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あの本は読まれているか(東京創元社) ラーラ・プレスコット/吉澤康子訳
¥1,100
良好(非常に良い/良好/並) 3版 2020/8/7発行 ISBN9784488011024 ソフトカバー 「たった一冊の本が、世界を動かす──そんな物語が、本当にあったなんて。」 『あの本は読まれているか』(ラーラ・プレスコット)は、冷戦時代のアメリカとソ連を舞台に、“言葉”の力をめぐる驚きの実話をもとにした小説です。 物語の中心にあるのは、かの有名な『ドクトル・ジバゴ』。 映画にもなったこの美しい愛の物語が、実は政治の道具として秘密裏に利用されていた──そんな衝撃の背景が描かれます。 自由を求める作家たち、真実を届けようと奔走した女性たちの姿に、心がふるえる一冊です。 本の力を信じたい方、歴史の裏側にある“もうひとつの物語”に触れてみたい方に、そっとおすすめしたい作品です。 「読むこと」が、こんなにも切実で、希望に満ちた行為なのだと教えてくれる小説です。どうぞ、ごゆっくりお手にとってみてくださいね。 <ラーラ・プレスコットについて> ラーラ・プレスコット(Lara Prescott)は、アメリカの小説家。デビュー作『あの本は読まれているか』が世界的ベストセラーとなり注目を集めました。冷戦下のスパイ活動と文学の力を描いた本作は、20か国以上で翻訳され、高い評価を受けています。
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愛 文学の冒険シリーズ (国書刊行会) ウラジーミル・ソローキン/亀山郁夫訳
¥1,800
良好(非常に良い/良好/並) 2版 2013/11/15発行 ISBN9784039606 ハードカバー 「“愛”とは、ここまで深く、奇妙で、美しいものなのかもしれません──」 ロシア文学の鬼才・ソローキンが描くこの物語は、どこか現実離れしているのに、なぜか私たちの心の奥にひそむ「愛」の輪郭をくっきりと浮かび上がらせてくれます。 舞台は近未来のロシア。 国が“愛”を人工的にコントロールする世界で、ひとりの男が真実の愛を求めてもがく姿が描かれています。 柚香の森では、ただ“やさしい物語”だけでなく、ときに読者の心を揺さぶり、問いかけを投げかけてくれるような本も大切にしています。 この本もその一冊。 読み終えたあと、きっと「愛って、何だろう」と静かに自分の中で問い返したくなるでしょう。 刺激的でありながら、深く考えさせられる一冊です。 人間関係に少し疲れてしまった方、愛に迷いがある方、あるいは、ただ物語のなかで何かを感じたい方に。 読書セラピーの視点からも、「内なる感情を見つめ直す旅」としておすすめします。 少し不思議で、でも心に残る──そんな物語との出会い、そっと手に取ってみませんか。 <ウラジーミル・ソローキンについて> ウラジーミル・ソローキン( 1955年生まれ)は、現代ロシアを代表する作家・劇作家。ソ連体制への風刺や過激な表現で知られ、前衛的かつ挑発的な作風が特徴。代表作に『青い脂』『愛』などがあり、国内外で高い評価を受けています。
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プラムバン(新水社) ジェシー・レドモン・フォーセット/風呂本惇子 監訳
¥1,060
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2013/4/5発行 ISBN9784883851560 ソフトカバー 「自分の居場所が、どこにもないように感じてしまう時に――」 1920年代、アメリカ・フィラデルフィア。肌の色がほんの少し違うだけで、夢も、恋も、人生もままならない時代に、少女アンジェラは、自分が何者なのかを懸命に探し続けます。 『プラムバン』は、作者フォーセットが黒人女性として生きた痛みと誇りを、静かに、でも力強く描いた一冊。 自分の「正しさ」や「美しさ」を、外ではなく内に見出そうとするその姿に、心がふっと揺さぶられました。 わたし自身も、長いあいだ「わたしは何者なんだろう」と立ち止まってきました。 だからこそ、この本の静かな強さに惹かれ、『柚香の森』でそっとお届けしたいと願いました。 「肌の色」や「生まれ」にとらわれずに、自分を信じることの大切さ。 そんな気づきを、そっと手渡してくれる本です。 ◇ こんな方におすすめ ◇ ・自分らしさに迷っている方 ・マイノリティとして生きづらさを感じている方 ・人生の折々で「選択」に悩んでいる方へ 読書セラピーの視点からも、心の深くにそっと届く一冊です。 どうぞ、ご自分のペースで、ページを開いてみてくださいね。 <ジェシー・レドモン・フォーセットについて> ジェシー・レドモン・フォーセット(1882–1961)は、ハーレム・ルネサンスを牽引した作家・編集者。『クライシス』誌で多くの黒人作家を支援し、自身も人種や女性の葛藤を描いた作品を発表。再評価が進む文学界の先駆者です。
