉社) 田中兆子
¥1,505
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/6/24 発行 田中兆子:1964(昭和39)年、富山県生まれ。8年間のOL生活を経て、専業主婦となる。 (あらすじ) 私の趣味は、男性との肉体を伴ったかりそめの恋。それを、私はひそかに「花摘み」と呼んでいる――。 出版社に勤めるかたわら茶道を嗜む愉里子は、一見地味な51歳の独身女性。 だが人生を折り返し、「今日が一番若い」と日々を謳歌するように花摘みを愉しんでいた。 そんな愉里子の前に初めて、恋の終わりを怖れさせる男が現れた。 20歳近く年上の茶の湯の粋人、万江島だ。だが彼には、ある秘密があった……。 肉体の衰えを感じ始めた世代のリアルな性愛を軸に、自分を偽らずに生きる女たちの姿と、その連帯を描いた著者初の長編小説。 中高年世代の性愛にタブーを怖れず挑んだ衝撃作『今日の花を摘む』(田中兆子著)が、 第3回『本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞』受賞 https://books.bunshun.jp/articles/-/8555
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楽天記(講談社文庫) 古井由吉
¥1,757
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2022/10/7 発行 (ほぼ新品) 自分とは似ても似つかない、そもそも存在しないはずの幻の息子が妙にリアルに作家柿原の夢に現れる。若い編集者が訪れ、疫病や死にまつわるエピソードを披露していく。 様々な謎と言葉を残し、死に至ることになる旧友との対話。 移ろい儚く過ぎ去る時間と情景のなかで、生と死のイメージが纏いつく。 否応のない老いと死を意識せざるをえない人生の終盤、悲観しながらも達観しただ暮らしていくなか辿り着いていく楽天の境地。 「死から生へ、ネガティヴのきわみからポジティヴなものへと転ずる」 「天ヲ楽シミテ、命ヲ知ル、故ニ憂ヘズ」という中国の古典にあるような境地へ。 解説・町田康
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ブラック・ティー(角川文庫) 山本文緒
¥283
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪50版≫ 2023/4/10 発行 女性の闇、ダークな部分のお話。短篇集です。 思わず自分じゃないかと思って、理解できたりする。 通り過ぎるのを待ってくれるように、心に寄り添ってくれる物語でした。
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越年(角川文庫) 岡本かの子
¥348
SOLD OUT
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2018/8/25 発行 岡本かの子は与謝野晶子の弟子で芸術家岡本太郎の母親 彼女の優れた短編の中から、恋愛にまつわる傑作を選りすぐって収録!されています。 短歌も有名ですが、そのため、情景描写がとても美しいです。 表紙の美しさにも負けないくらい、昭和初期の恋愛小説集でした。
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幻想の未来(角川文庫) 筒井康隆
¥368
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪改版初版≫ 2017/8/25 発行 進化した未来の人間を幻視して書かれたものです。 しかし、もしかすると現実になりそうな恐怖感もあります。 この人間の姿を想像しながら読み進めましたが、想像上の人間が脳裏に焼き付いています。 40年以上も前に書かれた本書ですが、驚きを隠せません。見事だと思います。 表題作他の9編はショートショートです。 ショーショートは味わい深いストーリーでした。
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あなたも私も(角川文庫) 久生十蘭
¥447
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/6/25 発行 久生十蘭(ひさお じゅうらん)北海道出身 小説家 1902年4月6日~1957年10月6日 売れないファッションモデルの水上サト子が、13億円の遺産相続の騒動に知らないうちの巻き込まれてゆく物語です。 詐欺師たちのが暗躍し、敵味方の暗中模索を味わう、久生十蘭らしい物語。 穏やかでおっとりしている性格だけれど、決して賢くないわけではない。とはいえ貧しさのせいで目の前のことだけしか考えられなくて 「いろんな人が色々言ってくるけれど、何を言っているのかさっぱりわからない」 という状態のまま、厄介な選択を迫られるサト子には、親しみ深く同情してしまいます。 昭和29年に毎日新聞に連載されました。
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水都眩光 幻想短編アンソロジー(文藝春秋) 高橋英里、マーサ・ナカムラ、大木美沙子、石沢麻衣、沼田真佑、坂崎かおる、大濱美子、吉村萬一、谷崎由依
¥2,245
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) (ほぼ新品) ≪初版≫ 2023/9/30 発行 ハードカバー 文學界2023年5月号特集12人の“幻想”短篇競作から、9つの短編を収録して2023年9月文藝春秋刊。 ***** それぞれの作家さんの幻想世界が描かれていて、ある意味、ドキドキしながらの読書です。 作家によってその人なりの幻想世界があり、どれもこれも乾いた心が潤った気がしました。 静かな夜に一話ずつ読みたい本です。 【目次】 ラサンドーハ手稿 高原英理 串 マーサ・ナカムラ うなぎ 大木芙沙子 マルギット・Kの鏡像 石沢麻依 茶会 沼田真佑 いぬ 坂崎かおる 開花 大濱普美子 ニトロシンドローム 吉村萬壱 天の岩戸ごっこ 谷崎由依
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鍵・瘋癲老人日記(新潮文庫) 谷崎潤一郎
¥429
