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ヴィオルヌの犯罪(河出文庫) マルグリット・デュラス/田中倫郎訳

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≪初版≫ 1996/1/9 発行
経年のヤケ、表紙にスレあります。

『ヴィオルヌの犯罪』はモデルとなった殺人事件があります。
1949年に、アメリー・ラビューが夫を殺害し、遺体をバラバラにして陸橋を通る貨物列車に少しずつ投げ込んだ「ラビュー事件」です。
全てがノンフィクションではなく、実際の事件にインスピレーションを受けたフィクションと言う方が良いかもしれません。

その事件は、人体の多くの断片が、ほとんどフランス全土にわたって、さまざまな貨車の中から発見されます。被害者は極度の肥満体の女性、そしてこれらの断片を運んだ列車は同一地点―ヴィオルヌの陸橋を通過していることが判明します。
けれど、いまだに頭部のみは発見されていない…。

デュラスがこの実際の事件に取材し、十年の歳月をかけて結実させた「狂気」をめぐる凄絶な物語となっています。
本書の形式はすべてインタビュー記事を模しているので、戯曲のように仕上がっており、インタビュー形式なので対話によって殺人事件の真相が明らかになってゆきます。

ストーリーは、愛や欲望、暴力、死をテーマに、人の心の複雑さを描いた物語で、特に女性の視点に寄り添い、社会の制約や愛がもたらす苦しみや自己を見つめ直す葛藤を鮮やかに映し出しているんです。
夫婦の会話や周囲の証言から少しずつ真実が見えてくる展開は、人間関係や自分自身を考え直すきっかけになるはず。
この物語を読むことで、人の心の奥深さに触れ、少しだけ自分の中にも気づきを得られるかもしれませんよ。
また、文学的な技法や構成についても学ぶことができるため、文学愛好家にとっても価値ある一冊です

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