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赤い魚の夫婦 (現代書館) グアダルーペ・ネッテル/宇野和美訳
¥1,300
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2021/8/31発行 ISBN9784768459058 ハードカバー 表紙汚れ(少)表紙以外はきれいな状態です 心の奥のざわざわ、気づかないふりしてないですか? 『赤い魚の夫婦』は、夫婦の距離、親になるという選択、言葉にならない不安や孤独──そんな誰の胸にも潜む“心の揺れ”を、生き物たちと一緒に描いた短編集です。 赤いベタ、猫、ゴキブリ、菌、蛇…ちょっと変わった生き物たちが、それぞれの物語で人間の感情にぴたりと寄り添い、時にそっと寄り添い、時に深くえぐってきます。 舞台はメキシコ、パリ、コペンハーゲンと多彩で、どの物語にも「ここじゃないどこか」の空気と、「でもたしかにここにある感情」が同居しています。 当店がこの本を仕入れたのは、“静かな読書”の中に、思いがけない問いや気づきが宿っている本だから。 読むことで、自分の奥に沈んでいた感情に、そっと名前がつくかもしれない。 そんなふうに、誰かの心に静かに寄り添ってくれる一冊をお届けしたくて、この本を選びました。 第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞を受賞し、世界が注目したこの本。 読後、あなたのまわりの生き物たちが、いつもとちょっと違って見えてくるはずです。 これは、ただ読むだけの物語じゃない。心のどこかを、確実に動かしてくる本です。 <グアダルーペ・ネッテルについて> グアダルーペ・ネッテルは、1973年メキシコ生まれの作家。パリで博士号を取得し、スペイン語圏を代表する現代文学作家の一人。繊細な心理描写と独自の視点で国際的に高い評価を受けています。
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なにもしてない(講談社文庫) 笙野頼子
¥1,280
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫1995/11/15発行 野間文芸新人賞受賞(1991年) かつて、私も「なにもしていない」日々に、胸の奥がざわつくことがありました。 笙野頼子さんの『なにもしてない』は、そんな時にそっと寄り添ってくれる一冊です。 手の皮膚疾患に悩み、社会から離れた部屋でひっそりと生きる「私」の物語。 何もしていない自分を責めながら、それでも確かに「ここにいる」ことを描いています。 その静かな叫びが、読む人の心を深く揺らすんです。 笙野さんの独特な文体には、一見難解さもありますが、だからこそ感じられる言葉の力、生きる実感があります。 生産性ばかりが重視される今、「ただ在る」ことの尊さに気づかされます。 もし今、あなたがふと立ち止まっているなら。この本が、あなたの存在にやさしく光をあててくれるかもしれません。 どうぞ、焦らずゆっくりページをめくってみてくださいね。
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不意撃ち(河出書房新社) 辻原登
¥820
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ハードカバー ≪初版≫2018/11/30発行 「人生は、いつも“予測不可能”——その瞬間、私たちは何を選ぶのか。」 辻原登さんの短編集『不意撃ち』には、ふとした拍子に訪れる“人生の転機”が描かれています。デリヘル嬢と運転手が顧客の死体に出会う夜、伊勢の海に浮かぶ孤島、震災後の東北、宇宙からの幻覚、定年後の突然の旅立ち──どの物語も、日常が一変する瞬間を描いています。 柚香の森がこの本を選んだのは、「非日常が日常に忍び込むとき、人はどう生きるのか」という問いに、そっと答えを差し出してくれるように思えたからです。 不条理の中にも、ひとはきっと前に進める──そんな光を見つけられる一冊でした。 人生の迷いの中にいる方に、そっと手渡したい。そんな一冊です。 <辻原登さんについて> 辻原登さん(本名:村上博)は1945年和歌山県生まれ。会社勤務の傍ら創作を続け、1985年「犬かけて」でデビュー。1990年「村の名前」で芥川賞受賞。以後も谷崎潤一郎賞、川端康成文学賞など多数受賞。現在は日本芸術院会員、神奈川近代文学館館長としても活躍中です。
