2026/03/18 12:45

こんにちは、『柚香の森』店主です🍃
今日は大阪もよく晴れていますが、午後からは大雨の予報。どこか空気が重たく感じられて、春の天気らしい揺らぎを感じます。

本を読んでいると、ときどき、胸の奥にまっすぐ届いて、しばらく何も言えなくなるような一文に出会うことがあります。

「私は今日、この日、この時のために、この日以外の日々を生きてきたのだと思える。」

ある恋愛小説の中の言葉です。
はじめて読んだとき、恋愛の場面の一文なのに、私は恋だけの言葉には思えませんでした。

人はたぶん、あとからでないと意味のわからない日々を、たくさん生きているんですよね。
うまくいかなかった日。
何も変わらなかったように思える日。
少しさみしくて、早く終わってほしいと思った日。
そのときはただ過ぎていくだけに見えていた時間が、ある日ふいに、ひとつの場所につながることがあるんだと思います。

古本屋をしていると、そんなことをよく感じます。
最初から「この日のために」とわかっていたわけではありません。
本を読むことが好きで、ことばに助けられて、なんとかここまで来て、気がつけば『柚香の森』を続けていました。
でも、ときどきあるんです。
ある一冊が、ぴったりの方のもとへ旅立っていく瞬間とか、
いただいた言葉に、こちらのほうが励まされてしまう瞬間とか、
「ああ、もしかしたら、これまでの日々はこの小さな出会いのためにあったのかもしれないな」と思うことが。

大きな出来事じゃなくてもいいんですよね。
誰かにわかりやすく説明できるような特別なことでなくてもいい。
自分の中でだけ、そっと灯る瞬間。
それがあると、それまでの少し頼りない日々まで、静かに意味を持ちはじめる気がします。

今日がまだ、そんな一日じゃなくても大丈夫。
でも、いつかふと振り返ったとき、
「この日のために生きてきたのかもしれない」と思える瞬間は、
きっと誰のところにも訪れるのではないでしょうか。

そのとき、そばに本があったらいいなと思います。
本は、こちらが意味に気づくより少し前から、静かに待っていてくれることがあるからです。

『柚香の森』も、そんな小さな一日のそばに、そっと置いていただける場所であれたらうれしいです📚🍃