ゲルマニウムの夜(文藝春秋) 花村萬月
¥800
【並】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1998/9/20 発行 天、小口にシミ、ヤケあり。シミが気にならない方なら大丈夫です。読むには問題ありません。クリーニング済 この物語は、殺人を犯した青年・朧(ろう)が、自分が育った修道院兼教護院に戻って身を隠す話です。 彼は修道院でも暴力的な行為や性的な行動を繰り返し、周りの人々を傷つけます。作 者の作品には、暴力や性的描写が多く登場しますが、それは現代における「神」に近い存在のあり方を問うものとも考えられます。朧の行動はどこへ向かうのかが描かれています。少し怖かったですが、花村萬月さん全開の初期作品です。 初期作品を読むと、作家の傾向がよくわかりますよね。 第119回 芥川賞受賞作品
読書する人だけがたどり着ける場所(SBクリエイティブ㈱) 齋藤孝
¥450
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪23版≫ 2020/8/29 発行 新書版 本にはネットでは得られない大事な学びがたくさんあります。著者の齋藤先生は、読書が人生や考え方を深めてくれると説明し、さまざまな名作を紹介しています。 これから本を読もうと思っている人や、どの本を選ぶか迷っている人に、やさしく読書の魅力を伝えてくれる本です。例えば「こころ」や「カラマーゾフの兄弟」など、名作もたくさんあります。紹介されている全ての本を読みたくなりますよ。
吉沢久子 すっきり生きる言葉(主婦の友) 吉沢久子
¥500
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2019/9/30 発行 ソフトカバー どうすればすっきり生きられるでしょうか?101歳まで自立して生きた吉沢久子さんの言葉がヒントになります。彼女は「これまでの人生を否定しないことが大事」と言います。また、「自分を責めなくてもいい」とも。彼女は日々、居心地の良い家づくりや、好奇心を持って人との関わりを大切にし、無駄な時間を使わないようにしていました。限られた体力の中でも、自分らしく前向きに生きた姿がとても参考になります。
木曜日にはココアを(宝島社文庫) 青山美智子
¥500
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪20版≫ 2023/1/3発行 私たちは気づかないうちに、誰かを助けていることがあります。散歩をしたり、卵焼きを作ったり、ココアを注文したりする日常の出来事がつながって、誰かの命を救うこともあります。この本は、小さなカフェ「マーブル・カフェ」での12の物語が描かれており、読むと心が温かくなります。特に幼稚園の先生の話は感動的で、どの話も希望に満ちた結末が待っています。何度も読み返したくなる優しい作品です。
余命一年、男をかう(講談社文庫) 吉川トリコ
¥450
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2024/5/15発行 片倉唯は40歳、節約が趣味の独身女性です。ある日、無料のがん検診を受けたところ、進行した子宮がんと宣告されます。手術を勧められますが、唯は「これでやっと死ねる」と少しほっとします。そんな時、病院のロビーでピンク髪の若い男性が現れ、「お金持ってない?」と声をかけてきました。この出会いをきっかけに、唯と彼の奇妙な関係が始まり、彼女の人生が少しずつ変わっていく物語です。サクサクとした文章や、登場人物の会話に感情移入しやすいので、すぐに読めてしまいます。 第28回島清恋愛文学賞受賞作
快楽の本棚 言葉から自由になるための読書案内(中央公論新書) 津島佑子
¥550
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2003/1/25 発行 第Ⅰ部は、幼年時代から中学時代までの読書遍歴というか思い出話。 第Ⅱ部は、読書遍歴とちょっとエッセイ風の読書案内。 この作品は、著者が自身の過去を振り返りながら、家族や文学とのつながりを描いています。太宰治の娘としての経験や、幼少期の読書の思い出が織り交ぜられ、時に笑いを誘いながら、後半では文学作品の深い考察が展開されます。 最終的には、著者の晩年の作品への橋渡しとなる内容で、思わず引き込まれます。 太宰治の娘である、津島佑子さんに興味のある方は一読されるといいです。