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情事の終わり(新潮文庫) グレアム・グリーン/田中西二郎訳
¥420
良好(非常に良い/良好/並) 表紙ヤケありますが、状態は良いです。 ≪47版≫2006/2/10発行 『情事の終わり』は、グレアム・グリーンが第二次世界大戦後のロンドンを舞台に、愛と信仰、嫉妬と救済を描いた一冊です。 不倫関係にあったモーリスとサラが織り成す物語は、愛の複雑さと人間の心の奥深さを静かに問いかけています。 特に、サラが神への誓いのために関係を断つ理由が明かされる場面は圧巻で、愛とは何か、自分にとっての信念とは何かを考えさせられます。 この本を読むと、人間関係や感情のもつれについて新たな視点を得られるだけでなく、グリーン独特の美しい心理描写に触れることができます。 読後には「愛」と「信仰」という大きなテーマを、自分自身に重ね合わせて考えたくなるはずです。 「深く考えさせられる物語が好き」という方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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女の一生(新潮文庫) モーパッサン/新庄嘉章訳
¥700
【並】(非常に良い/良好/並) ≪83版≫1986/5/30発行 モーパッサンの傑作長編作 フランス自然主義の代表的作家の一人。 モーパッサンの名作『女の一生』は、19世紀フランスの美しいノルマンディー地方を舞台に、一人の女性の人生を丁寧に描いた作品です。 主人公は、修道院から戻ったばかりの17歳の男爵令嬢ジャンヌ。夢いっぱいで迎えた人生のスタートでしたが、結婚、夫の裏切り、財産の喪失、親との別れなど、次々と試練が降りかかります。喜びと悲しみの波に翻弄されながら、ジャンヌは少しずつ成長していきます。 ジャンヌの物語を通じて、「人生ってこういうものかもしれない」と感じさせられる瞬間がたくさんあります。当時の女性がどんな社会的制約の中で生きていたのかも知ることができますし、ノルマンディー地方の美しい自然描写に心が癒されるはずです。 モーパッサンならではの繊細な心理描写や、人生の予測できない流れに身を任せるジャンヌの姿が、読む人の心にそっと寄り添います。 この作品は、私自身も読んだ後、じんわりと心に残りました。 「人生ってこういうものかもしれない」と考えさせられるような、静かな感動を得られる一冊です。ぜひ、あなたの本棚に迎えてみてくださいね。
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どきん 谷川俊太郎少年詩集 (理論社) 谷川俊太郎
¥1,580
良好(非常に良い/良好/並) 初版 1983年 ISBN4652038089 ハードカバー 日々のくらしのなかで、ふと心が「どきん」と動く瞬間って、ありませんか? 谷川俊太郎さんの詩集『どきん』には、そんな気持ちをくすぐる、ことばの魔法がたっぷり詰まっています。 何気ない風景や音、感覚が、ことばのリズムに乗せて軽やかに描かれ、読んでいるうちに、自分の中の感性がすっと息を吹き返すように感じられるのです。 店主自身も、声に出して読んでみたとき、その響きのたのしさに思わず笑ってしまいました。 こどもと一緒に、あるいはひとり静かに──。 読みながら心がほどけ、忘れていた“感じる力”がそっと戻ってくるような一冊です。 日常の中に、ちいさな「どきん」を見つけに行きませんか? <谷川俊太郎さんについて> 谷川俊太郎さん(1931–2024)は、日本を代表する詩人・翻訳家・絵本作家。1952年『二十億光年の孤独』で注目され、鋭い感性とリズム感ある詩で戦後詩の流れを切り開きました。詩や翻訳、作詞、脚本など多方面で活躍し、92歳まで創作を続けました。
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狭き門 (新潮文庫) アンドレ・ジッド/山内義雄訳
¥600
良好(非常に良い/良好/並) 109版 2010/6/15発行 ISBN9784102045039 『狭き門』──それは、叶わぬ恋と信仰のはざまで揺れる魂の物語です。 幼なじみのジェロームとアリサ。 互いに深く愛し合いながらも、アリサは“神の国”を選び、地上の幸福を拒み続けます。 「狭き門より入れ」という聖書の一節に導かれたその生き方は、美しくも切なく、読む人の心に静かに問いを投げかけます。 この物語を書いたのは、1947年にノーベル文学賞を受けたフランスの作家、アンドレ・ジッド。 信仰と愛が交差する静かな悲劇を、繊細な筆致で描き出しています。 私は読みながら、胸の奥がぎゅっと締めつけられました。 恋すること、信じること、捧げること── そのすべてが、こんなにも深く、こんなにも静かな痛みをともなうのだと知りました。 読み終えたあと、心に祈りの余韻が残るような一冊です。 <アンドレ・ジッドについて> アンドレ・ジッド(1869–1951)は、フランスを代表する小説家・文芸批評家です。自由意志と宗教的道徳の葛藤、人間の欲望を描いた作品で知られ、代表作に『背徳者』『狭き門』『贋金づくり』などがあります。文芸誌NRFの創刊者でもあり、植民地主義や全体主義に批判的立場を貫きました。1947年ノーベル文学賞受賞。
