2025/10/10 12:47
こんにちは。『柚香の森』店主です。
日が落ちるのが早くなりましたね。
夜風が肌にすっと触れて、ちょっぴり気持ちが沈む季節──そんな秋の夜に、ふと心に立ち上がってくるのが、昼間にあった“嫌なこと”だったりしませんか?
私自身、ついさっき読んだ本のセリフに救われたばかりです。
「大丈夫、大丈夫、笑ってもいいんだよ」って。
今日は、無理に前向きになる必要はないけれど、ふと“クスッ”と笑えて、心がふわっと軽くなる本たちをご紹介したいと思います。
「笑える本」といっても、派手なコメディや爆笑ギャグではありません。
どこか不器用で、人間くさくて、それでも健気で、そんな登場人物たちにそっと寄り添うような読書体験です。
疲れてしまった心に、どうかそっと寄り添えますように──
クスッと笑える、おすすめの読書
ノーベル文学賞候補にも挙げられた詩人マーク・ストランドが、
犬になった男の人生を描く…という、ユーモラスで哲学的な一冊。
「なぜ、犬になったのか?」
「それは、それが自然だったから。」
そんな風に、突拍子もないようでどこか深い。
読み進めるうちに、犬の目線がやけにリアルで、笑えて、ちょっと泣けてくる。
村上春樹の翻訳も小気味よく、
“自分ってなんなんだろう”という疲れに、そっと効いてきます。
イギリスの作家サキが描く、ちょっと毒のあるユーモア短編集。
皮肉屋で変わり者が多く登場するのですが、不思議と彼らを嫌いになれないどころか、気がつけば「よくやった!」と拍手していることも。
現実にいたら困るけど、物語の中では最高に面白い。
そんなキャラクターたちが、肩の力を抜いてくれます。
「笑ってもいいんだよ」と思える、じわじわ系ユーモア。
関西のローカル鉄道「阪急今津線」を舞台にした、連作短編集。
駅と駅の間、たった数分のあいだに、小さな人生ドラマが描かれます。
泣き笑い、ちょっとした意地悪や優しさに、電車の中で読んでいたらふいに笑ってしまうことも。
「こんな出会いが、明日あるかもしれない」
そんな気持ちになれる読書は、明るくなくてもあたたかいのです。
知的で皮肉っぽい文体ながらも、なぜか可笑しみがある。
世の中のちょっとしたズレや、女性の心の声を独特のタッチで描いていて、「あ〜あるある…」と頷きながら笑ってしまいます。
じんわりとくる笑いで、気づいたら肩の力が抜けている。そんな不思議な読後感です。
ユーモアと孤独のバランスが、なんとも絶妙。
え?三島由紀夫って笑えるの?──と驚かれるかもしれませんが、実はこの作品には、若者特有の"自意識過剰さ"があふれていて、読みようによってはとてもユーモラス。
まじめすぎるがゆえの滑稽さ
に、どこか親しみすら感じてしまいます。
「こんなことで悩んでいたなんて、私もまだまだ大丈夫かも」と思えるかもしれません。
店主のひとこと
「笑える読書」は、無理に笑わせるものではないと思っています。
誰かの、ちょっと抜けた日常や、思わぬ行動に「ふふっ」となることで、
自分の中にある“おかしみ”にも気づけるのかもしれませんね。
疲れてしまった夜は、
頑張るのをお休みして、「しょうもない話」に身を委ねてみるのも良いかもしれません。
本って、そういう“逃げ道”にもなってくれるんです。
おわりに(柚香の森より)
心が疲れたときに読む本は、人生の小さな宝物になります。
どうぞ、あなたにぴったりの“クスッ”を探してみてくださいね。
それでは、今夜もやさしい読書の時間を── ((^^)



