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欲しいのは、あなただけ(新潮文庫) 小手鞠るい

¥50 税込

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≪初版≫ 2007/3/1 発行
島清恋愛文学賞受賞作品


主人公・かもめが好きになった対照的な二人の男性が出てきます。
19歳の女子大生かもめが好きになったのは「男らしい人」だった。
酷い言葉を投げつけられ、酷い扱いを受け、恥辱にまみれた交際が続いた果てに、男らしい人はかもめが望んでいるであろう”結婚”を決断する。

しかし、かもめが本当に欲しいものは結婚ではない。

(以下、本文より)
「責任とか、結婚とか、家庭とか。わたしが欲しいのはそんな、得体の知れないものではないのだ。わたしが欲しいのは、あなただ。あなたとの生活でもなく、あなたの子どもでもなく、あなた自身。あなたの欲望。その愛人で、わたしはあり続けたいだけ。
 あなたの一部でありたい。同時に、全部でありたい。あなたの座っている車の座席、握っているハンドル、吸い込んでいる空気、吐き捨てるタバコの煙でも構わない。あなたの触るすべてのものに、わたしはなりたい。たとえばあなたの血管を、私の血液になって、流れたい。あなたに溶けて、重なっていたい。それがわたしにとって、愛すると言う事。
 あなたが躰で、わたしが心。あなたが海なら、わたしは潮騒。あなたが空なら、わたしは夕焼け。あなたが問いで、わたしが答え。愛することしかできない。それがわたしの答えなのだ。
 どうしてそれが、あなたにはわからない?」

*****

激しすぎるくらい、激しいと思う。まるで「男らしい人」を責めるよう。
それでも「男らしい人」はかもめの言った意味がわからない。
かもめはわかってもらえないと判断した結果、崖から身を投げる。

(後半)
死に損なったかもめは、数年かけて大学を卒業する。
その後、就職した先で恋をします。
こんどは「優しい人」だった。「優しい人」は結婚していた。
つまり不倫。

「優しい人」だからと言って、「男らしい人」に対してあったような、かもめの感情の激しさがないわけではない。
かもめは「優しい人」に対しては、静かな、地の果てを這うような激しさを持っていた。


この作品の中に繰り広げられているのは、青春の日に費やした女性特有のヒリヒリするような痛みを伴う愛の記憶です。
「かもめ」や「男らしい人」や「優しい人」がそれぞれ抱えている孤独を共感できたから、納得して本を閉じました。

人それぞれだと思いますが、なにかしら湧き出る感情があると思います。

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