続・伊藤比呂美詩集(思潮社) 伊藤比呂美
¥900
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2011/7/30発行 詩人、伊藤比呂美さんをご存知の方もそうでない方もいらっしゃいます。 独特の世界をもち、何も怖くない素振りのある感じが、わたしは好きです。 「詩」は人の心にどう響くか?それは言葉の選び方、文章の運び方、美的センス、美術品です。それらを味わうにはぴったりの詩集だと思います。 以下、p35「ナシテ、モーネン」より抜粋しますね。 消えてゆく言語はスウィートだ、 関係がそこで消えても、 彼の記憶がそこで消えても、 声に出し消えてゆく言語はとてもスウィートだ、
いま見てはいけない(東京創元社) ダフネ・デュ・モーリア/務台夏子訳
¥850
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 再版 2016/12/9発行 デュ・モーリアの本には、不思議な出来事やサスペンス、驚きの結末が詰まっています。 『いま見てはいけない』は、日常の中に潜む不安や恐怖を描いた短編集。 登場人物たちが直面する奇妙な出来事や、心の奥に抱える葛藤は、まるで自分の中にもそんな不安があるように感じさせてくれます。 特に「いま見てはいけない」では、過去の思いが現在に影響を与え、現実と幻想が交錯する不気味な体験が描かれています。読んでいるうちに、心の奥に隠された感情や人間関係について深く考えさせられるはず。 少し不安を感じながらも、読み終わった後には新たな視点を得られる一冊です。
『赤×ピンク』(角川文庫)/桜庭一樹 『Love Songs』(幻冬舎文庫)/唯川恵他
¥450
【並】(非常に良い/良好/並) 2冊セットです ◆『赤×ピンク』(角川文庫)/桜庭一樹 ≪初版≫ 2008/2/25発行 深夜の六本木の廃校で、少女たちが毎晩非合法のファイトを行っています。彼女たちは悩みを抱えつつも、格闘技を通じて答えを見つけようとしています。この物語は、壊れたけれど純粋な少女たちのサバイバルと愛を描いており、自分について悩む女性にとって参考になる本です。 ◆『Love Songs』(幻冬舎文庫)/唯川恵・山本文緒・角田光代・桜井亜美・横森理香・狗飼恭子・江國香織・小池真理子 18版 2005/1/25発行 この本は、8人の作家による恋愛短編集です。特に小池真理子の「STORM」は読みやすく、情景が鮮明で感情移入しやすいです。主人公が過去を振り返っても仕方ないと感じるセリフに心を打たれます。この本には女性作家の作品が集まっており、それぞれの個性がよく表れています。私のお気に入りは狗飼恭子の「やさしい気持ち」で、好きな人への想いに共感できました。
不倫(角川書店) パウロ・コエーリョ/木下眞穂訳
¥500
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/4/30 発行 ハードカバー リンダは優しい夫と二人の子どもに恵まれ、ジャーナリストとして活躍しています。一見すると、誰もが羨む暮らしを送っているように見えますが、彼女はわけのわからない孤独や不安を感じ、恐怖を抱いています。そんな中、昔の恋人と再会し、刺激と情熱に溺れてしまいます。周囲を巻き込みながら、すべてを失いかけたとき、リンダは真実に気づきます。不倫がストーリーの中心ですが、その結末は予想外であり、やはりコエーリョらしい、嫌味のない展開でした。スイスの美しい情景描写が物語に心地よく、味わい深い作品に仕上がっています。
オペラ座の怪人(角川文庫) ガストン・ルルー/長島良三訳
¥400
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪25版≫2016/1/20発行 19世紀末、パリ。華やかなオペラ座の舞台裏では、奇怪な事件が続発していた。首吊り死体、シャンデリアの落下。そして、その闇に跋扈する人影。“オペラ座の怪人”と噂されるこの妖しい男は、一体何者なのか? オペラ座の歌姫クリスティーヌに恋をしたために、ラウラはこの怪異に巻き込まれる。そして、運命の夜、歌姫とラウルは、まるで導かれるように、恐ろしい事件に飲み込まれていく――。(あらすじより)
