2025/11/07 14:53

こんにちは、柚香の森の店主です。

今日は、少しだけ、わたしのひとりごとにお付き合いください。

先日、お客様からこんなお声をいただきました。
「読書が苦手でも、本が好きって言っていいんでしょうか?」

そのご質問を読んだ瞬間、胸がぎゅっとなりました。
なぜって、わたし自身もずっと、そんなふうに思っていたからです。

「読書が苦手」と感じるとき


本を読むスピードが遅い。
内容がすぐに頭から抜けてしまう。
一冊まるごと読み切るのがむずかしい。

そんな自分は、本好きとは言えないのかもしれない。
きっと、どこかで「読書が得意=本好き」みたいなイメージを持ってしまっているんですよね。

でも、それは違うんです。

「好き」は、出会いの形でいい


読書って、無理してたくさん読むことでも、難しい本に挑むことでもないと、わたしは思っています。

たとえば、あるページの一文にふっと心がほどける。
──それだけで、十分に「読書の喜び」だと思うんです。

たった一行でも、涙が出るほど心に響く瞬間がある。
そのとき、その本とあなたは、たしかに出会っている。

わたしは、その出会いこそが読書の一番の醍醐味だと感じています。

 本に救われた記憶


実は、わたし自身、長いこと病気でベッドから起き上がれなかった時期がありました。

そのころは、本を開く気力さえない日が続きました。
それでも、枕元に本が一冊置いてあるだけで、どこか安心したのです。

「いまは読めなくても、いつかまた読めるかもしれない」

そう思えるだけで、ほんの少し前を向けた気がしました。
だからこそ、わたしは声を大にして言いたいんです。

本を読む量も、スピードも、ジャンルも。
読書のスタイルは、人の数だけあっていい。

そしてもちろん、読書が苦手でも「本が好き」と言って、何も問題ありません。

本は、そっとそばにいてくれるもの


わたしは、本というのは「近づくもの」ではなく、「そばにいるもの」だと思っています。

読み終えることだけが目的ではないし、すぐに理解できなくてもいい。

気になる一冊をそばに置いてみる。
それだけで、ふしぎと安心できる時間が訪れるのです。

あなたの「本好き」を応援したい


読書が得意でも、苦手でも。
長い小説でも、短い詩集でも。

本が、あなたの心に何かを灯してくれる。
そんな瞬間に出会っていただけたら、これほど嬉しいことはありません。

《柚香の森》では、さまざまな本が、あなたとの出会いを静かに待っています。

どうぞ気負わず、お好きなペースで、気になる本を手に取ってみてくださいね。

それがきっと、「本が好き」の立派な第一歩ですから。

やわらかく、あたたかな読書の時間が、あなたに訪れますように。

《柚香の森》店主より