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪57版≫ 2020/5/5 発行 老夫婦の閨房日記を交互に示す手法で性の深奥を描く「鍵」 老残の身でなおも息子の妻の媚態に惑う「瘋癲老人日記」 晩年の二傑作。(新潮社より) ***** 『鍵』 お互いの本心を隠した夫婦の日記が交互に綴られており、下世話なのですがずんずんと引き込まれた。 懐疑や嫉妬という負の感情は昔から人の心のエネルギーだったんだな、と思い知らされました。 淡々とした日記の文章の裏に潜む妻の陰湿で獰猛な本性が艶かしくて怖ろしい。 『瘋癲老人日記』 「痴人の愛」の主人公がナオミを思い通りにしようとして敵わず最後は軍門に降ったのに対して、この作品の主人公の老人は最初から息子の嫁・颯子に振り回されるのを喜びと感じている。 この老人に嫌悪感を感じないどころか、なんだか親しみを感じます。 谷崎の足フェチを堪能できました。
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大人のための残酷童話(新潮文庫) 倉橋由美子
¥347
SOLD OUT
再入荷です 【並】(非常に良い/良好/並) 7版 1999/3/25発行 経年によるヤケあり 読むには全く問題ありません 世界中の名作童話を縦横無尽にアレンジしており、物語の背後に潜む人間の邪悪な意思や淫猥な欲望を露骨に焙り出しています。 童話の最後に【教訓】が書かれています。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 子供では理解できない毒が混じっています。 挿絵と教訓が残酷さを語っている大人のグリム童話になっています。 ぜひ、一読ください。 『目次』 人魚の涙 一寸法師の恋 白雪姫 世界の果ての泉 血で染めたドレス 鏡を見た王女 子供たちが豚殺しを真似した話 虫になったザムザの話 名人伝補遺 盧生の夢 養老の滝 新浦島 猿蟹戦争 かぐや姫 三つの指輪 ゴルゴーンの首 故郷 パンドーラーの壺 ある恋の物語 鬼女の島 天国へ行った男の子 安達ケ原の鬼 異説かちかち山 飯食わぬ女異聞 魔法の豆の木 人は何によって生きるのか 童話の最後に【教訓】が書かれている。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 挿絵と教訓が残酷さを語っているグリム童話です!
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ほんとうの花を見せにきた(文藝春秋) 桜庭一樹
¥257
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2014/9/25 発行 ハードカバー ママが死んでいる場面から始まります。次いで姉さんの死体の様子。少年の僕は歯をがちがち鳴らしながら隠れている。 家族を皆殺しにされ、唯一生き残った少年が、吸血鬼の力を借りて生き抜く物語です。 少年と吸血鬼の友情、そして初恋を描いています。 絶望的な状況から救われた少年は、愛しい家族との別れを乗り越え、吸血鬼のバンブーと共に生き抜いていきます。バンブーにとって人間と暮らすことは大きな罪。その罰が下されるときがいずれやってくる。そんな中、出会った少女のバンブーに少年は初めての恋に落ちます。 少年は年を取るけれど、バンブーは年を取らない。120歳まで生きます。 言うなれば吸血鬼の大河ドラマです。バンブーたちが切なくて、美しい物語でした。 私はこういうお話は初めてだったので未知の世界を体験できて楽しかったです。 頭の中がリフレッシュされますよ。
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東京奇譚集(新潮文庫) 村上春樹
¥328
再入荷です。 【並】(非常に良い/良好/並) 表紙にスレあり。 ≪初版≫2007/12/1発行 どうしてこんなことが起こるのだろう。都市の隙間のあやしく底知れぬ世界へと導く5つの物語。 肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。(あらすじより) 映画化「ハナレイ・ベイ」(2018年10月公開)
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ルンタ(講談社) 山下澄人
¥825
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪2版≫ 2017/2/6発行 ソフトカバー 人間という暮らしにうんざりした、というわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。 生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。 天性の言語感覚と非凡な着想で書かれた傑作。 デビュー作『星になる』も収録されています。 ****** ふわふわと現実と夢の中を彷徨うような感覚なんだけれど、意識はしっかりしていて、 今、自分がいる場所ややらねばならないことがわかっている。 なのにふわふわして、なにやら悲しいという読後感。 こんな読後感はなかなか得られないなぁと、思います。言葉にしづらい感覚を残すのは、 やはり山下澄人さんだからかもしれません。
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赤泥棒(講談社) 献鹿狸太朗
¥1,137
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) (ほぼ新品) ≪初版≫ 2023/3/27発行 ハードカバー 町田康さん推し! 言葉に幅があり、しかもそれが的確に使用されている。辛辣な個性とその周囲を無情に描いていてよい。(文藝賞選評より) 現役慶応大学院生であり、漫画『踊るリスポーン』の著者・三ヶ嶋犬太朗が鮮烈の文芸デビュー! 「捨てられたものを拾うのは泥棒ではない」と嘯き、女装をして女子トイレに侵入し、捨てられた生理用ナプキンを盗む百枝菊人。女装がバレたら心の性別をたてに被害者ぶろうと思っていたところ、同じ学校の明石睦美に目撃される。彼女は百枝が自分と同じく、性別に違和感を抱いていると思い急速に接近してきた。無理解と偏見がマイノリティを利用し、共感と愛情が暴力を肯定する。 表題作「赤泥棒」に加え、文藝賞最終候補に選ばれた「青辛く笑えよ」 「普通」を唾棄する高校生が才能の塊と出会い自我を崩壊させる「寄食のダボハゼ」をおさめた短編集。 (ebookより) 読まれた形跡がないのでほぼ新品に近い状態です。とてもきれいです。