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ほんとうの自分 (集英社文庫) ミラン・クンデラ/西永良成訳
¥810
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2024/7/25発行 ISBN9784087607925 静かに年を重ねていくことは、どこかで「変わっていく自分」と向き合うことでもあります。 ミラン・クンデラ『ほんとうの自分』は、更年期を迎えた女性の揺れる心と、愛と老い、アイデンティティの危機を、驚くほど繊細に描いた一冊です。 “わたしは、わたしのままでいいの?” そんな問いが胸の奥にふと浮かぶ方に、そっと寄り添ってくれる物語だと思いました。 夢と現実の境界があいまいになっていく中で、心が探し求めているものに、静かに手を伸ばすような読書体験が待っています。 言葉にできない不安や変化のなかにこそ、「ほんとうの自分」は宿るのかもしれません──。 <ミラン・クンデラについて> ミラン・クンデラは1929年チェコ生まれの作家。プラハの映画芸術大学で教鞭をとりつつ文筆活動を開始し、1967年『冗談』で注目されました。政治的弾圧により1975年にフランスへ亡命、1984年『存在の耐えられない軽さ』で世界的名声を得ました。2023年に94歳で逝去。
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トム・ジョウンズ(一)~(四) (岩波文庫) ヘンリー・フィールディング/朱牟田夏雄訳
¥3,980
並(非常に良い/良好/並) トム・ジョウンズ(一):27版 1992/2/26発行 トム・ジョウンズ(二):24版 1997/10/16発行 トム・ジョウンズ(三):19版 1992/2/26発行 トム・ジョウンズ(四):19版 1992/2/26発行 全4巻セット 裸本 天地小口ヤケ 本文は目立ったイタミなく、全体的に概ね良好です。 18世紀のイギリスを舞台にした、古典文学の傑作『トム・ジョウンズ』。 自由奔放だけれど純真な青年トムと、彼を妬む陰険なブライフィル。 善と悪の間で揺れる人間たちの姿を、ユーモアと風刺たっぷりに描いたこの物語は、まるで人生そのもののように複雑で、あたたかく、そして痛みもあります。 特に、地の文で語りかけてくる語り手の声が、時にやさしく、時に鋭く、読者の心をそっとゆさぶります。 “本当の善さとは何か”“人はなぜ迷うのか”。そんな問いに、静かに向き合いたくなる物語です。 読み終えたとき、なんだか少し、自分にやさしくなれる気がしますよ。 <ヘンリー・フィールディングについて> ヘンリー・フィールディング(1707–1754)は、18世紀イギリスの劇作家・小説家・風刺作家であり、後に治安判事としても活躍しました。風刺喜劇で名を上げたのち検閲法により劇作を断念し、法律家へ転身。代表作『トム・ジョウンズ』を含む小説で文学史に名を残し、警察制度の先駆けも築きました。
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オルガ (新潮クレストブックス) ベルンハルト・シュリンク/松永美穂訳
¥1,360
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2020/4/25発行 ISBN9784105901653 ソフトカバー 心の奥に、少しだけ痛みを抱えている方へ── 静かに寄り添ってくれる物語をご紹介させてください。 『オルガ』(ベルンハルト・シュリンク著)は、19世紀末から20世紀のドイツを舞台に、身寄りのない少女が、時代の波に翻弄されながらも、自分の言葉を大切にして生きていくお話です。 派手な展開はありません。ただ、オルガというひとりの女性が、愛する人を想い、喪失と孤独に向き合いながら、静かに、でも確かに前を向く姿に、私は何度も心を打たれました。 「私は私」と言える強さ。 どんなときも、静かな声で語りかけてくるようなまなざし── この物語には、生きていくための知恵と、やわらかな癒しが流れています。 もし、今少しだけ心が疲れていたら。 “オルガ”を読んで、自分自身とやさしく向き合う時間を持ってみませんか。 『柚香の森』で、そんな一冊と出会っていただけたら、うれしいです。
