本当に欲しかったものは、もう Twitterアンソロジー(集英社) 麻布競馬場ほか
¥500
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2023/4/10 発行 ソフトカバー 著者10名のアンソロジー ・麻布競馬場 ・霞が関バイオレット ・かとう ゆうか ・木爾 チレン ・新庄 耕 ・外山 薫 ・豊洲銀行 網走支店 ・pho ・窓際三等兵 ・山下 素童 5分後に、虚しい人生。 空虚なスキマ時間で読み切れる、22の傑作ショートショート。 (集英社より)
身のある話しと、歯に詰まるワタシ(朝日新聞出版) 尾崎世界観
¥600
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2020/6/30 ソフトカバー エッセイです。 尾崎世界観と7人のアーティストとの会話になっています。 加藤シゲアキ、神田伯山、最果タヒ、金原ひとみ、那須川天心、尾野真千子、椎木知仁 それぞれに、自分の世界を持つ方々との興味深いお話が繰り広げられています。 「書くこと」「演じること」から「コンプレックス」について。7人プラス尾崎世界観の真意を突いた会話は文章にすると一層、私たちに問いかけてくるような出来事ばかりでした。 自己啓発本としてもよさそうで、小説として読んでもOKで、会話劇でもいい。そんな一冊。 気負いなく読めます。
早期始発の殺風景(集英社文庫) 青崎有吾
¥480
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2022/1/25 発行 6篇からなる短篇集 始発電車に乗ると同じクラスの女の子が居た。普段はほとんど話をしない彼女との不思議な電車と言う空間。なぜ、早起きして始発に乗るのか?ということを少しずつ話をしてゆきます。ちなみに始業時間まで三時間あるという時間枠の中での出来事です。 昨年WOWOWでドラマ化されています。 表題作のそのほか、 ・メロンソダ・ファクトリー ・夢の国には観覧車がない ・捨て猫と兄妹喧嘩 ・三月四日、午後二時半の密室 ・エピローグ
【再入荷】愛の重さ(ハヤカワ文庫) アガサ・クリスティー/中村妙子訳
¥50
SOLD OUT
【並】(非常に良い/良好/並) 3版 1976/11/15 発行 背表紙イタミあり、経年のキズ、ヤケあり 読むには問題ありません(装丁絶版) アガサ・クリスティーがアリ・ウェストマコット名義で書いた小説の一つで非探偵小説になります。 幼くして両親をなくしたローラとシャーリーの姉妹の物語。 姉妹ほど興味深い人間関係はないように思いました。 (以下、あらすじより抜粋) ローラは妹・シャーリーを深く愛し、あらゆる害悪から守ろうとした。しかしかえってそのことが、妹の一生を台無しにしていたことを知り、愕然とする。 人間の与える愛の犯し得る過ちと、その途方もない強さを描きだしたクリスティーの 愛の小説。
【再入荷】大人のための残酷童話(新潮文庫) 倉橋由美子
¥350
【並】(非常に良い/良好/並) 7版 1999/3/25発行 経年によるヤケあり 読むには全く問題ありません 世界中の名作童話を縦横無尽にアレンジしており、物語の背後に潜む人間の邪悪な意思や淫猥な欲望を露骨に焙り出しています。 童話の最後に【教訓】が書かれています。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 子供では理解できない毒が混じっています。 挿絵と教訓が残酷さを語っている大人のグリム童話になっています。 ぜひ、一読ください。 『目次』 人魚の涙 一寸法師の恋 白雪姫 世界の果ての泉 血で染めたドレス 鏡を見た王女 子供たちが豚殺しを真似した話 虫になったザムザの話 名人伝補遺 盧生の夢 養老の滝 新浦島 猿蟹戦争 かぐや姫 三つの指輪 ゴルゴーンの首 故郷 パンドーラーの壺 ある恋の物語 鬼女の島 天国へ行った男の子 安達ケ原の鬼 異説かちかち山 飯食わぬ女異聞 魔法の豆の木 人は何によって生きるのか 童話の最後に【教訓】が書かれている。 例えば、最初の「人魚の涙」だと、 「教訓:人は下半身には恋しないものです」 挿絵と教訓が残酷さを語っているグリム童話です!
