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外套・鼻(岩波文庫) ゴーゴリ/平井肇訳

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≪5版≫ 2009/6/15 発行

内容紹介
ある日、鼻が顔から抜け出してひとり歩きを始めた…写実主義的筆致で描かれる奇妙きてれつなナンセンス譚『鼻』。
運命と人に辱められる一人の貧しき下級官吏への限りなき憐憫の情に満ちた『外套』。

ゴーゴリ(1809‐1852)の名翻訳者として知られる平井肇(1896‐1946)の訳文は、ゴーゴリの魅力を伝えてやまない。

*****
新調したばかりの外套を盗まれた下級官吏の絶望のなかに、ロシア人の無意識が顔を出します。
外套を探しまわる主人公は無意識にペテルスブルグの街を測量していました。けれど、そこには思想もなければ、崇高な理想もない。外套を盗まれたという現実だけが無意味に投げ出されているばかりです。
その現実に押しつぶされて幽霊になった下級官吏は永遠に外套に執着し続けるのです。

この下級官吏を笑いながら、わたしたちははふと気づきます。これはわたしのことだと。

ロシア文学の傑作なのでご一読あれ!

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