2025/08/28 15:15

こんにちは。
柚香の森の店主です。

夜、ひと息ついたあとにAmazonプライムで『丘の上の本屋さん』というイタリア映画を観ました。(2023年日本で上映されたものです)

そっと心をゆすぶる、静かであたたかな物語でした。

舞台はイタリア丘の上にある小さな古本屋。
老紳士の店主、隣のカフェの店員。個性的なお客さまたち。そして、お金がなくて本を買えない移民の少年が登場します。
最初は漫画を借りに来た少年に、店主は本を貸してあげます。返しに来ると、ふたりで感想を言い合い、また次の本を。
だんだんと少年の本棚が広がるように、読む本も変わっていきます。

イソップ、星の王子さま、中編小説、長編小説…。
読むたびに何かを感じて、言葉にして伝える。
そんなやりとりが続いていくうちに、少年も、そして店主も、少しずつ変わっていきます。

この映画がとても良かったのは、「本が人に与える力」がきちんと描かれていたこと。
誰かが読んだ本が、次の誰かの人生にそっと影響を与える。
本棚の中だけで完結しない、本の旅路がここにありました。

映画の終盤、店主は少年に一冊の本を貸すのではなく、上げるんです。
そして手紙を書きます。
その手紙には、まるで本のように、生きた言葉が詰まっていました。
店主の書いた手紙に、私は涙が出そうになりました。

映画の中で、古本屋の壁に掲げられているのが、カルロス・ルイス・サフォン『風の影』の一節です。

持ち主が代わり、新たな視線に触れるたび、本は力を得る

この言葉は、まさにこの物語の核心でした。

そして店主が少年に伝える言葉の数々も忘れられません。

注意深くお読み。本は二度味わうんだ。一度目は理解するため、二度目は考えるため。
物語はとても奥深い。最初に感じたことがすべてじゃないんだ。
本は食べ物と同じで食べてみなきゃ、好きか嫌いかわからない。

本屋とは、静かな対話の場であり、言葉を受け取る場所。
そして、誰かに手渡す場所でもあるんだな、とあらためて思わされた夜でした。

もし、どこかでこの映画を観る機会があれば、どうぞゆっくりとご覧になってみてください。
イタリアの美しい景観と、本が好きなすべての方に、そっと届いてほしい物語です。

店主より

▶️Amazon『丘の上の本屋さん
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