無人島の二人(新潮社) 山本文緒
¥1,200
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 2版 2022/11/5 発行 ソフトカバー (ほぼ新品)状態です 『120日以上生きなくちゃ日記』 (以下、本文抜粋) 2021年4月、私は突然がんと診断され、そのとき既にステージはまと だった。治東法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしか手立てはなかった。 昔と違って副作用は軽くなっていると聞いて臨んだがん剤治療は地獄だった。 がんで死ねより先にがん剤で死んでしまうと思ったほどだ。医師やカウンセラ し、そして夫と話し合い、私は授和ケアへ進むことを決めた。 そんな2021年5月からの日記です。 ***** 目次は細かく日にちごとに分けられています。 筆者自身の、死にゆく自分を客観的に見て、すべてを書き残している。 腹水が増えてお腹が苦しく、ウエストサイズが大きいのでユニクロで大きなサイズのボトムを買ったこと、など書かれていて、これ以上の体験談はないんじゃないだろうかと思いました。 ラストの日記が言葉では言い表せない、感情に支配されました。 改めて、お亡くなりになったのだと実感し、涙が止まりませんでした。 病に罹った方、同じような症状の方、毎日不安に過ごしている方、是非、読んでみてください。
青髭 ー愛する女性を殺すとはー(新曜社) ヘルムート・バルツ/林道義訳
¥1,000
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1992/2/20 発行 ハードカバー グリム童話『青髭』のお話です。 愛する女性を殺すって、どういうこと?! このお話を深堀りしてゆくと、恐ろしい事実がありました。 そこには母性と女性性抹殺のテーマが取り込まれています。どういうことか? 物語『青髭』を何度も読み、本書の深堀りを理解すると徐々に見えてきます。 本書はユングの心理学を用いて読解していますので、深層心理がよく理解できます。 心理に興味のある方は面白いと思いました。
空想動物園 ー神話・伝説・寓話の中の動物たち ー(文化放送) アンソニー・S・マーカタンテ/中村保男訳
¥1,100
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1976/12/25 発行 ハードカバー 水、陸、空の動物、想像の動物の4部構成となっており、架空の動物が出てきます。 神話を描いているのですが、グリム童話のようなおとぎ話にもとれます。 特にヨーロッパの神獣が好きな人は嬉しい内容だと思います。 本書のカバー、挿絵はすべて作者・マーカタンテによるものですが、画家が主な職業ではないが、絵の個展を開いたりしている。けれども本職は作家であり、大学教授です。 空想動物、神々の動物のいるところ……そんな動物園を旅してください。
夫婦善哉 (決定版)(新潮文庫) 織田作之助
¥420
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/9/1 発行 『夫婦善哉』(めおとぜんざい)は、織田作之助の短編小説。 織田作之助が描いた『夫婦善哉』は、昭和の大阪を舞台に、柳吉と蝶子というちょっと不器用な夫婦の物語が繰り広げられます。彼らの愛は甘くて切なく、時には苦いけれど、どこか憎めない。結婚生活って、思い描いていたものと違う瞬間もありますよね?でも、この本を読めば、「こんな風に感じるのは私だけじゃないんだ」と、少し心が軽くなるかもしれません。 本書は夫婦や恋愛に悩む時、自分自身を見つめ直すきっかけになるかもしれません。「どうしてわかり合えないんだろう」と感じる瞬間、柳吉と蝶子のように、違いを抱えながらも互いに歩み寄ろうとする姿を見て、ふと考えさせられることがあるはずです。大阪弁で描かれるユーモアも、ちょっと疲れた心に笑いを届けてくれます。 もし、あなたが今、夫婦の関係や恋愛に悩んでいるなら、この物語を通じて新しい視点を見つけることができるかもしれませんよ。 本書は「続・夫婦善哉」も収録しています。 ***『夫婦善哉』については、10/3公開のショップブログにて掲載!