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行動することが生きることである(集英社文庫)/私のお化粧人生史(中央公論文庫) 宇野千代
¥650
『行動することが生きることである』 良好(非常に良い/良好/並) 35版 2010/8/7発行 ISBN9784087480870 迷ったときこそ、一歩踏み出す勇気を——。 『行動することが生きることである』(宇野千代 著)は、90歳を超えてもなお「今を生きる」ことをやめなかった著者が、人生のあらゆる場面で掴んできた知恵を、率直に、あたたかく綴った一冊です。 「まず動くこと」がどれほど心を軽くし、生きる力になるか――ページをめくるごとに、その実感が胸に広がっていきます。迷いや失敗もすべて含めて、人生は“行動”から始まる。そんな宇野さんのまなざしは、そっと背中を押してくれるよう。 わたしも、読んでいて不思議と心に張りが戻るようでした。もし今、立ち止まっているのなら、この本をそっと手にとってみてください。宇野千代さんの言葉が、あなたの今日に寄り添ってくれるかもしれません。 『私のお化粧人生史』 並(非常に良い/良好/並) 4版 1987/8/5発行 ISBN4122011272 経年のヤケあり、本文は問題ありません。 「美しく、しなやかに生きる」──そんな言葉が、ふと胸に響いたときに、そっと手に取っていただきたいのが宇野千代さんの随筆集『私のお化粧人生史』(中公文庫)です。華やかでありながらも、自分を大切にするためのお化粧。その一つひとつに込められた宇野さんの想いや日々の心の揺れが、まるで自分の記憶のように重なってくるのです。 この本は、お化粧という身近な行為を通して、「自分らしく生きる」ことの意味を問いかけてくれます。どんな年齢でも、どんな環境でも、自分を愛し、慈しむことの大切さに気づかせてくれました。読んだあと、鏡の中の自分をちょっとだけ優しい目で見られる──そんな時間を届けてくれる一冊です。 心が疲れたとき、自分らしさを思い出したいとき、そっと寄り添ってくれる本です。『柚香の森』で、あなた自身の美しさと出会う読書を楽しんでみませんか。 <宇野千代さんについて> 宇野千代さん(1897–1996)は、山口県岩国市生まれの小説家・随筆家。1921年に文壇デビュー後、恋愛や美意識を貫いた生き方で多彩な創作活動を展開しました。日本初の女性ファッション誌を創刊し、きものデザイナーとしても活躍。晩年も執筆を続け、85歳で新聞連載を開始するなど、生涯現役を貫きました。1996年、98歳でその生涯を静かに閉じました。
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蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫) 田山花袋
¥420
非常に良い(非常に良い/良好/並) 89版 2022/10/30 発行 田山花袋の『蒲団・重右衛門の最後』は、”日本の自然主義文学の深み”を感じることができる一冊です。 『蒲団』では、既婚作家と若い女学生の微妙な距離感が生み出す葛藤を通して、人間の弱さや絶望を鮮烈に描いています。 『重右衛門の最後』では、社会から疎外された人物たちの深い憎しみや孤独が、思わず引き込まれてしまうほどの力強さで描かれています。 どちらの作品も、心に深く刻まれ、読むたびに新しい気づきがあるのが魅力。何度読んでも飽きません。 私が思うに、この本は単に物語を楽しむだけでなく、人間の本質に触れることができるので、人間の複雑さや痛みを感じることで、私たちが日常生活でどれだけ見過ごしている感情や思いがあるのかに気づけるのかもしれません。 きっと、読み手にも共感できる瞬間がたくさんあるはずなんです。 この作品を手に取って、あなたの心の深い部分に触れてみてください。きっと、心に残る一冊になるはずですよ。 <田山花袋について> 田山花袋(本名:田山録弥(ろくや))は、1871年に栃木県で生まれました。14歳で上京し、19歳で小説家を志し、尾崎紅葉に師事しました。博文館に勤務し、1907年には『蒲団』を発表、日本自然主義文学を確立しました。その後、『生』や『妻』など多くの作品を残し、1930年に60歳で亡くなりました。
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ある犬の飼い主の一日(新潮クレストブックス) サンダー・コラールト/長山さき訳
¥1,200
