2023/06/07 11:05
こんにちは、柚香の森です。
梅雨に入って、みなさま体調などはいかがですか?
梅雨に入ると、次は夏の暑さを待ち構えているような感じがして、
明けてて欲しいけど、明けないで、と願ったり。
矛盾してますね。
新着の『追憶のスモールタウン』はまさに矛盾だらけです。
書き出しから不穏な空気を醸し出していました。
1948年、モンタナ州。
50歳なかばになる歴史の教師のわたしが、12歳の夏に起こった事件を回想する形で語られる物語です。
デイヴィッド少年の父は保安官で、母は秘書として働いている。インディアンの家政婦マリーとの4人の生活。
ある日マリーが高熱を出して寝込んでしまう。デイヴィッドの父は、医師である兄を呼ぼうとするが、マリーはとても嫌がります。
どうして嫌がるのか?それが明らかになってくるに従って、家族の間に波紋が広がり哀しみと苦しみが始まります。
これは「家庭内の秘密」である。と解説に書かれていますが、まさにその通りです。
家庭内でしか知りえない事件。
すなわち、世間には広がらずに済んだ事件です。
この苦しみの乗り越え方、私にはわかりません。
一生背負ってゆくものなんだと思います。
とりあえず出だしだけ読んでおこう、と読み始めたけれど止めることはできませんでした。
ずんずん突っ走ってします。
矛盾の中に本来の自分の信念を持つことが大事だと考えさせられた作品。
海外作品ならではのカバーを外した、本自体の装丁が好ましい。
夏の暑さを待ち受ける時間のひとときに、読んでいただきたい本です。