愛の重さ(ハヤカワ文庫) アガサ・クリスティー/中村妙子訳
¥700
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪2版≫ 2010/11/15 発行 アガサ・クリスティーがアリ・ウェストマコット名義で書いた小説の一つで非探偵小説になります。 アガサ・クリスティーの『愛の重さ』は、愛がもたらす喜びと苦しみを、姉妹の関係を通じて描いた物語です。 主人公ローラが妹シャーリーを深く愛するあまり、その愛が重荷になってしまう様子に胸が締め付けられます。 愛って素敵だけど、時に行き過ぎると相手を傷つけることもあるんですよね。この本を読むと、愛情の伝え方や家族との向き合い方について、自然と考えさせられます。 読み終えたとき、きっと心に残る温かさとなんらかの学びがあるはず!
欲しいのは、あなただけ(新潮文庫) 小手鞠るい
¥50
SOLD OUT
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2007/3/1 発行 島清恋愛文学賞受賞作品 主人公・かもめが好きになった対照的な二人の男性が出てきます。 19歳の女子大生かもめが好きになったのは「男らしい人」だった。 酷い言葉を投げつけられ、酷い扱いを受け、恥辱にまみれた交際が続いた果てに、男らしい人はかもめが望んでいるであろう”結婚”を決断する。 しかし、かもめが本当に欲しいものは結婚ではない。 (以下、本文より) 「責任とか、結婚とか、家庭とか。わたしが欲しいのはそんな、得体の知れないものではないのだ。わたしが欲しいのは、あなただ。あなたとの生活でもなく、あなたの子どもでもなく、あなた自身。あなたの欲望。その愛人で、わたしはあり続けたいだけ。 あなたの一部でありたい。同時に、全部でありたい。あなたの座っている車の座席、握っているハンドル、吸い込んでいる空気、吐き捨てるタバコの煙でも構わない。あなたの触るすべてのものに、わたしはなりたい。たとえばあなたの血管を、私の血液になって、流れたい。あなたに溶けて、重なっていたい。それがわたしにとって、愛すると言う事。 あなたが躰で、わたしが心。あなたが海なら、わたしは潮騒。あなたが空なら、わたしは夕焼け。あなたが問いで、わたしが答え。愛することしかできない。それがわたしの答えなのだ。 どうしてそれが、あなたにはわからない?」 ***** 激しすぎるくらい、激しいと思う。まるで「男らしい人」を責めるよう。 それでも「男らしい人」はかもめの言った意味がわからない。 かもめはわかってもらえないと判断した結果、崖から身を投げる。 (後半) 死に損なったかもめは、数年かけて大学を卒業する。 その後、就職した先で恋をします。 こんどは「優しい人」だった。「優しい人」は結婚していた。 つまり不倫。 「優しい人」だからと言って、「男らしい人」に対してあったような、かもめの感情の激しさがないわけではない。 かもめは「優しい人」に対しては、静かな、地の果てを這うような激しさを持っていた。 この作品の中に繰り広げられているのは、青春の日に費やした女性特有のヒリヒリするような痛みを伴う愛の記憶です。 「かもめ」や「男らしい人」や「優しい人」がそれぞれ抱えている孤独を共感できたから、納得して本を閉じました。 人それぞれだと思いますが、なにかしら湧き出る感情があると思います。
めし(新潮文庫) 林芙美子
¥870
