2025/09/24 12:47
──静かに読んで、そっと心に置いておきたい本たち
こんにちは!
こんにちは!
やっと湿気が少なくなりましたよね。
でも、過ごしやすい季節はほんのわずか。
この貴重な季節を堪能しておきましょうね。
でも、過ごしやすい季節はほんのわずか。
この貴重な季節を堪能しておきましょうね。
「こんな本、初めて知りました」
近ごろ、お客様からそんなお言葉をいただきました。
本屋としては小さな喜びが心に灯ります。
近ごろ、お客様からそんなお言葉をいただきました。
本屋としては小さな喜びが心に灯ります。
本というのは不思議なもので、たくさんの人に読まれているから良い、とは限りません。
むしろ、目立たないところにぽつんと置かれているような一冊が、
ふとした出会いから、自分の心にぴたりと寄り添ってくれることがあります。
今日は、検索してもあまり上位には出てこない、でも、読後に「読んでよかった」と思える、
そんな物語たちをご紹介します。
著者は、献鹿狸太朗(けんかりたぬたろう)というなんとも風変わりなお名前の作家さん。
ですが、その名前から想像するようなユーモアではなく、内容は静かで鋭い社会の断面を描いています。
日常の中にひそむ暴力やすれ違いが、まるで染み出すように綴られていて、
ふとした場面で胸が詰まるような読後感が残ります。
田中慎弥さんによる作品。
当時、実在する政治家をモデルにしながらも、単なる風刺や批評にはとどまらず、
「言葉の責任」「権力と孤独」という、現代的な問いを深く突きつけてきます。
ひとつの言葉を発するまでにかかる“沈黙の時間”を描くのが、とても上手な作家さんだなと感じました。
大正時代に、自由と平等を掲げて生きた伊藤野枝。
彼女の文章には、命を削ってでも「言葉を持とう」とした強い意志があります。
どこか荒削りで、時に痛々しいほどのまっすぐさに、
読み手のこちら側が試されるような気持ちにもなります。
それでも、ページを閉じる頃には、「読む」という行為の意味が、ほんの少し変わっているかもしれません。
郡司ペギオ幸夫さんによる、哲学と科学のあいだを行き来するような一冊。
タイトルに惹かれて手に取ったのですが、読んでみると「思考すること」がぐんと自由になる感覚があります。
答えを出すための知ではなく、「問いつづけるための知」を届けてくれる本。
読書というより、思考の冒険のような時間でした。
著者は青木海青子さん。読書についてのエッセイですが、
「本を読む」という行為が、どれほど私たちの存在とつながっているのか、
とても静かで、しかし深い洞察とともに綴られています。
特別な言葉が並んでいるわけではないのに、読み終わると胸の奥に「しずかな火」が灯っているような──
そんな読書体験でした。
たくさん売れている本でも、検索に出てくる本でもないけれど。
本棚の奥に、ひっそりと置いておきたくなるような本。
それは、静かな夜や、ちょっとだけ自分を見つめ直したい朝に、そっと手に取りたくなるような一冊かもしれません。
秋の入り口に、そんな物語たちと出会っていただけたらうれしいです(^^

