2025/05/27 11:34

こんにちは!
今日は少しだけ、私ごとではありますが、「読書」と「人とのつながり」について、ぽつりと綴らせていただけたらと思います。

先日、「日本読書療法学会」のオンライン交流会に、ZOOMで参加しました。
同じ読書を愛する方々と、自己紹介を交えながら近況を報告し合うという、ささやかな会合です。

実は私、とても人前が苦手で……。
これでもかというくらい、緊張しいぃなのです。
はじめましての場では心臓がばくばくして、声が震えそうになるのを何とか抑えて、それでも頭の中は真っ白。話し出すと早口になってしまって、自分でも何を言っているのかわからなくなることがよくあります。

できれば文章で提出する形式だったらいいのに……と、ZOOMが始まる前から内心ひとり葛藤していました。

北海道から九州まで、読書の輪


画面越しに集まったのは、北海道から九州まで、全国の読書を大切に思う方々。
大学で教鞭をとる先生、地域で読書会を開かれている方、臨床心理学を学ばれている方、そして私のように、本屋を営む人。

年齢層も活動の内容もさまざまで、「読書」にかかわる形は本当にいろいろあるのだなあと、新鮮な驚きとともに、あたたかい気持ちが湧いてきました。

皆さんの自己紹介や日々の取り組みを聞いているうちに、緊張していた肩が、少しずつゆるんでいくのを感じました。
ひとりひとりの話には、読書と真摯に向き合っている姿があって、それだけで尊くて、静かに励まされるような気持ちになったのです。

私の番、そして——


そして、いよいよ私の番がまわってきました。
「こんばんは。大阪で、小さな古本のオンライン書店をしています……」
までは、何とか無事に。ところが、「読書」のことを話し始めた途端、もうてんやわんやです。

好きなことを語ろうとすると、どうも言葉が追いつかなくなるんですね。
頭の中にはたくさんの想いがあるのに、それをうまく言葉にできない。
伝えたいことが溢れすぎて、焦ってしまって、思いもよらぬ方向に話が飛んでいったりもして……。

でも、不思議と、みなさんはちゃんと耳を傾けてくださいました。
にこにこと画面越しにうなずきながら、静かに待っていてくださったのです。
あの瞬間、私ははっきりと感じました。

「読書でつながっているから、大丈夫」
そんな風に、見えないところで誰かがそっと言ってくれているようでした。

 読書を通して、そっと寄り添うということ


それぞれに事情や思いを抱えて日々を過ごす中で、「読書」がひとつの居場所になる。
それは、かつて私自身が病気の療養中に感じたことでもあります。
本の中の静けさや、ページをめくるときの感触、小さな物語の灯火に、どれほど救われてきたことでしょう。

今回のZOOMで、改めて気づかされたのは——
「読書」が誰かを結びつける力を持っている、ということ。

たとえば、それぞれが違う地域に住んでいても、考え方が異なっていても、
「読書が好き」という一点で、こんなにもやさしく、あたたかくつながることができる。
これって、とてもすごいことだと思うのです。

そして、『柚香の森』という小さな古本屋も、そんな場所のひとつであれたらと、心から願っています。

少しずつでも、力を蓄えていきます


もちろん、いきなり変われるわけではありません。
昨夜の私も、決して立派な自己紹介ができたわけではありませんし、話し終わってから「もっとこう言えばよかった……」と何度も思いました。

でも、その小さな後悔の向こう側に、「それでも伝えようとした」という気持ちが残りました。
そしてその気持ちこそが、これからを支える種になるように思います。

参加された皆さんの活動を知れたことで、私自身ももっと勉強していきたいと思いました。
本の選び方や届け方、そして読書がもたらす癒しについて、これからも学び続けていきます。

読者のみなさまが、かけがえのない一冊と出会えるように。
『柚香の森』を訪れてくださった方が、少しでも心がほっとできるように。
そんな願いをこめて、今日も本を並べています。

最後に、そっと。


緊張しいの私ですが、こうして少しずつでも、人とつながることを恐れずに、本と人のあいだに立てるようになってきたのかもしれません。
それもすべて、「読書」という、静かで確かな力があるからこそ。

あの日のZOOMでの出会いに、そして、今日このブログを読んでくださったあなたに、心から感謝をこめて。

どうかこれからも、『柚香の森』を、よろしくお願いいたします。