マンハッタンの怪人(角川書店) フレデリック・フォーサイス/篠原慎訳
¥450
【良好】(非常に良い/良好/並) 再版 2000/4/5発行 ハードカバー 『ミュージカルの名作「オペラ座の怪人」の続編で、怪人と歌姫の愛の秘密が明かされる物語です。 前作では、怪人が愛を知らずに地下に潜んでいましたが、オペラ座の歌姫に恋をし、惨劇が起きました。13年後、怪人はパリからニューヨークに移り、才能と努力で大成功を収めましたが、心の傷は癒えませんでした。ある日、フランスからの手紙が彼の運命を変え、ニューヨークを舞台に新たなドラマが展開されます。この作品は単なる続きではなく、前作と同じくらいの魅力を持つ愛の物語として描かれています。 小説の続編(基本はミュージカルとほぼ同じような内容です)とは少し違いますので、ミュージカルを観た方は面白いですよ! ちなみに、小説「オペラ座の怪人」は取り扱いがあります。
イエーツ詩集(思潮社) イエーツ/加島祥造訳
¥800
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ソフトカバー ≪第3版≫ 2009/4/25発行 今は亡き、加島祥造さんの訳です。詩人としてとてもすてきな作品を残されてます。その加島祥造さんがこよなく愛したイエーツ。洗練された世界を堪能して欲しいです。また、いろいろな人が訳した詩が載っているのはとても新しいアイデアです。イェーツについての大切な文章もあります。
夜の樹(新潮文庫) トルーマン・カポーティ/川本三郎訳
¥350
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪25版≫2018/1/10発行 O・ヘンリ賞受賞作「ミリアム」を含む傑作短編集。 夜の樹 夢を売る女 最後の扉を閉めて 無糖の鷹 誕生日の子どもたち 銀の壜 ぼくにだって言いぶんがある 感謝祭のお客 夢と現実のあわいに漂いながら、心の核を鮮かに抉り出す、お洒落で哀しいショート・ストーリー9編。 映画化 トルーマン・カポーティ 真実のテープ(2020年11月公開) ****************** 村上春樹さんが翻訳した『誕生日の子供たち』と『夜の樹』には、どちらにも『無頭の鷹』というお話が入っています。訳し方の違いを比べてみたい人には本書が役立ちます。
密室論(七月堂) 朝吹亮二
¥50
SOLD OUT
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫2017/7/22発行 ソフトカバー 《『密室論』復刊》 指のおもむくままに頁をめくり、 目のおもむくままにそれを読む。 あるいは、任意に開かれた頁に記された文字を、 声に出してみてほしい。 紙と声、また紙と指、指と目とのあいだで執りおこなわれる性愛に、 つかのま溺れるだろう。(本文より)
嘘(ポプラ社) 宮沢賢治、与謝野晶子、エロシェンコ
¥800
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪3版≫2012/3/24発行 ソフトカバー 心からこぼれ落ちる その言葉は本物ですか 村の落ちこぼれ少年・斉藤平太は、父の威信で職に就いたものの、間抜けな失敗ばかり。皆の嘲笑に嫌気がさして心機一転上京するが…(宮沢賢治『革トランク』)。級友の作り話遊びに退屈した「私」は、「今迄隠して居ましたけれど」と自らの秘密を語りはじめた(与謝野晶子『嘘』)。「わたしたちは色が白いから、いちばん文明が進んでいるのですか?」――盲目の少年の問いに、大人たちは狼狽する(エロシェンコ『ある孤独な魂』)。曇りなき心で綴られた名篇が、鏡となって虚構を映し出す。(ポプラ社より)
本の虫(アートン新社) スティーブン・ヤング/薄井ゆうじ訳
¥1,500