〖古書〗 ≪35版≫ 1975/4/30発行 経年のヤケあり。ビニールカバーしてあります。 生き方の上で消極的な 主人公・三千代と積極的な里子は生活の拠りどころを失った女性のお話です。 里子の場合は父や母から背いてゆき、 三千代の場合は 夫からはなれて行こうとする。 三千代の夫・初之輔も、 里子の父や母も、三千代や里子を愛していないわけではない。あるいは、むしろあたたかい愛で、それぞれに三千代や里子をつつんでいるといえるだろう。 それなのに……、というのが本題であります。 三千代は結婚生活に少しも希望がもてず、夫の初之輔に不満をぶちまけるが理解されない。 「どうせ、私は、馬鹿ですよッ。朝から、晩まで、洗濯と、御飯ごしらえで、あくせくしていて、たまに、外に出て行っても、厭なことばっかり」(本文より抜粋) 夫・初之輔と別れて上京しようと決心した三千代が、その前夜、二階で寝ている夫のところから、 階下の自分の寝床へおりて行こうとし、またひきかえして暗い補子段を上りかける場面がある。 「暗い梯子段へ行き、静かに、二階へ上りかけたが、梯子段の途中で、三千代は引きかえして、暗い梯子へ行き、静かに、二階へ上がりかけたが、梯子段の途中で三千代 は思いあぐねて、腰をかけた。 二階へ上ることも出来なかったし、それかといって、降りて、 里子と、枕を並べて、寝る気もしない。 三千代は、足をふんばり、頬杖をついた。壁にしみつくような、夜更けの雨の音である。三千代は、この、暗い梯子段の空間だけが、自分の、隠れ 穴のような気がした。子供のように、心細くなって来ていた」(本文より抜粋) 切ない哀しさが、胸に迫る思いがするのですが、どうしてだろうか? 深さの知れない暗い海におちたとでもいいたいような虚無感。 救われようがないのだ。 こんな気持ちは女性ならではのもの、ではないだろうかと思う。 林芙美子さんは女性の哀しみや、切なさを生涯書き続けた人であるから、共感できる哀楽を私たちも感じることができるのでしょうね。 今も昔も変わらない女性の孤独の根底を味わえます。 大阪の地名、名所がたくさん出てきますので、大阪を味わうこともできます。
珍品堂主人(中公文庫) 井伏鱒二
¥50
SOLD OUT
【並】(非常に良い/良好/並) ≪4版≫ 1986/7/15 発行 天に経年のヤケ。小口に薄いシミあり。 骨董大好きな人の話です。 「ちゃんとした学校の先生」くずれで、趣味がいつの間にか本職になってしまった骨董狂、加納夏曆57歳。 この、通称 ”珍品堂”という主人公が骨董の売買に行き詰まっ て料理屋を始めます。 塗物は石川県、焼物は岐阜県、味噌はどこ、蕎麦粉はどこと凝りに凝った甲斐あって、料亭「途上園」は繁昌するが、金主の紹介で顧問格に迎えた蘭々女という茶の師匠に弱みを握られて、ついにはいびり出されてしまう。そして、再び骨董の道に舞い戻る、という内容です。 それだけのお話なのです。 が、しかし、 描かれる人物みな一癖あってとても面白いのです。個人的に夏目漱石の『坊っちゃん』を思い出しました。ユーモアたっぷりでゆっくり読めます。
そういうふうにできている(新潮文庫) さくらももこ
¥400
【並】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1999/7/1 発行 経年劣化 天、小口ヤケあり(写真の通りです) 読むには問題ありません。 さくらももこさんの妊娠出産の出来事を中心にしたエッセイ。 夫から妊娠のことを積極的に考えるようにと、書籍をどっさり渡されるももこさん。 「興味のない本を無理に読むと言うのは「学習」である。」という一文に共感しました。 しかし、やり過ごしているうちに問題に直面したとき、やはり「学習」せねばならないことになります。 「この腹の中に何かがいるのである。大便以外の何かがいる!!」 ももこさんが妊娠を発覚したときの衝撃をこのように話しています。 妊娠、出産期の痛みや心身の不調に直面しても、どこか冷静に現状を見ている感じがします。前向きに面白く捉え直せる精神が素晴らしくて、見習いたい部分でもありました。 経験したことがなく掴みどころのない妊娠・出産について、表現し難い機微を独特の視点でリアルに表現されていて、読んでいる私まで妊娠と出産をした気分になった。 妊娠出産した人もそうでない人も関係なく、楽しく笑えるエッセイでした。 心を明るくしたい人には面白いエッセイです。 読みやすいですし、ね!
