2025/12/18 14:28
こんにちは、『柚香の森』店主です。
街の灯りが少しずつクリスマス色に染まり、手元にある本を開く時間が、いっそう愛おしく感じられる季節になってきましたね。お家でぬくぬくと過ごす時間が増える12月は、静かな読書にぴったりの季節です。
今回は、そんな12月にこそ読んでいただきたい本を、私なりに選んでみました。
心の奥にじんわり届くような、冬の読書に寄り添う一冊たち。よろしければ、あたたかいお飲み物を片手に、静かにページをめくってみてくださいね。
『宮沢賢治詩集』(白凰社)
賢治の言葉は、やさしくて、まっすぐで、ときに胸を打ちます。雪がちらつく窓辺でこの詩集をひらくと、まるで心の中にも静かな雪が舞ってくるような気がするんです。
自然へのまなざし、誰かを思う心、どれもが繊細であたたかくて──冬の読書にぴったりの詩集です。
とくに、年末の忙しさでちょっと心がすり減ってしまったとき、そっと心に寄り添ってくれるような詩がたくさん詰まっています。
『完璧な病室』小川洋子(中公文庫)
小川洋子さんの作品は、どれも静けさの中に深い余韻があります。『完璧な病室』もまた、穏やかな文章でありながら、読んでいると胸の奥にじんわりと温かい痛みが残るような作品です。
“静けさ”と“やさしさ”が同居するその世界は、冬の読書時間にぴったり。ページを閉じたあと、しばらくの間、言葉が心の中で静かに響き続けます。
『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ(新潮クレストブックス)
ユーモラスなのに、なぜか切なくて、人間味のある物語。
主人公とペンギンの奇妙な共同生活を描いたこの小説は、どこかシュールでいて、心に残る温かさがあります。
年末年始のバタバタとした時間から少し離れて、「何でもないようでいて、なぜか深く残る物語」に触れたい方におすすめです。
『贅沢貧乏』森茉莉(新潮社)
寒い季節、ストーブの前で読みたくなるエッセイといえば、森茉莉さんのこの一冊。
美意識と偏愛に満ちた日常の記録は、贅沢でありながらどこか貧乏くさくて、そこがまた最高に味わい深いんです。
年末の「何かと比べてしまう」気持ちに、ふっと笑いと余白をくれるような、不思議な癒しがあります。
心をととのえる、年の瀬の読書時間に
年末はどうしても、やることに追われて気ぜわしくなりがちですね。だけど、そんなときこそ本の時間が、心に静けさを取り戻してくれるような気がします。
読むことは、整えること──
この冬も、本があなたのそばに寄り添い、やさしい時間となりますように。
『柚香の森』では、冬にぴったりの一冊たちをご用意して、静かにお待ちしておりますね(^^)