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2002/11/30 発行 ソフトカバー 本好きサンには必ず「本の虫」が住み着いています。 「読み虫」「書き虫」「古本買い虫」「図書館虫」など。 私は何種類かの「本の虫」を自然と飼育し増殖させていたことが判明しました。 この虫達は本好き人間がこの世から去れば、同時に去ってゆくものだそうです。 「本の虫」のことをよく研究された奇書であり、これまでなんとなく本好きを「本の虫」と言っていたけれど、ちゃんとした虫がついているのだと理解できます。 面白く読めました。 目次 第1部 本の虫とは何か(本の虫の発見;本の虫の概要;駆除・撲滅の歴史;本の虫の変態・擬態・天敵;絶滅危惧種としての本の虫) 第2部 読み虫類(読み虫の生態;活字虫症候群;読み癖症候群;読書環境依存症;書籍購入症候群;文学物品フェティシズム) 第3部 書き虫類(書き虫の生態;書き虫感染者の症例;小説書き虫) 第4部 本の虫の飼育
世界でいちばん美しい(小学館) 藤谷治
¥700
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2013/11/4 発行 ソフトカバー 普通じゃない人、せった君がピアノに人生の全てをかけ、30年という短い人生を全うします。生きてる途中、不器用ながらも全力で恋をした。 せった君と幼馴染の島崎君が共に成長ゆく過程が興味深く読めました。 島崎君はせった君にピアノの先生を紹介し、上手く上達しているらしいせった君に少しの嫉妬があるのです。そのとき、ピアノの先生が島崎君に「みんながモーツァルトやベートーヴェンになれるわけじゃない」と。「っていうより、みんな、なれない。一人ひとり、自分になるしかない。そして自分には限界がある」 せった君を庇うわけではなく、音楽に於いて、その他全般に於いても、人は、自分になるしか方法がない!ということを言いたかったのです。 幼馴染みの島崎君が語り手となり、頑張って生きたせった君のお話が進んでゆきます。 第31回織田作之助賞受賞作品 優しい内容なので寝る前読書にピッタリです。
文身(祥伝社) 岩井圭也
¥750
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2020/3/20 発行 ハードカバー 自殺した弟が書いた小説をそのまま私小説とするために、弟と同じ人生を歩む須賀庸一のおはなしです。 須賀庸一は粗暴で酒飲みであり、業界での評判は良くない。けれども執筆依頼が絶えなかったのは、作品がすべて〈私小説〉だと宣言されていたからです。 作中、話が二転三転し、本当はどちらなのか?というあやしい感じになってきますが、それがこの作家のすごいところじゃないでしょうか。 弟は生きていたのか、庸一が書いていたのか、という問いに苦しめられる。 どんどん引き込まれて行きました。 上半期の直木賞候補までになった作家・岩井圭也さんの経歴を本作品で垣間見ることができました。
令和元年の人生ゲーム(文藝春秋) 麻布競馬場
¥1,550
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2024/2/25 発行 ソフトカバー ●上半期 第171回直木三十五賞候補作品 四つの短編が収録されている。 第一話『平成28年』の主人公は、慶應大学に進学し、意識高い学生が所属するビジコン運営サークル「イグナイト」に入った男子学生。 第二話『平成31年』の主人公は、就活生に絶大な人気のあるメガベンチャー「パーソンズ」に入社した新卒の女性。 第三話『令和4年』は、なんとなく入社した会社の新規事業部で働く社会人7年目の男性。 最終話「令和5年」の舞台は、老舗銭湯である。 沼田という人がキーパーソンになるのですが、最後まで沼田を見届けて欲しいです。 90年代後半から2000年代に生まれたZ世代の価値観や生き方を描いた作品です。主人公の沼田くんは、周りの「意識が高い」若者たちと違い、あえて「何もしない」生き方を選びます。彼は会社で最低限の仕事をして、毎日定時に帰り、特に大きな夢や野心を持たず、22歳にして窓際族のような存在です。そんな彼の生き方が、平成の落ちこぼれなのか、令和の革命家なのかが問いかけられます。 2021年にTwitterで小説を書き始めた麻布競馬場は、すぐに「タワマン文学」という流行語を作りました。デビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』が大ヒットし、第2作では「Z世代の生き方」をテーマにしました。