非常に良い(非常に良い/良好/並) ソフトカバー 初版 2023/4/25発行 ISBN9784105901882 ◆2020年 リブリス文学賞受賞作品 『ある犬の飼い主の一日』は、サンダー・コラールトが紡ぐ、静かでやさしい物語。 老犬スフルクと暮らすヘンクの一日は、何気ないけれど、心にしみる時間の連なり。小さな出来事が、人生の輝きをそっと照らします。 大切な存在を愛おしく思う気持ち、あなたにもきっと伝わるはずです。 オランダ固有の犬種コーイケルホンディエのスフルクを溺愛するヘンクの姿に、私も胸が温かくなりました。どうぞ、じんわりと心に染みる読書を。 <リブリス文学賞とは?> リブリス文学賞は、Twitterの投票で決まる読者が選ぶ文学賞です。対象は、国内の新作小説と海外の初めて翻訳された小説。投票はハッシュタグをつけて行い、「国内部門」「海外部門」のどちらかだけでもOK。本好きの声が反映される、ちょっと特別な文学賞です。 <サンダー・コラールトさんについて> サンダー・コラールトさんはオランダ出身の小説家。代表作『ある犬の飼い主の一日』はオランダでベストセラーとなり、日本でも新潮クレスト・ブックスから翻訳出版された。生と死を巧みに描き、人生の意味を探求する作風が特徴。
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神の子供たちはみな踊る(新潮社) 村上春樹
¥1,000
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2000/2/25発行 ISBN4103534117 ソフトカバー 「喪失の先に、静かな再生がある」──そんな言葉がふっと浮かぶ一冊です。 村上春樹さんの短編集『神の子どもたちはみな踊る』には、阪神・淡路大震災の余波のなかを生きる人々の姿が、6つの物語としてそっと綴られています。 舞台は、東京や釧路、冬の海辺など、現実の日本各地。 登場人物たちは、大きな出来事のあとで、それぞれの不安や喪失と静かに向き合いながら暮らしています。 どの物語も、1話20〜30分ほどで読める短編集なので、忙しい日々の合間にもやさしく寄り添ってくれます。ページをめくるたび、自分の中に眠っていた感情や、心の震えに気づかされるかもしれません。 どうか、静かな夜や、少し疲れた朝に、この本をそっと開いてみてください。 きっとあなたの心にも、やさしい光が届きますように。
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恋(新潮文庫) 小池真理子
¥480
良好(非常に良い/良好/並) 6版 2004/8/5発行 ISBN4101440166 ◆第114回直木賞受賞作品 誰もが一度は落ちる、抗えない“恋”の深淵。 小池真理子さんの『恋』は、静かに心を締めつけるような切なさと、ふと胸をよぎる虚無感を描いた物語です。 浅間山荘事件の影で起きた発砲事件を背景に、大学生の布美子が巻き込まれる、倒錯した三角関係。25年後の布美子の回想から語られるこの物語には、人間の弱さや欲望、そして孤独が、静かに、でも確かに流れています。 読んでいると、自分の心の奥底に眠る“何か”をそっと揺さぶられるようで、登場人物たちに共感できなくても、どこかで自分自身を重ねてしまう瞬間がありました。 「人を想う」という行為の純粋さと危うさに、気づかされる一冊です。 切ない恋愛や複雑な人間模様に心惹かれる方に、ぜひ手に取っていただきたいです。静かに胸に残る、忘れられない読書体験になりますように。 <小池真理子さんについて> 小池真理子さん(1952年生・東京出身)は、エッセイ集『知的悪女のすすめ』でデビュー後、小説『恋』で直木賞を受賞。恋愛や心理サスペンスを得意とし、多くの文学賞に輝く実力派作家です。人間心理を鋭く描く筆致が魅力です。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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イングランド・イングランド(東京創元社) ジュリアン・バーンズ/古草秀子訳
¥50
SOLD OUT
良好(非常に良い/良好/並) 初版 2006/12/25発行 ISBN4488016391 ソフトカバー 「“本物”って、なんでしょうね?」 そんな問いかけから始まる物語に、私は静かに引き込まれていきました。 イングランドの伝統や歴史をそっくりそのまま再現し、テーマパーク化する壮大な計画――そこに巻き込まれた主人公マーサの目を通して描かれるのは、「本物」とは何かという深い問いです。 皮肉とユーモアに満ちたジュリアン・バーンズの筆は、現代社会の観光や消費文化をどこか冷ややかに、けれどどこか可笑しく描き出していきます。 読んでいると、気づけば自分の価値観まで静かに揺さぶられていて…「本物らしさ」って、誰が決めるんだろう?と、考えずにはいられませんでした。 