〖古書〗千羽鶴(角川文庫) 川端康成
¥600
〖古書〗 ≪改版13版≫ 1976/5/30 発行 天に経年のヤケあり。その他はおおむねきれいです。 【前篇】の『千羽鶴』です。 【後編】『波千鳥』未刊です。 男と女の愛憎劇のようなものですが、川端康成ならではの美化して書かれていることに注目すると、安心して読めます。 三谷菊治の父の妾であり、胸に黒紫のあざのある栗本ちか子、父の茶 の仲間の夫人で、夫の死後、父の世話をうけた太田未亡人、その娘の文子を中心に、菊治と太田夫人との一夜の関係。 その太田夫人の死、太田文子への関心、文子との結びつきの運命的なことの自覚、文子の失踪というように、「太田夫人とその娘の文子を主にして」繰り広げられる。 一方で、茶室、 茶道具、茶会といった日本の茶道が、複雑な人間関係の重要性を示しています。やぼったく考えるとかなり冗長な小説ではありますが、そこは、やはり、美しい女性が大好きな川端康成の美的情緒による幻想世界の極みだと思いました。 因みに【後編】『波千鳥』のあらすじは、 三谷 菊治が「千羽鶴の風呂敷の令嬢」稲村ゆき 子を妻として、伊豆山に新婚旅行に出かけるところからはじまる。 ゆき子の長襦袢の裾に、自ら考案した「波に千鳥の模様」があるので題名となっているから、「波千鳥」は 「千羽鶴」と同じ人の象徴である。 ここで、 菊治夫妻の新婚生活がつづられ、奇怪なことに、ゆき子はいつまでも処女妻として残 っている。 栗本ちか子は急死し、太田文子 が菊治父子二代の背徳にゆかりのあるただ ひとりの人であり、九州に「永遠に彼方の人」としてある。(本書、解説より抜粋)
友情(岩波文庫) 武者小路実篤
¥400
【良好】(非常に良い/良好/並) 12版 2015/7/15 発行 武者小路実篤の恋愛と友情の王道青春小説です。 脚本家・野島(売れていない)と、作家・大宮(売れている)は、各々が尊敬し合う友人。野島は美しい友人の妹・杉子に恋をします。 そこから始まる恋愛と友情の板挟みにおける「切なさ」「苦しさ」「幸せ」「もどかしさ」すべての感情がたくさん出てきます。 恋する気持ちと友情の在り方を改めて学んだように思えます。 三人のそれぞれの『気持ち』が交差して、決心を生みます。恋と友情に悩んでいる方にオススメします。 夏目漱石の『こころ』を読んだことのある人なら、違いが面白いと思いました。
夜の光に追われて(講談社文庫) 津島佑子
¥750
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 1989/9/10 発行 経年のヤケあります。 読むには全く問題ありません。 1986年第38回読売文学賞受賞作品 津島佑子:1947年東京都三鷹で父・津島修二(筆名:太宰治)、母・美知子の次女(里子)として生まれました。(2016年没) 彼女の父・太宰治は佑子が生まれた翌年に玉川上水で入水心中しました。 ***** 私小説、自叙伝ともいえる本書。 作者自身とも思われる小説家の主人公が、平安時代に書かれた『夜の寝覚』の物語を改めて書き直すことによって、物語のヒロイン珠子の悲しみに寄り添おうと試みる。 主人公が亡き息子の遺灰の一部を子の父親である男の元へ届けにいくストーリーと、「夜の寝覚」のヒロイン珠子の物語が交互に語られており、より悲しみを共感できる構造になっています。
すべて真夜中の恋人たち(講談社文庫) 川上未映子
¥430
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2014/10/15 発行 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。 それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。」本文より 冬子(フユコ)34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う。 誰がどんな恋愛をしようと勝手ではないか。そんなことばが出てきました。心の中を繊細に描いている。さすが川上未映子さんだと思う!