夏の陰(角川書店) 岩井圭也
¥800
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2019/4/26 発行 ソフトカバー 立てこもり事件の犯人の息子・倉内岳。 岳を助けようとして殺された機動隊員の息子・辰野和馬の物語です。 加害者家族、被害者家族の苦しみを双方の息子を通して読者に突きつけてくる。 表紙の絵は剣道ですが、その2人が剣道の試合でぶつかり合うことになります。 とても重い物語でした。 この二人の心理描写が秀逸で、ぐんぐん読みました。 ここまで書き切ることのできる岩井圭也さんはすごい!と思います。
楽園の犬(角川春樹事務所) 岩井圭也
¥1,000
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/8/31 発行 ハードカバー あらすじより 「時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができる のか? そして、どこまで自らの意思を通すことができるのか? 南洋の地を舞 台にした壮大な物語がここに――。 1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。 日本と各国が水面下でぶつかり合 う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。 表向きは、南洋庁サイ パン支庁庶務係として。 だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。 日 本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策 の基準」として日本の外交方針となったのは1936年だった。 その後、一般国民の 間でも南進論が浸透していった。 この地にはあらゆる種類のスパイが跋扈し、日 本と他国との開戦に備え、海軍の前線基地となるサイパンで情報収集に励んでい た。 麻田は、沖縄から移住してきた漁師が自殺した真相を探ることをきっかけ に、南洋群島の闇に踏み込んでいく……。」
この部屋から東京タワーは永遠に見えない(集英社) 麻布競馬場
¥1,000
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 2版 2022/10/9 発行 ソフトカバー 有名大学を出て大手企業に就職し、順風満帆のエリートコースを送るはずが、コースから外れて田舎に戻るという人生を送る人。 ここに出てくる話で地方出身者の東京での「挫折」を冷めた視点で描いています。 冷酷と思うか、当てはまると思うか、冷静に受け止められるか。そんなことを考えながら面白く読めました。 この作品は、いわゆる「タワマン文学」に属しています。 2016年ころから、地方出身者がタワマンに住み、そこでの生活を描いた作品はいくつかあります。そのなかのひとつです。 ペンネームの「麻布競馬場」は、大学卒業後8年間麻布十番に在住していたことから。 もうひとつは、東京に生きる人々を競走馬に例え、「好きに走りまわっているように見えて、実際には決まったコースを走らされている。 結局、ムチを打たれながら競争させられている。」 という皮肉を込めて名付けたそうです。 覆面作家なのでお顔はわかりません。
暗い引力(光文社) 岩井圭也
¥700
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/12/30 発行 ソフトカバー 6編からなる短編集 人の心の闇がじわじわと暗い場所へ、もう後戻りはできない。 欲望、保身、嫉妬…さまざまな理由で人は嘘をつく。 妻に先立たれ養子の息子と向き合う老人。 仕事が忙しい妻を支える気弱な夫。 地方の美術館でくすぶり続ける学芸員。 倒産や理不尽なリストラで無職となった同級生たち。 借金苦から逃れようともがく老女。 会社ぐるみで不正を隠蔽しようとする社畜たち。 ひとつの嘘から、転がりだす悪意の連鎖。最後に残ったのは絶望か、それとも…。 堕ちていく6つの人生を描く岩井圭也のダークサイド作品集。 (「BOOK」データベースより) ≪目次≫ ・海の子 ・僕はエスパーじゃない ・捏造カンパニー ・極楽 ・蟻の牙 ・堕ちる