イギリス文学や社会風刺がお好きな方、そして少し立ち止まって「今の時代」を見つめ直してみたい方に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。 あなたも、“本物”と“偽物”のあいだを旅してみませんか? <ジュリアン・バーンズについて> ジュリアン・バーンズは1946年生まれのイギリスの作家。『フロベールの鸚鵡』で注目を集め、『終わりの感覚』でブッカー賞受賞。知的なユーモアと鋭い風刺で現代英国文学を代表する存在です。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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読書セラピスト(東京創元社) ファビオ・スタッシ/橋本勝雄訳
¥1,100
非常に良い(非常に良い/良好/並) 初版 2022/2/18 発行 ISBN9784488016791 ハードカバー 人生に迷ったとき、もし“本”を処方してくれる人がいたら――そんな想いに、そっと応えてくれる一冊です。 元国語教師のヴィンチェは、恋人にも職も失い、人生のどん底にいました。けれど、彼はある日から「読書セラピスト」として、悩める人に本を“処方”し始めます。そんな彼のもとで起きた不可解な失踪事件。残されたのは、本のリストだけ。物語はミステリーとしても展開しつつ、読書がもたらす癒しや再生の力を、じんわりと伝えてくれます。 「本って、こんなにも人に寄り添えるんだな」──そう思わずにはいられませんでした。文学の力が、心の奥のほころびにやさしく触れてくれるのです。 読書が好きな方、人生に迷いを感じている方へ。きっと、あなたにぴったりの“処方箋”がこの本の中にあります。まずは一緒に、ヴィンチェの旅に出てみませんか。 <ファビオ・スタッシについて> ファビオ・スタッシはイタリアの作家で、読書と人生のつながりを描く作品に定評があります。代表作『読書セラピスト』はシェルバネンコ賞を受賞し、ビブリオミステリとしても高く評価されています。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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本を読む本(講談社学術文庫) M・Jアドラー、C・Vドレーン/外山滋比古、横未知子訳
¥710
非常に良い(非常に良い/良好/並) 55版 2015/4/20発行 ISBN4061592998 「本の読み方に自信がなくて…」「せっかく読むなら、もっと深く味わいたい」──そんなふうに感じたこと、ありませんか? 『本を読む本』(講談社学術文庫)は、そんな思いにそっと寄り添ってくれる一冊です。どんなふうに本を選び、どう読めば心に届くのか。読書の基本から応用までを、わかりやすく丁寧に教えてくれます。ページをめくるたびに、「本を読む」という行為そのものが、少しずつ深く、豊かになっていくように感じられるのです。 私自身も、この本を読みながら、ただ読むだけでは届かない“本の奥行き”のようなものに気づかされました。読書って、静かに心を耕す時間なんだなあと、あらためて思ったのです。 もっと本と仲良くなりたい方、読書を通して自分を育てたい方に、そっとおすすめしたい一冊です。よろしければ、あなたの読書の旅の一歩として、手に取ってみてくださいね。 <M・J・アドラー、C・V・ドレーンについて> M・J・アドラーはアメリカの哲学者・教育者で、対話を重視した古典教育を推進し、「グレートブックス運動」を展開。『ブリタニカ百科事典』の編集にも携わるなど、知の普及に貢献しました。共著者C・V・ドレーンも教育者・編集者として活躍し、ともに『本を読む本』を著しました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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白の闇 新装版(NHK出版) ジョゼ・サラマーゴ/雨沢泰訳
¥1,100
良好(非常に良い/良好/並) 初版 ソフトカバー 2008/5/30発行 ISBN9784140055434 ある日突然、目の前が真っ白に──そんな想像をしたことはありますか? 『白の闇』は、視界を奪う“白い病”によって人々の暮らしが音もなく崩れていく、衝撃の物語です。 誰もが理由も分からぬまま視力を失い、隔離された元病棟で生き抜こうとする人々。 食糧の奪い合い、支配と暴力の連鎖…。 極限状態のなかで、私たちが「人間らしさ」と呼んでいるものの正体が、あらわになっていくんです。 読むうちに、「見える」という当たり前がどれほど尊いことなのかに気づかされます。 そして、希望の光のように現れる“見える女性”の存在が、静かに、でも確かに、読む人の心にも光を届けてくれるんですよね。 