2025/09/04 12:16
こんにちは。
『柚香の森』の店主です。
暑いまま9月に突入です。
日中はまだまだ陽ざしが強く、残暑の厳しい日が続いていますね。
日中はまだまだ陽ざしが強く、残暑の厳しい日が続いていますね。
果たして「残暑」というのが正しいのかどうかわかりませんが、この暑さに、体も心も少しばて気味…という方もいらっしゃるかもしれません。
どうぞご無理なさらず、くれぐれもお身体を大切になさってくださいね。
そんな”残暑”のギラギラとした陽ざしから、ほんの少し逃れるように──
静かな部屋でひとり、物語の中に身をゆだねる時間はいかがでしょうか。
今回は、「自分と向き合う」をテーマに、孤独や静けさをやさしく描いた本を4冊ご紹介します。
誰かと会話するわけではないけれど、自分の中の小さな声に耳を澄ませたくなるような、
そんな読書の時間に寄り添ってくれる作品たちです。
『神の子供たちはみな踊る』村上春樹
阪神淡路大震災を背景にした短編集。
直接の被災地を描かない代わりに、登場人物たちが抱える“喪失”や“空白”が、物語の中に静かに息づいています。
日常のふとした瞬間に現れる、奇妙でどこかやさしい非現実。
ひとりで過ごす夜、読み終えたあとも、心の奥にじんわりと残るような静けさがあります。
『寺山修司 ちくま日本文学006』寺山修司
詩、短編、評論、日記──さまざまな角度から寺山修司という人間の輪郭に触れられる一冊です。
「書くこと」「生きること」「孤独とは何か」を、時に過激に、時に繊細に問いかけてくる文章たち。
心に棘があるときほど、この本の言葉がしみてくるのかもしれません。
読むたびに、自分の中にある“問い”に耳を澄ませたくなります。
『ヴォス オーストラリア探検家の物語』パトリック・ホワイト
この物語は、未知の大陸を旅する探検家と、残された女性との心の交流を描いた壮大な長編小説です。
実際の冒険譚でありながら、その内側には、人間の信仰・孤独・存在という深いテーマが折り重なっています。
読むのには少し体力がいるかもしれませんが、ひとりの時間をしっかり味わいたい方には、ぜひ挑戦していただきたい本です。
「外の旅」と「内なる旅」が重なり合うような、特別な読書体験になるはずです。
『あなたの正しさと、僕のセツナさ』三輪太郎
「正しさ」と「切なさ」──いまの社会に生きる私たちが感じる“すれ違い”や“ズレ”を、繊細な言葉で描いた作品です。
感情を上手く言葉にできないことのもどかしさ、
誰かと分かり合いたくてもできない苦しさ。
そんな心の機微が、静かなリズムで綴られています。
読後はまるで、自分の中の感情がすこしだけ整理されたような気持ちになります。
心の中で何かが動き出すような本を読むとき、
その時間はもう「ひとりの時間」ではなく、物語との静かな対話の時間になります。
日々の喧騒から少し離れて、
心の声にそっと耳を傾けるような──
そんな読書の時間が、どなたかにとってやさしいひとときになりますように(^^)
店主より