旅のラゴス 改版(新潮文庫) 筒井康隆
¥430
【良好】(非常に良い/良好/並) 31版 2015/10/31 発行 SF初心者の人なら、ファンタジー色が強い作品から読んでみるのをおすすめします。 初めて読んだ瞬間「宝物にする」と決めたのが『旅のラゴス』です。表紙だけ見ると古代遊牧民の作品かと思うのですが、どこか未来色も感じる不思議な世界が舞台。 集団で別の場所に転移することができる民族や、壁を通り抜けられる男など、人々はさまざまな能力を持っています。 そんな中、愛馬スカシウマとともにただひたすら旅を続ける男ラゴスの物語。かなり好きな作品なので一言で感想がスラスラ出てこなくて申し訳ないです。懐かしさと郷愁を感じさせる傑作SF小説です。
潤一(新潮文庫) 井上荒野
¥350
【良好】(非常に良い/良好/並) 3版 2018/6/10 発行 井上荒野による恋愛小説の連作短編集 第11回島清恋愛文学賞受賞作 26歳の青年・潤一と14歳から62歳まで9人の女性との刹那の愛を描いています。 まるで自分が9人の女性となり、いろんな側面の潤一と関わった気分になります。 もしかしたら、人生で、潤一のような人と一瞬でもかかわったんじゃないだろうか? そんなふうに思えました。 テレビドラマ化されています。潤一は志尊淳さん。
小説読本(中央公論文庫) 三島由紀夫
¥600
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2016/10/25 発行 「小説家はなりたくてなれるものではない―」という出だしで始まります。 小説の原理を追究した長篇評論「小説とは何か」を中心に、「私の小説の方法」「わが創作方法」など、自ら実践する作り方を大胆に披瀝し編を収めている。 作家を志す人々に贈る、三島由紀夫による小説指南の書。説得力のある内容でした。 目次 作家を志す人々の為に 1(小説とは何か) 2(私の小説の方法;わが創作方法;小説の技巧について;法律と文学;私の小説作法;法学士と小説;法律と餅焼き) 3(私の文学;自己改造の試み;「われら」からの遁走)
伊藤野枝集(岩波文庫) 森まゆみ編
¥900
【良好】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2019/9/18 発行 大正時代最大のアナーキスト大杉栄とともに虐殺された、伊藤野枝の半生を描いています。 女性の解放を訴えた伊藤野枝(1895~1923年、福岡県出身)が、日本陸軍の憲兵に虐殺されて100年となります。 彼女は愛する大杉栄と無政府主義を唱え、女性の自由な活動などを説いて、信念を持って生きてきた人です。 彼女が平塚らいてうより先に巡り合ったのが、上野の学校の英語の教師・辻潤。二人は次第に心惹かれ合うようになります。二人の恋愛は学校で問題になり、辻潤はそれが原因で教職をなげうってしまう。辻潤の二人目の子どもを産んだのち、野枝は大杉栄のもとに走ることになる。 大杉栄には妻があり、愛人もいた。そして野枝も。大杉の唱える自由恋愛に破局が訪れたのは、愛人が大杉栄の首を刃物で切ったからだ。その後、野枝は大杉との生活にすべてをささげた。そして、大杉栄とともに、野枝は殺されることになる。 現代において、野枝がいたら私は友達になりたい。彼女の生きざまを物語に残したいと思うだろう。多くの女性作家が「伊藤野枝」を描きたいという衝動は、本能だと思います。 「風よ、あらしよ」(村上由佳)の映画が公開されました。 イトウノエの生きざまに共感できる人もできない人も、本書を読むと、必死で愛と信念を持って生きて来たかということが分かります。
私とは何か 「個人」から「分人」へ(講談社現代新書) 平野啓一郎
¥50
SOLD OUT
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) 2版 2021/10/11 発行 嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛、家族、職場での人間関係を解消できる一冊。 悩んでいるなら読んで解消した方がいい、そんな平野さんのアドバイスが詰まっています。 目次 第1章 「本当の自分」はどこにあるか 第2章 分人とは何か 第3章 自分と他者を見つめ直す 第4章 愛すること・死ぬこと 第5章 分断を超えて
小説の誕生(新潮社) 保坂和志
¥2,400
【非常に良い】(非常に良い/良好/並) ≪初版≫ 2006/9/30 発行 ソフトカバー サイン本 (以下、まえがきより抜粋) 小説的思考とは何か?小説が生成する瞬間とはどういうものか?小説的に世界を考えるとどうなるのか? ということを、書いたのが本書です。 とりわけ後半は、書きながら自分でももう本当にどこに行ってしまうのかわからなかったが、その状態を引き受けることができたのだから、これは評論ではなく小説なんだろうと思う。