この本は、癒しを与える物語ではないかもしれません。 でも、心の奥深くにある不安や問いに向き合い、気づきへと導いてくれる──そんな読書体験になると思います。 どうか、この白い世界の中で、あなた自身の「光」を見つけてみてくださいね。 <ジョゼ・サラマーゴについて> ジョゼ・サラマーゴ(1922–2010)は、ポルトガル出身の作家・劇作家。農家の息子として生まれ、高校中退後に整備工や新聞記者を経て、40代から本格的に執筆活動を開始しました。1982年の『修道院回想録』で注目され、1998年にはポルトガル語圏初のノーベル文学賞を受賞。社会批評と寓話性を融合させた独特の文体で、人間の本質を鋭く描いた作品を数多く残しました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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幻影の書(新潮社) ポール・オースター/柴田元幸訳
¥50
SOLD OUT
良好(非常に良い/良好/並) 3版 ハードカバー 2008/12/25発行 ISBN9784105217129 失ったものが大きすぎて、心が空っぽになってしまう──そんなとき、あなたは何に手を伸ばしますか? この物語は、愛する妻と娘を飛行機事故で亡くした大学教授ジンマーが、人生の意味を見失いながらも、ふとした映画との出会いから、再び歩き出す勇気を見つけていくお話です。 ある日、届いた一通の手紙をきっかけに、彼は“死んだはず”の伝説の映画監督・ヘクター・マンの謎を追い始めます。 現実と幻想が交錯する中で、自分自身と深く向き合うその姿に、すごく心を揺さぶられました。 物語の力って、時に人の魂をふわっと抱きしめてくれるんですよね。 私も読みながら涙がこぼれました。芸術や偶然の出会いが、絶望の中にある私たちに、そっと光を差し込んでくれるんです。 もし今、あなたの心にぽつんと空いた空白があるなら──この一冊が、その空白をあたたかく満たしてくれるかもしれません。 <ポール・オースターについて> ポール・オースター(1947–2024)は、アメリカ・ニュージャージー州出身の小説家・詩人。コロンビア大学で文学を学び、多彩な職業を経験後、作家として活躍。『ニューヨーク三部作』で国際的に注目され、『ムーン・パレス』『幻影の書』など現代アメリカ文学を代表する作品を多数発表。詩や脚本、映画監督としても才能を発揮し、文学と芸術の世界に大きな影響を与えました。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。
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ソフィーの世界(上・下) 哲学者からの不思議な手紙(NHK出版) ヨースタイン・ゴルデル/池田香代子訳
¥50
SOLD OUT
【上下セット】 ・ソフィーの世界(上) 良好(非常に良い/良好/並) 19版 ソフトカバー 2000/7/1 発行 ISBN4140803312 ・ソフィーの世界(下) 非常に良い(非常に良い/良好/並) 14版 ソフトカバー 2000/7/1 発行 ISBN4140803320 子どもの頃、「自分って何者なんだろう?」と、ふと立ち止まって考えたことはありませんか。 『ソフィーの世界』は、そんな問いにやさしく寄り添ってくれる物語です。 14歳の少女ソフィーのもとに届いた一通の手紙「あなたはだれ?」という問いかけから、彼女の“考える旅”が始まります。 プラトン、デカルト、カント……次々に現れる哲学者たちの言葉を通して、ソフィーと一緒に世界や自分のことを見つめ直していく時間は、まるで静かな冒険のようでした。 難しいと思われがちな哲学も、物語の中では驚くほどやわらかく、親しみやすく描かれています。 読んでいると、当たり前だと思っていた日常の風景が、ふときらめいて見えてくるのです。私もこの本に出会って、「考えることは、生きることそのものなんだ」と、あらためて気づかされました。 もし今、立ち止まりたくなるような時があったなら…、ソフィーとともに、“問い”の扉を開いてみませんか。 ページをめくるたび、心の奥にあった純粋な好奇心が、そっと目を覚ましてくれるはずです。 <ヨースタイン・ゴルデルについて> ヨースタイン・ゴルデル(1952年生まれ)は、ノルウェー出身の小説家・児童文学作家で、オスロ大学で思想史を学びました。1986年から執筆を始め、1991年に発表した『ソフィーの世界』が世界的なベストセラーとなり、53か国語に翻訳されました。ゴルデルは社会活動にも積極的で、環境・発展援助を支援する「ソフィー賞」を創設しています。 ※丁寧な梱包を心がけております。簡易包装ですが、防水・緩衝材で保護してお届けいたします。