2025/07/18 12:30
こんにちは、柚香の森です。
日中の強い日差しにぐったりしながらも、夕方の風や、夜の静けさにふと心がほどけるような…そんな瞬間、ありませんか?
この季節は、なんとなく気持ちが揺らいだり、理由もないのに少し不安になったりすることもあります。
そんなときにそっと開いてほしいのが、静かで、でもどこか“怖さ”や“違和感”を孕んだ本たち──
日常のすき間から、少しだけ世界がずれて見えるような物語です。
暑さに疲れた心に、ひんやりと寄り添ってくれるような読書時間を、柚香の森からお届けできたらうれしいです。
そんな“静かな違和感”に、そっと寄り添ってくれる物語たちをご紹介します。
どれも大きな事件が起こるわけではありませんが、じわじわと日常が揺らぎ、心にひびが入っていく感覚を描いた、少し怖くてやさしい本たちを少しご紹介します。
『破壊しに、と彼女は言う』/マルグリット・デュラス
「静かに壊したい」と願う気持ち、誰の心にもひっそりあるのかもしれません。
この本は、語られない“感情の奥”をじっと見つめるような物語。
「自分の本音」に気づいてしまったとき、何が壊れ、何が残るのか──。
読み終えたあと、しばらく静かに考えたくなる一冊です。
『幻影の書』/ポール・オースター
突然、大切な人を失ったら──
その悲しみの中で、主人公は現実と幻想のあわいをさまよいます。
でも、少しずつ再び誰かと出会い、言葉を交わし、世界とつながっていく……。
心の奥で何かが目を覚ますような、静かな“再生”の物語です。
『囀る魚』/アンドレアス・セシェ
古びたアテネの書店での出会いから始まる、不思議な余韻を残す物語。
静かな日常のなかに、ふと入り込んでくる違和感。
その裂け目から、言葉と物語の魔法が広がっていきます。
読後、心のどこかに“静かなさざ波”が残るような一冊です。
『あひる』/今村夏子
静かな住宅街での、何気ない日々。
けれど、ある日家にやってきた“あひる”によって、日常はすこしずつ変化していきます。
何かがずれている……けれど誰も気づかない。
当たり前が音もなく崩れていく、そんな感覚に心がざわつく物語です。
『不穏の書、断章』/フェルナンド・ペソア
「私って、本当に私なのかな」──
そんな静かな違和感が胸にあるとき、ふと開いてほしい一冊があります。
静かな日常の中に、心のひびや孤独を見つめる言葉が、やさしく灯るんです。
自分の中のいくつもの「私」を、そっと受け入れてくれるような読書体験をどうぞ。
さいごに
この夏、ほんの少し心をひやりとさせたいとき。
なにげない日常に、静かに入り込んでくる“違和感”に耳を澄ませてみたくなったとき。
どうぞ、そっと本を開いてみてください。
あなたの心に、やさしい余韻を残してくれる一冊が、きっと見つかります。
あなたの心に、やさしい余韻を残してくれる一冊が、きっと見つかります。
本のある時間が、あなたの毎日に寄り添ってくれますように。
